サダタローのゆるっとマンガ劇場

再び浮上した「クレカ表現規制問題」 クリスタやpixiv FANBOXの騒動からマンガ家が感じた不安と焦り(1/6 ページ)

 10月に入り、2026年も残すところあと3カ月弱となりました。今年の9月は雨の日が多く、残念な気分になった方も多いのではないかと思いますが、下旬にはボクたちイラストやマンガを生業とする人間にとって、不安になってしまう出来事が立て続けにありました。

 まず9月22日ごろ、イラストやマンガの制作ソフト「CLIP STUDIO PAINT」で利用できる素材を投稿・ダウンロードできるサービス「CLIP STUDIO ASSETS(クリップスタジオアセット)」で、突然大量の素材が非公開になりました。運営元のセルシスからは投稿者への事前告知や非公開の理由なども一切告知されておらず、その対応にSNSでは不満の声が上がりました。

(出典・X)

 その後、一部の素材は再度公開されましたが、個人的にはとりあえず怪しいものは軒並み非公開にしてから精査したように見えました。

 一方、25日ごろにはマンガ・イラスト投稿サイト「pixiv」のコミュニティサービス「pixiv FANBOX」でも、投稿作品の多くが新たに規制に抵触したということで公開停止になりました。SNSで利用者の報告を見ていると、タイトルにセンシティブな語句が入っているものが対象になっていたようですが、その審査がかなり杜撰だったみたいです。

 例えば「ロリ」という言葉が含まれていれば、「カロリー」や「セロリ」もNGになってしまう、という状況だったようで、こちらもユーザーからの不満が出ています。

 突然、大量に、曖昧な審査基準で非公開になる……ボクは以前、これと同じような騒動を見たことがあります。それは25年7月にあった「Steam」でのゲーム規制。「Collective Shout」という非営利団体から圧力を受けたクレジットカード会社などの要求により、Steamの一部の成人向けゲームが販売停止になりました。後に、この規制は成人向けゲーム以外のジャンルまで広がり、当時のボクは広範囲にわたる表現規制につながるのではないかと危惧しました。

 実は今回のpixiv FANBOXの公開停止騒動では、センシティブな語句だけではなく、「犯罪行為」などに関わる語句も対象になっていました。そしてピクシブは理由について「決済事業者からの指摘を受け」と明言しています。Steamのときのボクの不安通りのことが起こってしまったのかもしれません。

 なお、クリスタの件について、ITmedia NEWS編集部がセルシスに公開停止の原因は決済事業者なのかと尋ねたところ、「現時点で追加でお答えできることはございません」として回答を拒否されました。ちゃんと答えてほしいものです。

 クリスタにしろpixivにしろ、現在は多くの海外ユーザーに支えられているようで(詳しくはマンガで)、仮にクレカ会社などから要求されたら無下にはできない事情があるのかもしれません。でも今回、マンガを描く人達が使うツールやコミュニティが狙われたことで、ボクはまるで外堀を埋められているかのような気分になりました。こうした海外の基準に合わせる動きが強まると、これまで日本のマンガ・イラスト文化の独自性が失われていくのではないか……と、ボクは不安です。

 そもそも、合法なのにいち企業や特定の思想に染まった団体の理不尽な圧力で、表現の自由が失われるなどあってはならないことです。有効な対策が見つかることを願っています。

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漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。

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