レビュー

Ivy Bridgeの「Tick+!」な性能を試すイマドキのイタモノ(3/3 ページ)

Intel HD Graphics 4000に3Dトライゲートと、ただ22ナノにシュリンクしただけでないIvy Bridge。その実力とメリットを「Core i7-3770K」で確かめてみた!

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Ivy Bridgeの真価は統合グラフィックスコアにあり

 統合グラフィックスコアでは、DirectX 11に対応したが、実際のところ、統合グラフィックスコアでDirectX 11に対応する最新のゲームタイトルを動かすにはまだ性能不足といえる。そこで、統合グラフィックスコアの性能評価では、比較的“軽め”のゲームタイトルで測定を行った。

3DMark Vantage:3DMarks
StreetFighter 4(DirectX 9)
Biohazard 5(DirectX 10)
消費電力
MediaEspresso 6.5

 3DMark Vantageでは、Performance設定においてCore i7-3770KがCore i7-2600Kの2倍に迫るスコアを記録している。CPU Scoreも確かに上昇しているが、主な要因はやはりGraphics Scoreの向上だ。Performance設定で見ていくと、Core i7-3770KのGraphics Scoreは3300で、Core i7-2600Kは1724になる。CPU Scoreは、27749 対 23524となり、Graphics Scoreほどではないが、ここでも、大きな差となっている。

 DirectX 9荷対応するストリートファイター4(標準設定)では、Core i7-2600KとCore i7-2600(3.5GHz)でも解像度が1366×768ドットであれば60fpsをわずかに上回るところが、Core i7-3770Kでは、81.13fpsと、かなりのゆとりを持たせることが可能となる。また、DirectX 10対応のバイオハザード5(標準設定)では、こちらも解像度が1360×768ドットであれば30fpsを10fps以上上回ることができた。

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 消費電力では、まずグラフィックスカードを搭載した状態から見ていくが、TDPが77ワットになったとはいえ、実際の計測でCore i7-3770KはCore i7-2600Kとさほど変わらない結果となっている。一方で、Core i7-3960Xに対しては大幅に低い。また、統合グラフィックスだけの状態における消費電力の比較でも、Core i7-3770Kは、Core i7-2600Kよりわずかながら高い値となっている。

 Quick Sync Video 2.0のパフォーマンス測定では、CyberLinkのMediaEspresso 6.5の評価用β版を用いた。現在公開中のバージョンとは異なる可能性があるので、その点を踏まえて測定結果をみていきたい。AVCHDのソースファイルをiPhone 4S用のプロファイルで変換し、所要時間を計測した。結果は、Core i7-2600K、および、Core i7-2600(3.5GHz)に対して、Core i7-3770Kは約40秒ほど時間を短縮できており、Quick Sync Videoでも性能向上が確認できた。スマートフォンやタブレットデバイスなどで視聴するために、映像ファイルのトランスコードを行いたいユーザーには、Core i7-3770Kが効果を発揮しそうだ。

 なお、CPUで処理するソフトウェアエンコードでも、Core i7-2600K、および、Core i7-2600K(3.5GHz)に対してCore i7-3770Kは50秒近く処理時間を短縮できている。なお、ソフトウェアエンコードにおける最速はCore i7-3960Xだが、Core i7-3770Kとの差は約25秒だった。

パフォーマンスは着実に向上し、カジュアルなゲームも快適に

 Core i7-2600K(3.5GHz)との比較ゆえ、同じ動作クロックでもIvy Bridgeでパフォーマンスがアップしたと断定するわけにはいかないが、Core i7-2600Kに対しては、多くの項目でパフォーマンスアップが確認できた。メモリでサポートしたDDR3-1600も、これまでOCで対応できないことはなかったが、これが標準サポートされることにより安心が得られる。統合グラフィックスコアとQuick Sync Videoでも着実な向上が見られる。Ivy Bridgeによって「CPU単体で出来ること」が確実に増えているといえるだろう。

 なお、消費電力の値に関しては、今後再検証していく必要があるだろう。ドライバやBIOSチューニングなどで、CPU本来の省電力性能が発揮できていないことも考えられる。ただ、省電力性能に優れていたSandy Bridge世代のCPUに対して、Ivy Bridge世代のCPUが大幅に増えているわけではない。

 すでに販売を開始しているIntel 7シリーズチップセット搭載マザーボードでは、Ivy Bridge世代のCPUを搭載することによってPCI Express 3.0や統合グラフィックスコアからの3画面同時映像出力など、Intel 7シリーズの性能を最大限に引き出すことが可能になる。Ivy Bridge世代のCPUでは、Quick Sync Video 2.0のように、PCをハブとしたメディアライフの快適度も向上している。パフォーマンスを重視するユーザーだけでなく、スマートフォンやタブレットデバイスをもっと活用したいユーザーにもメリットのあるCPUといえるだろう。

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