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「Office for Mac 2011」は“ユーザー体験”の互換性を追求もうすぐ発売

マイクロソフトが10月27日に発売するMac向け最新オフィススイート「Microsoft Office for Mac 2011」について説明会を開催した。最新版では互換性の向上に注力し、OutlookやリボンUIを備えた。

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 マイクロソフトは9月29日、Mac用オフィススイート「Office for Mac 2011」の価格を発表した。用途別に「ホーム アンド ビジネス」「ホーム アンド スチューデント」「アカデミック」の3つのエディションを用意し、1台のみで利用できる発売記念限定版を含む5つのパッケージがラインアップされる。10月にリリースされる最新のMac版Officeは、前バージョン(Office for Mac 2008)から数えてほぼ2年半ぶりのバージョンアップになる。価格の発表に先がけて開催した報道関係者向けの説明会では、米MicrosoftのMacBU(Macintosh Business Unit)の担当者と日本でMac向けOffice製品を担当する仲尾毅氏がOffice for Mac 2011の特徴や機能を解説した。

仲尾毅氏

 仲尾氏は、Office for Mac 2011の特徴を「互換性」「おなじみのツール」「だれでもプロのような仕上がりに」という3つの言葉で説明した。まず、「互換性」ではファイル形式にOpen XMLを採用し、「ドキュメントを変換なしでそのまま使えるのが最大の強み」と、Windows版Ofiiceとの互換性の高さを強調。さらに6月発売のWindows版でサポートされたOffice Web App/Live SkyDriveにも同様に対応したことで、どこからでもファイルにアクセスでき、複数人での共有や共同作業ができるとアピールする(Liveアカウントがあれば25Gバイトのオンラインストレージを無償で利用できる)。また、ユーザーからの要望で大きかったVBA(Visual Basic for Application/バージョン6.5)が復活したことや、レイアウトの再現性を高めるために、Windowsで必要とされる10書体のフォントが新たに追加された点をトピックとして挙げた。

2011年版にちなんで紹介された11の新機能

 一方、「おなじみのツール」という言葉で表されているのは、Outlookとリボンユーザーインタフェースだ。OutlookはWindows版でおなじみの機能だが、Mac版に搭載されるOutlook for Mac 2011は、Mac OSの検索機能であるSpotlightやバックアップ機能のTime Machineに対応しており、Windows版Outlookからのデータのインポート(.PST)も容易に行える。仲尾氏が「最新の技術をふんだんに使った」と語るように、Mac版OutlookはCocoaで開発され、スレッド化されたデータベースとなっており、Outlookを起動しなくてもSpotlightで内容の検索が可能だ。一方、新たに導入されたリボンUIは、操作の内容にあわせてツールが表示され、いろいろなテーマを視覚的に確認しながら適用できるのが特徴だという。仲尾氏は「Macユーザー向けに作られた“Mac専用”リボン。リボンの上に従来のツールバーやメニューを残し、ユーザーが自分でカスタマイズできる」と説明しながら、直感的に扱える様子をデモで示した。

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Office for Mac 2011の特徴を示す3つのポイント。「互換性」「おなじみのツール」「だれでもプロのような仕上がりに」

 3つめの「だれでもプロのような仕上がりに」では、より簡単に見栄えのいいドキュメントを制作できるように、メディアブラウザやダイナミックソートなどの新しいツール群を紹介。また、レンダリングエンジンが一新されて、画面の切り替え効果がより滑らかになった点や、Excelの表を視覚化(セル内にグラフを表示)して、数字の羅列を感覚的に把握できる新しい機能などを披露した。「プロ向けのツールは(使うために)知識を必要とするが、Officeはプロのためのソフトではない。自分が主張したい内容や成果物をプロの仕上がりで簡単に作成できる」(仲尾氏)。

Mac版でも導入されたリボンUI。操作の内容にあわせてツールが切り替わり、実際にどのような効果があるのか目で確かめながらテーマを適用できる。また、従来のMacユーザー向けにツールバーやメニューも残し、自分の好みにあわせてカスタマイズが可能だ。ちなみに選択できるテーマやテンプレートは、テンプレートギャラリーからインターネット上にあるものローカル環境と同じように閲覧し利用できるようになった(写真=左)。Excelに追加された新機能のスパークラインは、数字の羅列が続く表を視覚的に分かりやすくするツールだ。セル内にさまざまなグラフを挿入できる(写真=中央/右)
縦書きレイアウトのように、制作者側の意図を汲んだ表示ができるWord。デモでは読むことに集中できる全画面表示モードなど、Mac版ならではの機能が紹介された(写真=左)。PowerPointのデモでは、スライドに使う素材の簡易編集(トリミング・リサイズ)機能や、iPhotoライブラリ/iMovieプロジェクト/iTunesのMusicライブラリなどから素材を簡単に探し出せるメディアブラウザが紹介された。背景にはシャープネスやコントラスト、色、アート効果などのエフェクトも適用できる。写真はWebサイトからコピーした画像をリサイズ・トリミングして白抜きするデモの様子(写真=中央)。スライドに複数の素材を使用した際に、誰でも簡単にレイヤーの概念を理解しながら作業が行える「ダイナミックソート」もMac版Officeだけの機能だ。レイヤーの位置関係はドラッグで入れ替えられる(写真=右)

 このほか、2011年版ではパフォーマンスも大幅に向上した。実際にExcelで1万行のデータをグラフに変換する処理をデモしたところ、2008年版ではレインボーカーソルが表示され、処理を終えるまでに長い時間がかかったのに対し、2011年版では一瞬にしてグラフが表示された。同様にWordやPowerPointも非常に高速化しているという。

 米Microsoft MacBUのプロダクトユニットマネージャーを務めるジェフ・プライス(Geoff Price)氏は、「Office for Mac 2011では、プロダクティブスイートとして互換性が高く、なじみのある使い勝手のものをめざした。また、互換性の概念をクラウドにも広げようと考えたが、SkyDriveの対応は情報の共有や協業という意味でベストだと自負している。もう1つ、ドキュメントをエレガントに制作できること、レスポンスが速いことといった、基本的なユーザー体験の部分にもフォーカスした。課題は多かったがよくやったと思う」と振り返り、最新版のMac向けOfficeでは、ユーザーからの要望で最も多かった「互換性、Outlook、パフォーマンスのすべてに対して応えることができた」と自信を見せた。

左から米Microsoft MacBUのアンドリュー・ライダー氏、ジェフ・プライス氏、ハイン・ショー氏

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