「Radeon HD 7970」で“Graphics Core Next”の実力と消費電力を探る:イマドキのイタモノ(1/3 ページ)
バッド、いや、グッドなタイミングで“Tahiti”がやってきた! 新世代GPUに期待は高まる。ならば! 花よりだんご! ケーキよりベンチマークテストだ(涙目)!
プロセスルールもアーキテクチャも一気刷新
「Radeon HD 7900」シリーズは、AMDのGPUポジション的にRadeon HD 6900シリーズの後継に当たる、ハイエンドラインアップだ。その最上位の「Radeon HD 7970」は、“Tahiti”(仏領タヒチ島)という開発コード名をつけていた。以下、“Pitcairn”(英領ピトケアン諸島)、“Cape Verde”(カーボベルデ、カーボベルデ共和国)と開発が続いている。Pitcairnがミドルレンジの「Radeon HD 7800」シリーズ、Cape Verdeがバリュークラスの「Radeon HD 7700」シリーズとなる。
Radeon HD 7970は、プロセスルールを28ナノメートルにシュリンクし、また、第3世代のPCI Expressに対応。そして、Windows 8で採用が予定されているDirectX 11.1をサポートする。チップ内部のアーキテクチャも刷新して全体的なパフォーマンスが向上したとAMDは主張する。
2009年に登場したRadeon HD 4770から、Radeon HD 5000シリーズ、Radeon HD 6000シリーズと3代に渡って採用してきた40ナノメートルプロセスルールから、ようやくシュリンクしたことになる。40ナノメートルから28ナノメートルに微細化するメリットは、消費電力の削減と、より多くのトランジスタ(特にGPUではシェーダ数の増加など)が見込めることだ。
第3世代のPCI Expressへの対応については、インテルのプラットフォームで、Intel X79 Expressチップセット搭載マザーボード(それと、一部のIntel 6シリーズチップセット搭載モデル)で、仕様上は第3世代PCI Expressの対応が始まっている。インテルのCPUでは、グラフィックス用のPCI ExpressインタフェースがCPUに統合された現状では、第3世代 PCI ExpressをサポートするCPUを搭載しなければ意味がない。あくまでも、“GPU側も準備は整った”に過ぎない。
PCI Expressは第1世代で片方向あたり2.5Gbps、第2世代で5Gbps、そして第3世代で8Gbpsの帯域を持つ。第1世代から第2世代の進化のように2倍の帯域増とはならないが、8ビット/10ビット符号化から128ビット/130ビット符号化へと変更してオーバーヘッドを減らすことで、現実的な帯域としては2倍近くになる計算とAMDは説明する。とりあえず、x16インタフェースの双方向で計算すれば8Gbps×2(双方向)×16レーン/8で32Gビット/秒となる。
DirectX 11.1に関しては、MicrosoftがMSDNでその概要を公開しているが、Radeon HD 7970ではフルサポートしているという。もっとも、ここで注目したいのは、2012年に登場するというWindows 8だろう。Windows 8がDirectX 11.1をサポートするとなると、それを先取りするという意味で価値がある。
Radeon HD 7970が搭載するシェーダ(StreamProcessior、AMDはRadeon Coreと呼ぶ)は2048基で、これはRadeon HD 6970からは512基増えたことになる。そのアーキテクチャに関して、AMDは「Graphics Core Next」(GCN)と名づけている。
型番 | GeForce GTX 580 | Radeon HD 7970 | Radeon HD 6970 | Radeon HD 6950 | Radeon HD 6870 |
---|---|---|---|---|---|
コードネーム | GF110 | Tahiti | Cayman | Cayman | Barts |
SIMD | 16(SM) | 32 | 24 | 22 | 14 |
ストリームプロセッサ数 | 512(CUDA Core) | 2048 | 1536 | 1408 | 1120 |
テクスチャユニット | 64 | 128 | 96 | 88 | 56 |
ROPユニット | 48 | 32 | 32 | 32 | 32 |
GPUコアクロック | 772 | 925 | 880 | 800 | 900 |
メモリクロック | 1002 | 1375 | 1375 | 1250 | 1050 |
メモリタイプ | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 | GDDR5 |
メモリ接続バス幅 | 384 | 384 | 256 | 256 | 256 |
メモリ容量 | 1536 | 3072 | 2048 | 2048 | 1024 |
補助電源レイアウト | 8+6 | 8+6 | 8+6 | 6+6 | 6+6 |
DirectXサポート | 11 | 11.1 | 11 | 11 | 11 |
PCI Express | 2 | 3 | 2.1 | 2.1 | 2.1 |
プロセスルール | 40ナノメートル | 28ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル | 40ナノメートル |
リファレンスデザインのコアクロックは925MHzで、1GHzはもう目の前だ。AMDによれば、オーバークロックで1GHz超は可能で、「headroom」は大きくとってあると主張する。グラフィックスカードベンダーから1GHz超のオーバークロックモデルが登場する可能性は高い。28ナノメートルプロセスルールが、あと1~2世代かけて製造も安定してくれば、定格設定で1GHzを超える製品が登場するかもしれない。
関連キーワード
Radeon | Radeon HD 7000シリーズ | GPU | AMD | 消費電力 | 28nmプロセス | グラフィックスカード | DirectX 11 | ATI Eyefinity | CrossFireX | イマドキのイタモノ
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.