Windows XPを搭載したデルの低価格スリムノート「Inspiron Mini 12」を試す:元麻布春男のWatchTower(3/3 ページ)
Windows VistaやUbuntuに加え、XPも選べるデルのお手ごろスリムノート「Inspiron Mini 12」だが、最も汎用性の高いXP搭載モデルを試してみた。
キビキビ動作のWindows XPだが、ドライバの熟成はまだこれから
ここでは、12月12日から提供の始まったWindows XP Home Edition(SP3)をインストールしてみた。Windows XPにしたからといって、すべてが高速になるというわけではないが、エクスプローラのウィンドウを開いてから中のオブジェクトが描画されるまでの時間は明らかに短縮された。これだけでも、かなりキビキビした印象を受けるものだ。
こういった動作の違いを確認するため、Windows VistaとWindows XP、それぞれの環境で、簡単なベンチマークテストを行った。また、参考までに日本エイサーの「Aspire one」に外部ディスプレイを接続して本機と解像度を近づけ(1280×768ドット)、同じベンチマークテストを実行している。
Inspiron Mini 12でVistaとXPを比較した場合、ほとんどのテストでスコアは変わらないことに気付く。ただし、CrystalMarkのGDIのテストでのみ、顕著な差が見られる。これが、VistaとXPの体感の差を生み出しているのだろう。
Aspire oneとの比較では、グラフィックスとHDDのスコアに差が付いた。1.8インチドライブを採用するInspiron Mini 12に対し、2.5インチドライブのSerial ATAドライブを採用するAspire oneが高速なのは分かりきったことだが、その差はかなり大きい。とはいえ、Inspiron Mini 12が採用するUS15Wチップセットは、Serial ATAをサポートしていないため、すぐに対策を施すことは困難だ。
同様に、グラフィックス性能も差が大きくついた部分で、US15WチップセットとIntel 945GSE Expressの差が出ている。CPUとメモリではほとんど差はないのだが、グラフィックス機能(特にGDI性能)の違いで、サクサク感の有無が分かれてしまっているようだ。US15Wのグラフィックス機能には、動画の再生アクセラレーションという武器があるのだが、現時点でのドライバはWindows Vista、Windows XPともこの武器を生かし切れていない。
Windows XPのサポートが遅れたのは、インテルによるMenlow(開発コード名)のドライバサポートが遅れたためだ。言い替えれば、現在提供されているドライバはかなり初期段階のものである、ということになる。現時点では動画アクセラレーションのみならず、XPのドライバがシェーダーをサポートできていないなど、不具合が目立つ。こうした点の改善に期待したいところだ。
というわけで、性能的にはあまり特筆する部分のないInspiron Mini 12だが、絶対的に評価したいのは、このサイズの液晶ディスプレイをサポートし、ノイズの少ないファンレス構成である、ということだ。似通ったスペックになってしまいがちな低価格ノートPCにあって、この2つの特徴を持つのは本機だけだ。ここに価値を見いだすユーザーにとっては、唯一無二の存在に違いない。
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