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かくして“つよインク”は生まれ変わる――エプソンのリサイクル工場見学小学生といっしょに訪問(2/2 ページ)

過酷な開発競争の裏で、環境保全にも本気で取り組んでいるエプソン。同社のリサイクル工場では、毎日山のような使用済み製品が再資源化されている。

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秘密のベールに包まれたつよインク生産工場――広丘事業所

長野県塩尻市にある広丘事業所

 次に訪れた広丘事業所は、インクカートリッジの生産拠点だ。エプソンは、日本のほか、中国、イギリス、インドネシア、アメリカ、メキシコにインクカートリッジの生産拠点を構えている。広丘事業所はほかの拠点に先がけ、新たに開発したインクカートリッジの量産試作なども行っているという。同事業所におけるインクカートリッジの生産量は1日に約1万個だ。

 エプソンはインクの生産を自社および一部の協力会社のみで行っており、その生産技術は重要機密とされている。そのため、広丘事業所内での撮影は許可されなかったが、クリーンルーム内の生産工程をガラス越しに見学することができた。おおまかなインクカートリッジの生産工程は、インクの製造、ケースの成型、組み立て、インクの注入、梱包といった流れだが、各工程で厳密な検査が実施される。

 インクカートリッジの生産において異物の混入は厳禁なので、全工程は室温を24度に保ったクリーンルーム内で進められ、作業員はすべて防塵服を着用していた。とくに高い防塵性が求められる一部の作業は、クリーンルーム内の一部をさらにビニールシートで囲ったエリアで行われる。工場の通路側には、エプソンのインクジェットプリンタで出力した絵画のレプリカ(モネの「日傘をさす女」など)が展示されていたのが印象的だった。

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親子で楽しんだリサイクル工場見学

 ツアーに参加した子どもたちは、工場見学を夏休みの自由研究にする目的もあるようで、工場内を案内する担当者の話に聞き入り、積極的に質問を返すなど、使用済み製品のリサイクルに対して高い関心を示していた。また、夏休みの思い出に、工場内外で記念撮影をする親子も数多く見られ、親子そろって見学ツアーを堪能した様子だった。

神林事業所でリサイクル工場内の説明を真剣に聞く様子(写真=左)。リサイクル工場の見学後は、エプソンに関するクイズ大会や工場案内ビデオ上映が行われ、親子で大いに盛り上がった(写真=中央)。広丘事業所の前に集まって記念撮影した写真は、そのままエプソンのインクジェットプリンタで純正の写真用紙に印刷され、帰りのバス内でプレゼントされた(写真=左)

 このように、使用済み製品のリサイクルに注力するエプソンだが、現状で自社によるインクカートリッジの回収量は全出荷量の9.2%(2006年度)とまだまだ少ない。今後はベルマーク運動などの強化により、回収率を高めていく計画だ。これまで使用済みインクカートリッジを何気なく捨てていたという人も、これを機に回収ボックスを利用してみてはいかがだろうか。

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