レビュー

「A6-3650」と「Core i3-2100T」を比べてしまったイマドキのイタモノ(2/4 ページ)

当面、自作PCユーザーが遊べるデスクトップ版Llanoは「A8-3850」「A6-3650」のみ。で、A6シリーズのLlano/Lynxはどこまで走ることができるのか?

クアッドコアとHyper-Threading Technology対応デュアルコアで性能は互角

 評価で用いるシステム環境はA8-3850の検証作業とほぼ同じで、走らせるベンチマークテストも同一条件で計測している。ただし、A6-3650に関しては、6月28日に更新された評価用ドライバが適用できたため、これを用いている。

PCMark Vantage(その1)
PCMark Vantage(その2)
PCMark 7(その1)
PCMark 7(その2)
Sandra 2011.SP3(17.64) Processor Arithmetic
Sandra 2011.SP3(17.64) Processor Multi-Media
Sandra 2011.SP3(17.64)  Video Memory Bandwith、Video Rendering
Sandra 2011.SP3(17.64) Memory Bandwidth
CINEBENCH R10
MediaEspressoによるトランスコード処理
Sandra 2011.SP3(17.64)Cache and Memory A6-3650(Radeon HD 6350D) Core i3-2100T(Intel HD Graphics 2000) iGPU
1KB BlocKs 199.8 168.21
4KB BlocKs 202 171.33
8KB BlocKs 201.58 172.5
16KB BlocKs 200.15 174.22
32KB BlocKs 184.75 169.54
64KB BlocKs 173.24 160.71
128KB BlocKs 162 108.62
256KB BlocKs 152.59 98.47
512KB BlocKs 101.89 89.7
1MB BlocKs 79.6 62
4MB BlocKs 47.1 28.14
16MB BlocKs 12.53 15.8
64MB BlocKs 12.4 15.62
256MB BlocKs 11.79 15
1GB BlocKs 9.38 12

 PCMark Vantageのスコアは、A6-3650が10342でCore i3-2100Tが10441、PCMark 7のスコアも3064と3044で、ほぼ同等になる。PCMark Vantageのテスト項目を確認していくと、A6-3650が優位に立つのはTV and Movies、Gaming、Communicationsの3項目に限られる。A6-3650が強いのはエンターテインメント系限定で、プロダクティビティ系はCore i3-2100Tが優位だ。Core i3-2100Tが優位となる項目はいずれも大きな差になっている。

 PCMark 7の個別テストでも、A6-3650が優位となるのはentertainmentだけだ。ほかの項目はCore i3-2100Tが上回る。PCMark 7でもA6-3650はやはりエンターテインメント系が強い一方、プロダクティビティ系には弱いという傾向だ。特に、CreativityとComputationはCore i3-2100Tが倍近いスコアをつけている。これでOverallが同等になるのは、各テストの「配点」が影響しているということなのだろう。

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 Sandraでは、A6-3650もCore i3-2100Tもほとんど同じ動作クロックなだけに、Processor ArithmeticのDhrystoneとWhetstoneは大きな差が付かず、WhetstoneではA6-3650が優位に立った。一方、Processor Multi-MediaはCore i3-2100Tが強い。.NET ArithmeticとMulti-Mediaでも、A6-3650が優位となる結果が5項目中3項目もある。ただし、Athlon系のCPUでみられた傾向はそのままで、Multi-Media Float x1が弱い。Core i3-2100TがHyper-Threading Technology対応の論理的4スレッド同時実行に対し、A6-3650はクアッドコアによる4スレッド同時実行という違いを考えれると、結果は互角であってもA6-3650が苦戦しているのは否めない。

 Video RenderingとMemory Bandwidthは、すべてA6-3650が優位だが、一方で、Memory Bandwidth、およびCache and Memoryは、CPUの内部でこそクアッドコアが効いてCore i3-2100Tを上回るが、CPUの外に出たところで優位性を失っている。組み込んでいるメモリが、A6-3650ではDDR3-1600であるのに、Core i3-2100TはDDR3-1333という違いもあるが、CPUの性能とメモリのレイテンシの違いが影響している可能性はある。

 CINEBENCHでは、OpenGL性能がCore i3-2100Tと比べ4倍近いなど、統合グラフィックスコアの高い性能を示している。なお、A8-3850(400 Radeonコア/動作クロック600MHz) と、Core i5-2500K(Intel HD 3000)の比較では2.5倍だったのに対し、A6-3650(320 Radeonコア/動作クロック443MHz) とCore i3-2100T(Intel HD Graphics 2000)では約4倍の差まで広がっている。一方で、A8-3850とA6-3650の統合グラフィックスコアにおける性能差は、Intel HD Graphics 3000とIntel HD Graphics 2000と比べて小さい。

 なお、Multi CPUではA6-3650がCore i3-2100Tのスコアを抜いているのに、Single CPUのスコアはCore i3-2100Tよりも低い。このことは、A6-3650がクアッドコアであることが影響しているが、逆の視点からすれば、LlanoのIPCが“Sandy Bridge”に対して低いことも示しているといえる。

 MediaEspressoのトランスコードテストはハードウェア支援機能をオフにして、CPUの演算能力だけで比較した。そのため、クアッドコアの強みを発揮して、Core i3-2100Tを上回る結果を出している。変換に要した時間は、A6-3650が628秒に対してCore i3-2100Tは783秒かかっている。ただし、これをもってA6-3650が優位と言えるわけではない。Core i3-2100Tではハードウェア支援機能のQuick Sync Videoを使ってさらに短時間でトランスコードができてしまう点を忘れてはならない。

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