サダタローのゆるっとマンガ劇場
映画「バックルームズ」が怖くなかったマンガ家、基になったネット都市伝説にハマって本作の楽しみ方を理解する(1/7 ページ)
9月4日に日本でも公開された映画「バックルームズ」が、世界中で大ヒットしています。全米で公開初週に興行収入8100万ドル(約129億円)、初週末の世界興行収入では1億1800万ドル(約188億円)を記録し、全米・世界共に興行収入ランキングで1位となりました。日本でも公開から3日間で2億4700万円というロケットスタートとなっています。
バックルームズとは、海外の匿名掲示板「4chan」の超常現象板で、2019年に投稿されたある写真をキッカケに広まったインターネット都市伝説です。写真は全体が黄色で統一された何やら不穏な部屋を写したもの。これに「現実から外れ落ちると行き着くThe backroomsである」という内容のレスが付き、さらに様々なストーリーや考察なども集まり都市伝説が形作られていきました。ファンメイドのゲームや動画も作られるなど、盛り上がったようです。
そんな中で特に注目されたのが、ケイン・パーソンズという青年がYouTubeにアップした「The Backrooms (Found Footage)」というショート動画でした。3DCGソフトの「Blender」と映像編集ソフト「Adobe After Effects」を使い、わずか1カ月で制作されたというその動画は、荒い画質や「ファウンドフッテージ」(行方不明者等が残した映像をそのまま公開するという形のモキュメンタリー)形式での演出により、かなり不穏で不気味なものに仕上がっていました。
彼はその後もシリーズとして動画を公開し続け、ついには今回の映画の監督に抜擢されます。現在、ケイン・パーソンズ監督は21歳。史上最年少で全米・世界興行収入1位の映画監督になりました。
ボクも映画を見てきましたが、実は個人的にあまり面白いとは思いませんでした。画面が明るいからなのか、バックルームズの各部屋が結構広く閉塞感がないからなのか……あまり不気味に感じません。
また、映画ではストーリーの流れでバックルームズの謎について軽く言及されていて、それも得体の知れない不気味さが減ってしまった原因の1つに思えました。とにかく、YouTubeでケイン監督のショート動画を見た時に感じた恐怖を、映画ではほとんど感じなかったのです。
ただ、それはホラー映画という一面の感想でしかありません。映画をバックルームズという都市伝説の膨大なエピソードの1つとして捉えると、見え方が変わってくるのです。
バックルームズには、さまざまな解釈や設定があります。その中にある“ケイン版バックルームズ”において、今作がどのような意味を持つのか、画面に映る物に意味はあるのか──そんな考察が、かなり捗る作品だと思います。都市伝説のバックルームズに興味がある人なら間違いなく楽しめるでしょう。
一方、本作で初めてバックルームズに触れるという人は、あえて前情報を一切入れずに劇場に足を運んだ方が、純粋にあの異様な空間を楽しめるかもしれないな、というのがボクの感想です。中途半端にケイン監督の初期ショート動画だけを見て、そのスケールアップ版を期待してしまうと、ボクのように拍子抜けしてしまうのかもしれません。
面白いと感じなかったとは書いたものの、様々な解釈があるネット上の都市伝説を長編映画にしっかりアジャストさせたケイン監督の手腕はスゴイと思います。若き監督が描くセンスあふれる不穏な世界を、皆さんもぜひ映画館で体感してみてください。
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漫画家のサダタローさんが、世界初の電脳編集者「リモたん」と一緒に話題のアレコレについてゆる~く語るまんが連載。たぶん週末に掲載します。
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