DDR3への移行はいつ?──IDF 2007で読む「メモリ」「ワイヤレス」のトレンド:Intel Developer Forum 2007(2/2 ページ)
大きなインパクトはないものの、細かいアップデート情報で今後のトレンドが把握できた今回のIDF。最後のリポートでは展示会場を中心に紹介したい。
モバイルインターネットにおける“次の先”は?
Montevinaプラットフォームによって、実用化のめどが見えつつあるWiMAXを使ったモバイルインターネットだが、思っている以上に有用なサービスになるかもしれない。当初、IntelなどのWiMAX推進団体は「既存のDSL技術などが利用できないユーザーに高速インターネット通信を提供する」ことをWiMAXの目的として掲げており、都市部での利用は副次的に扱われていた。
だが、日本でのWiMAX免許の取得を巡る報道を見る限り、WiMAXに期待されているのは、デジタルデバイドを解消するインフラというより、携帯や無線LANホットスポットに次ぐ、第3の無線ネットワークインフラとなりつつある。
IDF 2007でも紹介されたClearwireは、世界でも珍しいWiMAXサービス専業の独立系プロバイダ事業者だ。現在、同社はWiMAXのトライアルサービスの提供を全米で行っており、2008年にも正式な商用サービスとしてスタートさせる予定だという。
同社の契約ユーザー数は2007年6月時点で30万に達するというが、そのユーザー傾向を分析してみると、なんと全体の2割近くが既存の有線ベースのインターネット接続サービスとClearwireのWiMAXサービスを併用しているという。しかも契約ユーザーが元々契約していたサービスを分析すると、その7割近くがケーブルTVやDSLなど、いわゆるブロードバンド回線のユーザーであることが分かっている。
日本のユーザーからすれば、依然としてダイヤルアップ接続が大きな勢力を占めるといわれる米国におけるこの調査結果は驚異的だろう。このデータが示すのは、WiMAXが必ずしも辺境地向けのサービスではなく、むしろ、Clearwireは採算ベースに乗せるために人口の多い都市部のユーザーを積極的に取り込んでいるということだ。自宅ではより高速な有線ブロードバンド回線を用い、外出先ではWiMAXを使うという、まさに「どこでもインターネット」な生活を享受しているさまがうかがえる。
こうした傾向は、これからさらに進むかもしれない。Clearwireが現在提供しているのは「Residential Service」と呼ばれる、いわゆる屋内での固定通信を想定したサービスだ。通信にはResidential Gatewayと呼ばれるプレステーション 3のようなサイズの装置が必要で、「どこでもインターネット」を実現するには少々体力が要求されるのだ(それでもClearwireが紹介したビデオを見る限り、子どもを含めて移動利用しているユーザーがいるあたりは、さすが米国といったところか)。
2007年後半に、PCカードタイプの装置が提供されることで、より現実的なモバイルインターネットの世界が実現する。上記のような固定回線との併用ユーザーが本格的に増えるのも、このPCカードタイプの装置が登場してからになるだろう。このようにネットワークインフラが整ったところで、2008年半ばにMontevinaが登場すれば、WiMAX普及の傾向はより強まることになると考えれる。Intelによれば、Samsungなどから携帯電話や小型デバイスにWiMAXモジュールを組み込んだ製品が2008年後半に登場する予定だという。ユーザーが増えることでWiMAX利用エリアが広がり、それがさらにユーザーの増加につながるというような好循環が実現すれば、ユーザー数とエリアの爆発的な拡大が期待できるだろう。
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