寝かせて、触って、気持ちいい――「HP TouchSmart 610PC」を体感する:“ピタゴラスイング”って一体……(4/4 ページ)
「HP TouchSmart 610PC」は、独特のスタンド機構を備えたタッチパネル付き液晶一体型PC。画面をグイッと横に寝かせて、楽な姿勢でタッチ操作できるのが魅力だ。
高品質な“Beats Audio”プレミアムスピーカー
画面の下部には、出力4ワット+4ワットの「Beats Audioプレミアムスピーカー」を内蔵している。Beats Audioは、ヒップホップミュージシャン/音楽プロデューサーのDr. Dre(ドクター・ドレー)がプロデュースするオーディオブランドだ。同社のノートPC「ENVY」シリーズなどで採用されており、豊かなスタジオサウンド/ライブサウンドの再現性には定評がある。
610-1120jpにはBeats Audioのフル機能は実装されていないが、Beats Audioプレミアムスピーカーのクオリティは高い。液晶一体型PCのサウンドとしては十分満足できるだろう。低域のパワー不足が気になるようならば、サブウーファーの追加をおすすめしたい。
通知領域から呼び出せるBeats Audioのコントロールパネルでは、ヘッドフォンや内蔵スピーカーに合わせた設定(音楽/映画/音声)や、ロックやクラシックといったさまざまなイコライゼーションが選べる。イコライゼーションはほどよくチューニングされた印象で、低域や高域を強調しすぎない点が個人的に気に入った。これなら積極的に使おうと思える。
PCとしての基本性能は十分、静音性や放熱性も問題なし
Windows 7標準の性能評価機能であるWindowsエクスペリエンスインデックスは、プロセッサのサブスコアが「7.1」と高く、その他のサブスコアもほとんどが「5」の後半だ。最低のサブスコアはグラフィックスの「5.2」だが、これくらいの数字ならば使用感に問題はなく、Windows 7の基本的な機能をストレスなく扱える。
各ベンチマークテストの結果も、610-1120jpのスペックを順当に反映している。3Dグラフィックスがやや弱いのは、CPU内蔵のIntel HD Graphics 2000の実力だが、FINAL FANTASY XI Official Benchmark 3ではHIGH設定で4190を出しており。ライトな3Dゲームや比較的古めのタイトルならば、問題なくプレイできるだろう。
静音性については、筆者の感覚だと「可もなく不可もなし」といったところ。ファンの音は決して大きくないが、一般的な使用距離で画面と正対していて聞こえるレベルだ。家族が寝静まった深夜など、環境によっては少し気になる場面があるかもしれない。アイドル時の動作音は無音に近く、本体に寄って聞き耳を立てれば、HDDの回転音が聞こえてくるくらいだ。ボディの放熱設計もしっかりしているようで、使用中に背面や上面の通気口に手を当てても、まったく熱くなかった。
新しい使い方が楽しめる“タッチPC”はファミリーにおすすめ
HP TouchSmart 610PC最大の魅力は、何といってもIPS方式の23型フルHD液晶パネルとピタゴラスイングによる快適なタッチ操作だ。ソフトウェア面の工夫もあり、この点は高い満足度が得られるだろう。
今回試用した610-1120jpはシリーズのエントリーモデルで、直販価格は10万9830円だ。タッチ機能を抜きにして、この価格帯の液晶一体型PCとして見ても、そつなくまとまっている。スペックと性能はバランスが取れており、ワイヤレスキーボード/マウス、Office Personal 2010が付属する点もよい。
ただし、そうした“一般的なオールインワンPC”という視点だけでは、610-1120jpを選ぶ決定打にはならないだろう。やはりタッチ操作を快適に使ってみたい人や、タッチ操作が行えることへの明確なメリットが存在する人にこそ、610-1120jpはコストパフォーマンスが高く、おすすめのタッチ対応PCといえる。
例えば、完全な個人用よりも、ファミリーで楽しみながら使うシーンがよく似合う。マウスを握っている人でなくても、別の人が横から画面をタッチして直感的に操作できるのは、複数人でワイワイ使う場合に面白い(逆に面倒なことになる場合も多そうだが)。また、子供の学習教材アプリケーションにも、タッチ操作は向いている。
なお、前述の通り、直販モデルの上位機種か量販店モデルならば、地上/BS/110度CSのデジタル3波チューナーと書き込み対応のBlu-ray Discドライブを搭載しており、基本スペックも高い。テレビ機能やより高性能を求めるならば、これら上位機種を検討するとよいだろう。
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