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Atom N280×9.3時間駆動の新鋭Netbook――「Eee PC 1000HE」に迫る(前編)従来機とガッツリ比較(2/2 ページ)

ASUSの「Eee PC 1000HE」は、最新CPUのAtom N280を搭載した低価格ミニノートPC。高速化を図りつつ、バッテリー駆動時間の延長とキーボードの変更も行った。

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チップセットはIntel 945GSE Expressを継承

 CPU以外の基本スペックは1000H-Xと共通化されている。チップセットはIntel 945GSE Express、メインメモリはDDR2で標準1Gバイト(SO-DIMMスロット×1)、HDD容量は160Gバイト(無料のWebストレージ使用権は10Gバイト)、ディスプレイの画面解像度は1024×600ドット、OSはWindows XP Home Edition(SP3)だ。

 Atom N280に合わせて、Intel 4シリーズ世代の新型チップセット(HD動画の再生支援機能を持つ代わりに、消費電力が945GSEより大きくなるという)も投入される見込みだが、1000HEに関してはチップセットの変更はない。

動作クロック1.66GHz、システムバス667MHzで駆動するAtom N280の見た目はN270と同様だ(写真=左)。Intel 945GSE Expressチップセットのノースブリッジには、グラフィックス機能のIntel GMA 950が統合されている(写真=中央)。サウスブリッジは31ミリ角とサイズが大きい(写真=右)
CPU-Z 1.50で見た1000HEの仕様。動作クロックとシステムバス以外の主な仕様は、Atom N270と同様だ

 インタフェースやネットワーク機能も1000H-Xと変わらない。3基のUSB 2.0をはじめ、アナログRGB出力、ヘッドフォン出力、マイク入力、SDメモリーカード(SDHC対応)用スロット、130万画素のWebカメラを搭載。ネットワーク機能は、100BASE-TXの有線LAN、IEEE802.11b/g/n(11nはドラフト2.0)の無線LAN、Bluetooth 2.0+EDRを備えており、モバイル用のマシンとして不足のない構成だ。

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前面にはインタフェースがなく、液晶ディスプレイもラッチレス構造なので、スッキリしている(写真=左)。バッテリーパックを装着する背面は38ミリと厚さがある(写真=右)
左側面には有線LAN、1基のUSB 2.0、ヘッドフォン出力、マイク入力、ロック用コネクタ、通風口が並ぶ(写真=左)。右側面にはSDHC対応のSDメモリーカードスロット、2基のUSB 2.0、アナログRGB出力、ACアダプタ接続用のDC入力を配置(写真=右)

 なお、メーカー保証対象外の行為になるが、底面のネジで固定されたカバーを開くと、メモリスロットとHDDにアクセスできる。HDDは標準的な2.5インチ/9.5ミリ厚のSerial ATAタイプなので、将来的により高速なSSDなどに換装したいと考えるユーザーにとって、作業はしやすいだろう。今回入手した機材に搭載されていたHDDは、シーゲイト製「Momentus 5400.5」の160Gバイトモデル(ST9160310AS)だった。

左が1000H-X、右が1000HEの底面カバーを外したところ。マザーボードのレイアウトは少し変更されているが、いずれもカバーを開くだけで、メモリスロットとHDDにアクセスできる。1000HEにはHDDを覆うカバーが追加されている。1000H-Xでは無線LANモジュールを搭載したMini PCI Expressスロットも露出しているが、1000HEでは隠されている(スロット自体はHDDの左にある)
デバイスマネージャで見た1000HEの仕様

確かにパフォーマンスの向上は見られるが……

 さて、Atom N280の採用はパフォーマンスにどのような影響を与えているのか、チェックしていこう。

 まずは総合ベンチマークテストのPCMark05をはじめ、3Dグラフィックステストの3DMark05、ゲームベンチのFINAL FANTASY XI Official Benchmark 3といった定番のソフトを実行した。テスト時はACアダプタを接続し、省電力機能の「Super Hybrid Engine」を最も高性能なSuper Performanceモードにセットしている。テスト結果は、Atom N270を搭載した1000H-Xのスコアも併記した。

左からPCMark05 1.2.0、PCMark05のCPUテスト(シングルスレッド)、PCMark05のCPUテスト(マルチスレッド)の結果
左が3DMark05(1024×600ドット設定)、右がFF XIベンチの結果

 テスト結果を見ると、CPUの動作クロックとシステムバスが高速化したぶん、CPU関連テストのスコアが少し向上し、それが総合的なパフォーマンスにも影響をいくらか与えている。とはいえ、どちらもチップセットはIntel 945GSE Express、グラフィックス機能はチップセット内蔵のIntel GMA 950と共通のため、わずかな差といえる。今後、Atom N280と組み合わせるチップセットを変更した製品が登場すれば、結果はまた違ったものになるだろう。

Windows XPの各種動作にかかった時間

 試しに、デフォルトの設定でWindows XPの各種動作にかかる時間も計測してみた。計測したのは、Windows XPの起動、休止状態への移行と復帰、スタンバイへの移行と復帰、シャットダウンの動作にかかる時間だ。起動時間については、電源ボタンを押してから「ようこそ」画面が出るまでの時間と、タスクトレイにすべてのアイコンが並び、ポインターの砂時計表示が消えるまでの時間の2段階で計測した。各動作にかかる時間はバラツキがあるので、計測は5回行い、異常な数値が出た場合はそれを排除したうえで平均値を採用している。

 結果は1000HEと1000H-Xでほとんど変わらなかった。全体的には1000HEが優勢だが、ほんの1~2秒程度の差でしかなく、体感できるレベルではない。Atom N270とSSDを搭載したS101のほうが高速だ。もっとも、Atom N270とHDDを搭載した1000H-XであってもWindows XPの基本操作はストレスなく行えていたため、1000HEでも操作のレスポンスに不満はない。

 動画ファイルの再生能力も同レベルだ。YouTubeやニコニコ動画の標準的な動画コンテンツは問題なく再生可能で、一部の高画質な動画やコメント数が膨大な動画を除けば、十分実用できるだけの性能がある。

 ハイビジョンの動画については、720pと1080p(いずれも24fps)のWMV9ファイルをWindows Media Player 11で再生してみたところ、720pはまったくコマ落ちせず再生可能だったが、1080pはコマ落ちする場面が多く、視聴は困難だった。こうした傾向は1000H-Xなど、ほかのAtom N270+Intel 945GSE Express搭載Netbookと共通している。


 以上、Eee PC 1000HEの進化点とパフォーマンスを中心にチェックした。後編では、大きな特徴であるバッテリー駆動時間や、新たに設計されたキーボードの使い勝手などを検証する。後編はこちら(そのスタミナは本物か!?:Atom N280×9.3時間駆動の新鋭Netbook――「Eee PC 1000HE」に迫る/後編)。

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