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距離と時差がなくなる日イメージストーリー(2/2 ページ)

狼煙から始まって、電信、電話、電子メールと、人はコミュニケーションの手段を高度化させてきた。しかし今も昔も、コミュニケーションの原点は“Face to Face”である。フィクションのイメージストーリーを通じて、コミュニケーションの原点を追った。

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 時々熱病に浮かされたように猫が飼いたくなる。

 でも、所詮はしがないOLの身。しかも最近はリストラの一環で人が減り、その分仕事が増えて、長時間労働を余儀なくされる有様だ。いくら孤独に強いとはいえ一日の大半をほったらかしにしておくのはかわいそうだと今までは我慢してきたのだが、今回はどうしても自分を抑えられなかった。

 とある事情で愛猫を手放さなくてはならない(よくは知らないが、恋人だか婚約者だかの彼が強度の猫アレルギーで、にっちもさっちも行かなくなってしまったらしい)と友だちから聞かされたのが一番の理由だが(写真を見たら、超キュート!!)、彼に会えない寂しさが背中を押したのかもしれない。

 小ぶりのキャリーバッグに入れられて、そのコ(名前はリオ)は我が家にやってきた。初めて写真を見せられた時に、なぜだか目が釘付けになり、心がざわざわと波立ったような気がしたのをついさっきのことのように思い出した。その時点でリオはうちのコになることが決まってたのかもしれないな。

 リオとツーショットを撮った。こういう時このカメラは、撮った写真をパソコンで確認しながら自分撮りができるので便利だ。(詳しい設定方法はこちら)

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 お盆休みもとうとう終わってしまった。リオと離ればなれになってしまうのが辛い。後ろ髪を引かれる思いとはこういうことなんだなぁ。働くママの大変さが何となくわかった(っていうか、それぐらいとっくに気付けよ>自分)。

 で、ひらめいてしまったのだ。彼とテレビ電話をする時みたいにリオを撮影し、それを会社のパソコンで見ればいいじゃん。そうすればリオの様子がいつでも分かるし。もしかして、私って天才?

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 リオのライブ中継計画はわずか1日で挫折した。ちょっと考えればすぐにわかることだが(私ってバカ?)、リオがいつもカメラの前にいてくれるはずがないのだ。

 一瞬カメラのフレームを横切ることはあるものの、それ以外は何もない部屋の一角をずっと表示したまま。もちろんずうっと観察していればもっと目にするチャンスはあるのだろうが、それじゃあ全然仕事にならない。

 何かよい手はないだろうか……。

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 パソコンに詳しい友だちから耳よりな情報を聞いた。ペット監視用のフリーソフトがあるのだという。ペットがカメラの被写エリア内に入ると自動的に撮影し、その写真をパソコンに保存したり、ケータイや会社のメールアドレス宛に送ってくれるらしい。

 これならずうっとメッセンジャーの画面を見てなくても済むし、時々メールで和ませてもくれる。それに、『あっ、カワイイ!』と思ったしぐさを写真に定着してくれるのも嬉しい。テレビ電話だと、『あっ、カワイイ!』と思っても、記憶にしか残らないから。

 仕事から帰り、ご飯を食べ、お風呂に入ったあと、リオを膝に乗せて頭や背中を撫でてやりながら今日一日の写真を見る。楽しい日課がまた一つ増えた。(詳しい設定方法はこちら)

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 彼がバンコクに赴任してからもう9カ月が経つ。最初の頃は毎日友だちと遊び歩いてたっけ。「鬼の居ぬ間のいのちの洗濯よ」とか何とか言ってたけれど、今から思えば一人でいるのがイヤだったのだろう。

 そんな生活も、彼がパソコン用のカメラを贈ってくれてから変わった。もちろん毎日じゃないし、私にだって私だけの都合や友だち付き合いもあるのだけれど(それは彼も同じだ)、そうじゃない時は、ベッドに入るまでのひととき、彼とテレビ電話で話をするのが日課となった。

 こっちの11時は向こうの9時。私はワインを飲んだりリオを撫でながら、彼は遅めの夕食を食べながら、今日一日の出来事をとりとめのなく話す。おかげで、彼は今日何を食べたかや、その日の機嫌や体調まで分かるようになった。

 もうすぐ彼が帰ってくる。日本にいられるのは年末・年始のわずかな期間だけだけれど、有給休暇をからめて少し早めに帰ってくるのだという。

 二人で数日遅れのクリスマスを祝おう。いつものように、笑い話のキャッチボールをしながら。

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Model:沢井里佳子(オスカープロモーション

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Text:栗田昌宜

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Photo:三橋秀行



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