採択迫る“日本版スターリンク”の最新状況、軍配は誰に? 楽天・AST陣営は計画を大幅変更(1/3 ページ)
“日本版スターリンク”とも呼ばれる、スマートフォンと衛星を直接つなぐ衛星網実現に向けて総務省が進める低軌道衛星通信インフラ整備事業「J-LEO」。災害時にも利用できる衛星通信網を日本で確保することを目指す一方で、実現には数百機規模の衛星コンステレーション構築が必要になる。
公募にはコンソーシアム形式、つまり連盟での応募が認められており、有力候補はKDDI&米SpaceXあるいは楽天モバイル&米AST SpaceMobileの“連合”だ。このうち後者が3月、衛星網の軌道計画を大きく変更した。その内容からは衛星ダイレクト通信網の中身と技術的制約、そして楽天・AST陣営が強みとして押し出したいポイントが見えてくる。
J-LEO(低軌道衛星通信インフラ整備事業)とは
J-LEOは、総務省が「自律性確保に向けた低軌道衛星通信インフラ整備事業」として2025年度の補正予算1500億円を元に実施する通信衛星コンステレーションの整備事業だ。一般社団法人情報通信ネットワーク産業協会(CIAJ)が事業をとりまとめ、2026年5月29日で終了した公募の後に1件の事業者が6月末ごろに採択される予定だ。単独提案またはコンソーシアム形式での応募が認められる。
事業では携帯電話に割り当てられた周波数を用いて、スマートフォンと衛星のダイレクト通信(DTC)をサービスとして実現することを目的としている。29年3月末までに日本全国の一般ユーザーがスマートフォンで利用可能な状態にすること、日本全国で1日のうち7割程度の時間帯はビデオ通話が可能な水準が求められる。
災害時には、連携する移動体通信事業者との間で非常時事業者間ローミング(フルローミング方式、緊急通報を除く)を提供し、音声通信・データ通信・SMSは利用無料で提供することも必要だ。
DTCは現在でも米SpaceXのStarlinkなどが日本国内で利用可能になっているが、これはあくまでグローバルサービスが日本でも利用できるというだけだ。極端なケースでは、衛星事業者側の判断や事情によってサービス内容が大幅に変更される可能性もある。
災害対応も含むJ-LEO事業ではいざというときにそうしたことが起きないよう、衛星ゲートウェイ局、衛星管制局(SOC)、ペイロード管制局(POC)、ネットワーク管制局(NOC)といった衛星を運用管制する地上施設の国内設置という条件を課してサービス存続を守る制度になっている。
ただ、J-LEOに参入する事業者は、あと3年弱で1日16時間以上は災害時も含めて日本全国でDTCが利用でき、衛星管制を日本から行う体制を構築しなくてはならない。助成金は事業総額の2分の1が上限となるため、さらに1500億円規模の投資が求められる。
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