2画面タッチパネルの新感覚ミニPC――「libretto W100」を徹底検証する(後編):性能、駆動時間、騒音、発熱は!?(2/2 ページ)
小型軽量ボディに2画面タッチパネルと超低電圧版Pentiumを詰め込んだ「libretto W100」。そのパフォーマンス、バッテリー駆動時間、騒音、発熱をテストする。
小型軽量・高性能の代償はバッテリー駆動時間
バッテリー駆動時間のテストは、BBench 1.01(海人氏・作)で行った。上画面にWebブラウザ、下画面にはソフトウェアキーボードを表示させた状態で実行している。BBenchの設定は「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」と「10秒間隔でのキーストローク」だ。W100は無線LANでインターネットに常時接続し、Windows 7の電源プランは「バランス」(ディスプレイ輝度は40%)を利用している。W100はバッテリーには2種類のバッテリーが付属するため、標準タイプと大容量タイプの両方を同条件でテストした。
結果は標準バッテリーで1時間22分、大容量バッテリーでは2時間48分駆動したところで、どちらもバッテリー残量が2%になって休止状態へ移行した。公称値は標準バッテリーで約2時間、大容量バッテリーで約4時間とされているので、妥当なスコアといえるが、常時携帯するモバイルノートPCとしてはいかにも物足りない。
単純にバッテリー容量を増やせば、駆動時間は延ばせるが、それではボディサイズも重量も増えてしまう。この辺りは小型軽量化と高性能の代償だろう。
独特の設計は動作音や発熱にどう影響を与えたのか?
動作音や発熱も高性能とトレードオフになる要素だが、やはりこれらについても厳しい結果だ。動作音については、アイドル時でもファンの動作音がはっきり聞き取れ、Webブラウズなどちょっとした負荷でも耳障りというレベルまで大きくなる。CPUへの負荷が集中するような状況では、さらに大きな音になることもある。
評価機ではファンモーターの駆動音なのか、「シャー」という金属的な高音がするので、余計に耳に付く印象だ。W100は両手で握って操作する機会が多く、通常のノートPCより顔に近づけるため、動作音は気になるかもしれない。
室温が29度/暗騒音が32デシベルの状態で、本体の手前5センチから騒音計で計測したところ、アイドル時で39デシベル、低負荷/YouTube利用時で42デシベル、ベンチマークテストを走らせた高負荷時では42~47デシベルまで動作音が大きくなった。47デシベルまで騒音レベルが上がったのはPCMark05のCPU Test実行時で、たまに数秒間だけファンノイズが大きくなる。
ボディの発熱にも注意が必要だ。室温27度の状態でボディの表面温度を計測したところ、PCのシステムが天面に内蔵されているため、ベンチマークテストの実行直後には天面が全体的にかなり熱を帯びた。ボディの表面温度は天面が48~50度、上画面が45~48.5度という結果だ。
一方、下画面には熱があまり伝わってこない。表面温度は32~32.5度に落ち着いていた。底面はバッテリーのない部分では36.5~37.5度と少し高温になったが、手が多く触れるバッテリー部分は32度前後と温度が低く、底面や下画面に触れているぶんには、発熱による不快感はない。
また、ファンと排気口は天面部にあるので、両手でボディを握って操作するスタイルでも排気口を手でふさがないように意識する必要がなく、また熱風が手に吹き付けてくることもないので、ボディの発熱の割に使用時は熱さがあまり気にはならなかったことを触れておく。
操作には慣れが必要だが、唯一無二の魅力あり
以上、2回に渡ってW100をチェックした。ミニノートPCとしては格段に高い性能を備える一方、動作音や発熱では不利になり、バッテリー駆動時間も長くない。キーボードレスの2画面スタイルということで操作性も当然ながらかなりクセがあり、かなりピーキーな製品だ。このコンセプトモデル的な仕上がりは、ある意味で東芝のノートPC事業25周年という記念モデルにふさわしい冒険ともいえる。
2画面タッチパネルということで、iPadのような直感的で軽快な操作性を思い浮かべるかもしれないが、単純に操作性を比べるのは酷というものだ。汎用性の高いOSであるWindows 7ベースに作られたW100と、タッチ前提で設計されたiOSやアプリケーションを採用するiPadでは、W100のほうがだいぶ分が悪い。この点では、ほかのWindows搭載タッチパネル対応PCと同様だ。
それでも、2画面タッチパネル用に作られた独自ツールのTOSHIBA Bulletin Boardやlibretto Task Bar、Easy Menuなどを一通り理解して使いこなせば、かなり快適に使えるようになる。その習熟までには少し時間がかかるだろうが、「ほかのPCと同じように使えて当然」という先入観があるからそう思うのであって、新しいデバイスと考えればそうでもない。PCの枠を超えた新しい可能性にチャレンジしているので、最初にとまどいを覚えるのは仕方がないことだろう。これを面倒と感じるか、面白いと感じるかで、評価は大きく変わってくる。
また、ミニノートサイズでこれだけの性能を備えた製品はほかにないという点も魅力だろう。2画面タッチパネルを搭載し、常駐ソフトが多いという事情はあるにせよ、映像などを扱う際の馬力感は明らかにAtom搭載Netbookより上だ。そういう意味でも唯一無二の存在といえる。
実売価格は12万円台半ばで、店頭に並ぶミニノートPCとしては割高だが、2つのタッチパネル対応7型ワイド液晶と超低電圧版Pentiumベースのシステム、さまざまな独自ツールが小型軽量ボディに凝縮されていることを考えると、納得できる価格設定だ。
今回は25周年記念ということで復活したlibrettoだが、次の展開がどうなるかは分からない。librettoファンはもちろん、新しいデジタルガジェットが好きで、使いこなす手間をいとわない人なら、検討してみる価値はある。
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