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ASUS「EAH2600XT D4」で“GDDR4”Radeon HD 2600 XTの実力を知るイマドキのイタモノ(1/2 ページ)

期待の新世代RadeonのミドルレンジGPUであるが、まず登場したのはクロックを抑えたGDDR3版だった。ようやく姿を見せつつある「定格動作」2600XTでこのGPUの真価を検証する。

 「65ナノメートルプロセルルールの採用」「UVD(Unified Video Decoder)対応」と本当の意味での新世代Radeon HD 2000シリーズとなったRadeon HD 2600/2400シリーズが出荷されて1カ月が過ぎようとしている。とくに、Radeon HD 2600 XTを搭載したグラフィックスカードはユーザー数が多いミドルレンジクラスだけあってその期待も大きかったが、最初に登場した製品はビデオメモリにGDDR3を採用しており、メモリクロックが定格とされた1100MHz(データ転送レートで2.2Gbps相当)より低く抑えられた700MHz(同様に、データ転送レートで1.4Gbps相当)に設定されていた。

 ビデオメモリにGDDR3を採用したRadeon HD 2600 XTのレビューはすでに掲載しているが、抑えられた動作クロックが影響してか、ベンチマークの測定結果は、NVIDIAの新世代ミドルレンジGPU「GeForce 8600 GT」と比べていまひとつという結果だった。コストパフォーマンスを考えると妥当といえるかもしれないが、ミドルレンジでもパフォーマンスを求めるユーザーからは定格動作のGDDR4搭載バージョンを期待する声が多かった。

 Radeon HD 2000シリーズに導入された新技術やRadeon HD 2600シリーズのスペックについては、こちらの発表記事に記載されている。すでに述べたように、GDDR4搭載バージョンの動作クロックはコアクロックが800MHzでメモリクロックは1100MHz(DDRのデータ転送レートで2.2Gbps相当)、統合型シェーダユニットの数は120個(5個を“ひとまとまり”とみると24単位相当と見ることもできる)となる。今回、評価用として使うのは、ASUSの「EAH2600XT D4/HTDI/256M/A」(EAH2600XT D4)だ。ビデオメモリにGDDR4を採用しているこのグラフィックスカードの動作クロックをCatalyst ControlPanelで調べたところ、3D処理時でコアクロックは800MHz、メモリクロックは1100MHz(DDR転送レートで2.2Gbps相当)と定格どおりに設定されていた。

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 なお、今回の評価作業で使用したドライバは評価機に同梱されていたCDに収録されている「Catalyst 8.383-070613a-049021E-Asus」を適用している。末尾に“Asus”とあるようにAMD(ATI)のCatalystにカスタマイズが施されたバージョンだが、基本的な機能と挙動にはAMD(ATI)のそれと変わりないと考えていい。

 COMPUTEX TAIPEI 2007ではGDDR4を採用したRadeon HD 2600 XT搭載グラフィックスカードの多くが2スロット占有タイプの厚いクーラーユニットを載せていたが、EAH2600XT D4のクーラーユニットは薄型の空冷タイプを搭載している。同じASUSのRadeon HD 2600 XT搭載GDDR3バージョンの「EAH2600XT/HTDP/256M」が載せている円いヒートシンクとファンを組み合わせたクーラーユニットとも異なる。

 前回のRadeon HD 2600 XTのレビューで紹介したSAPPHIREの「Radeon HD 2600XT 256MB GDDR3 PCIE」と同様にパッケージにはDVIに取り付けるHDMIインタフェースアダプタも用意されている。必要とされる外部電源も、8ピン+6ピンという大掛かりな外部12ボルト入力を必要としたRadeon HD 2900 XTと異なり、外部電源入力用のコネクタは持たない。

 ただし、今回の評価作業でも8ピンのPCI Express12ボルトコネクタを有するEnermax(クーラージャイアント)の電源ユニット「INFINITI EIN720AWT」を使用している。現在市場に出ている8ピンPCI Expressコネクタを持つ製品の中で720ワット級(ピーク出力800ワットに対応)で3万円以下というコストパフォーマンスが特徴の製品だ。また、液晶ディスプレイもデルの30インチワイド「3007WFP-HC」を利用して「1920×1200ドット」の高解像度環境で測定している。

 比較するのは前回同様にNVIDIAのDirectX 10世代ミドルレンジGPU「GeForce 8600 GT」とRadeon HD 2600 XTのGDDR3バージョン、そして参考値として旧式ミドルレンジ「GeForce 7600 GT」を選んだ。ラインアップの位置付けから、ミドルレンジ上位モデルのGeForce 8600 GTSも考えたが、実売価格がRadeon HD 2600 XT GDDR4の2万円台前半に対して、GeForce 8600 GTSが3万円前後と異なるため、ここでは比べていない。

 なお、Radeon HD 2900 XTやRadeon HD 2600 XT GDDR3の評価と同様に、今回も3DMark系ベンチマークが起動しない。出荷される製品に同梱されているCatalystでも同様の現象が発生する可能性があるが、この場合、3DMark系ベンチマークテストの起動パラメータとして「-nosysteminfo」を与えると動作するようになる。今回の評価作業でもこのパラメータを与えて3DMark系の測定を行った。

評価に使ったRadeon HD 2600 XT搭載カード「EAH2600XT D4/HTDI/256M/A」
裏面を見る限りメモリチップはGPUの周囲に4個配置されている
COMPUTEX TAIPEI 2007ではGDDR4採用Radeon HD 2600 XTカードの多くが2スロットユニットを載せていたが、EAH2600XT D4のクーラーユニットは1スロット分の薄いタイプが搭載されている
GDDR4を採用し、メモリクロックは1.1GHz(DDRデータ転送レートで2.2Gbps相当)となったEAH2600XT D4であるが、外部電源は必要としない
EAH2600XT D4に実装されているGPUとビデオメモリ。メモリはSUMSUNG製を採用している。同社のGDDR4には最速で1400MHz動作がリリースされているが、実装されていた「K4U52324QE-BC090」のスペック上のメモリクロックは1100MHzとなる
評価作業には8ピンのPCI Express12ボルトコネクタを有するEnarmax(クーラージャイアント)の電源ユニットを使用した
評価用のディスプレイはおなじみのデル「3007WFP-HC」を使っている

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