「Optimus Technology」が実現するマルチディスプレイの疑問:元麻布春男のWatchTower(2/2 ページ)
「性能と省電力の両立」の視点で注目されるOptimus Technologyは、マルチディスプレイ環境でも大きな変化をもたらす可能性がある。その“変化”の理由とは?
Optimus Technologyの意外な影響力
Optimus Technologyの問題点を挙げるなら、片方のハードウェアの開発元であるインテルが認めた方法ではない、ということだ。そのため、インテルによる仕様変更でOptimus Technologyが利用できなくなる可能性が“理屈”ではありえることになる。
しかし、インテルの思惑によってOptimus Technologyが利用できなくなることはないだろう。インテルはCalpellaプラットフォームの開発を完了しており、今さら仕様変更を行うとは考えにくい。仮に、Optimus Technologyを封じるために仕様変更をするとしたら、迷惑するのはOEMやユーザーだ。FTCによる独禁法違反調査に関する和解で、サードパーティー製グラフィックスの接続を妨げないということが繰り返し出てきたことを考えても、インテルがOptimus Technologyを妨害するようなことはしないはずだ。
次世代のSandy Bridgeに対応する“Huron River”プラットフォームでは、Sandy Bridgeに統合されたグラフィックスコアと外付けGPUを同時に使用するマルチディスプレイ環境が標準でサポートされる。少なくとも、ソフトウェア的なトリックは不要になる。もちろん、ノートPCの統合型グラフィックスコアに外付けGPUによる描画結果を表示するには、マルチプレクサを用いた切り替えかCopy Engineに相当するハードウェアを使った転送処理のどちらかが必要になるが、そのソリューションはすでに存在する。統合型グラフィックスコアと外付けGPUの“併用”を実現したOptimus Technologyが切り開いた利用法は、意外と重要な、そして今後のディスプレイ利用環境に大きな影響を与えると考えて間違いないだろう。
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