「忘れないで。QNAPはあなたのそばにいる」:簡単NAS活用術
QNAPの身上はNAS。ネットにアクセスすれば、TurboNASがさまざまな方法で情報共有を手助けしてくれる。ファイルサーバやメディアサーバが欲しい人に。
マルチプラットフォーム対応
NASはNetwork Attached Storageの略称だが、その名のとおりネットワークに接続されたストレージを意味している。つまり、ネットワーク経由での利用が大前提だ。
現在、ネットワークはインターネットプロトコル(IP)にほぼ一本化されており、プラットフォームを越えて相互接続が可能となっている。しかし、その上のレイヤーはプラットフォームや用途によってさまざまなプロトコルがある。一口にファイル共有と言ってもその方式はさまざまだ。
TurboNASは、その多種多様なファイル共有プロトコルを多くサポートしている。1つの共有フォルダをWindowsの標準的なファイル共有プロトコルであるCFIS/SMB、MacのAFP、Linux/UNIXで一般的に利用されるNFSといったマルチプロトコルで共有できるため、異なるプラットフォームが混在する環境でも簡単にデータを集約することができる。CIFSではDFS(分散ファイルシステム)にも対応しており、2台以上のTurboNASを1台のように扱うことも可能だ。
ファイル転送プロトコルでは、FTPのほか、よりセキュアなFTPSやSSHのサブセットとして動作するSFTPも利用できるため、安全にインターネットを経由してファイルを共有できる。WebDAVも利用可能なので、オフィス内など、利用側のポートが制限されているときにも比較的利用しやすい。
共有ではなく、1つのフォルダを同時に1台しか利用しないのであれば、iSCSIを検討してもいいだろう。iSCSIは信頼性の高い高速なストレージ用プロトコルであるSCSIをTCP/IP上に実装したもので、使用容量にあわせて実際の物理的な占有容量が自動的に拡張されるシンプロビジョニングに対応している。そのため、例えば共有領域はCIFSやAFPで、各個人専用領域はiSCSIで、といったように用途に合わせた使い分けができる。また、TurboNAS自身もほかのTurboNASのiSCSIターゲットをマウントし、ローカルドライブであるかのように扱うことができるのだ。
メディアサーバとして使おう
このようにさまざまなプロトコルをサポートしているTurboNASだが、ファイルサーバとしてファイルを共有できるだけでなく、デジタルコンテンツを扱うメディアサーバとして活用することもできる。これにより、TurboNAS上のデジタルコンテンツをネットワークメディアプレーヤーなどから再生可能だ。
このメディアサーバもファイルサーバ同様、さまざまな機器によるさまざまなプロトコルが存在しているが、TurboNASがサポートするプロトコルも幅広い。PC用のメディアプレーヤーとして思いつくのは、まずiTunesとWindows Media Playerという人も多いと思われるが、それぞれiTunesサーバ、UPnPメディアサーバとして標準機能でサポートされている。
iTunesサーバにはスマートリスト機能があり、検索条件を設定しておくとその条件にマッチするものをプレイリストにしてiTunesから再生できる。もちろん、PCやMac上からはファイルサーバとして共有できるので、Apple Storeから購入したり、CDからリッピングした音楽ファイルを、iTunesからTurboNASへ保存することも簡単だ。家族みんなでTurboNASに音楽ファイルを集約し、自分が好きな曲は各自スマートリストで管理するといった利用方法は是非検討したい。
一方、UPnPメディアサーバ(DLNAサーバ)は、Twonky Media Serverで実装されており、ネットワークに接続されているメディアプレーヤーやPC上のWindows Media Playerなどから閲覧できる。ただし、保存されたファイル形式をリアルタイムに変換するトランスコード機能はJPEGのリサイズにしか有効にならない。
このほか、TurboNAS上で動作するもう1つのDLNAサーバとして、QPKGからインストールできるPMS(PS3 Media Server)がある。その名のとおり、PS3のメディアプレーヤーから利用することができ、TurboNAS上のDVD ISOイメージをPS3で再生することが可能だ。
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