レビュー

良くできたカジュアルPCオーディオ、ヤマハ「YSP-4300」を徹底検証(後編)リビングにも音楽を(2/2 ページ)

前回、ヤマハ「YS-4300」のサラウンド機能を中心に紹介したが、今年のYSPシリーズにはもう1つ見逃せない点がある。それはワイヤレスオーディオ機器としての使い方だ。

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こちらはMac OS用プレーヤーソフト「Audirvana」(フリー版)の設定画面。オーディオデバイスとして選択するだけで、使えるサンプリング周波数が表示された

 AirWiredは、一般的な無線LANと同じ2.4GHz帯を利用するが、干渉にはかなり強い。今回は同じ室内で据え置きのIEEE 802.11n対応無線LANアクセスポイントと2つのモバイルルーターが稼働し、PCの設定を開けば近隣家庭のアクセスポイントが10個ほどリストアップされるという劣悪な環境だったが、音の途切れなどはまったく発生しなかった。電子レンジなどを動かせばまた違うかもしれないが、普段の干渉については心配しなくて良さそうだ。

 では、実際に音楽を再生してみよう。事前に「インテリビーム」による音場設定を済ませている。

クセのないフラットな音、DSPオンでも楽しい

 まず、DSPを使わないステレオ再生では、左右のセパレーションが良好で、クセのないフラットな音を奏でてくれた。中低音がとても小気味よいのはメインユニットに左右端に配置されたウーファーユニットのおかげだろう。あえて例えるなら、16~20センチ径程度のウーファーを持つコンパクトスピーカー的な鳴り方だ。この点に関しては間違いなく「YSP-2200」より進化している。

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 積極的に利用したいと感じたのは、「ビームステレオ」モードだ。サウンドバーがテレビの画面下にあるにもかかわらず、あたかもテレビの左右にスピーカーが設置されているかのようなステレオ感に変化する。ぐっと音場が広がるのだ。ワイドな音場といっても、意図的に定位を変化させるだけの製品が多いなか、これはYSPシリーズだけのメリットといっていいだろう。

6.5センチウーファーがオーディオ的な使い方を広げたのは間違いない(左)。ビームスピーカーの数は、YSP-4300が22個、YSP-3300は16個(右)

 ビームステレオの良い所は、部屋中どこにいても音質の変化が少ないことだ。ビームスピーカーの副次的な効果ともいえるが、壁際の端にいても自然な音が聞こえてくる。もちろん音質にまったく変化がない訳ではないし、ステレオ感も正確ではないが、BGMとして音楽を楽しむにはとても便利。まさに部屋が“音楽に満たされる”感覚といっていい。

 では、サラウンド効果を加えるとどうなるのだろう。こちらはやはり、ソースに合わせて適切なモードを選ぶ必要があるもの、臨場感はぐっと上がる。エフェクトも誇張が少なく、例えば「ミュージックビデオ」は、ボーカルにほとんど変化のない状態で、演奏だけがぐっとワイドに広がる。「コンサートホール」は、演奏にぐっと奥行きが増す。「ジャズホール」は、逆に前の前で演奏が行われているかのように音が迫ってくる印象だ。またビームスピーカーの指向性を調整して、リスニングスポット(適切なサラウンド効果が得られる場所)の広さを調整できる点も、YSPシリーズならではの部分だろう。

 全てのサラウンド効果にいえることだが、エフェクトは極めて上品で誇張が少ない。とくに音楽向けのサラウンド効果は残響音や反射音を無理矢理付け加えたような印象がほとんどない。違和感のない自然な効果に仕上がっている。加えて無音部分のホワイトノイズなども皆無である。このあたりは、長年DSPを手がけてきたヤマハならではと感じた。

テレビだけじゃない、普段使いのPCオーディオに

こちらは「YSP-4300」。前面にUSB端子を備え、iPod/iPhone/iPadのデジタル接続やUSBメモリーからの楽曲再生が可能だ。iPhoneなどの充電も行える

 「YSP-3300」と「YSP-4300」は、テレビの楽しみ方を変えてくれる製品であるが、カジュアルに使えるオーディオ機器としても魅力的だ。イヤフォンやヘッドフォン全盛の時代にあって、スピーカーから音を出す機会を増やしてくれるアイテムとして注目したい。普段はiPhoneとイヤフォンで音楽を聴いている人でも、ワイヤレストランスミッターをつなぐだけで、脳内定位とは全く違う音楽を楽しめる。

 また、YSPシリーズは音に誇張を加えない自然なDSP処理を行える。例えば自室に立派なPCオーディオシステムを持っている人が、音源ファイルの詰まったPCをリビングに持ち込んだとしても、違和感なく使えるはずだ。同じプレイリストでも、DSP処理でライブ会場やコンサートホールのような効果を加えたら、また違う面白さがある。イヤフォンやピュアオーディオ機器とは異なるバリューを持つオーディオ機器としての「YSP-4300/3300」。カジュアルなオーディオシステムとして活用してみてはいかがだろうか。

自信満々? 冗舌なYSPが自分を売り込む「Message from YSP」

 毎回、趣向を凝らした製品特設ページを作成するヤマハ。今回紹介する「Message from YSP」は、YSPシリーズ自身がユーザーに向けて自分をアピールするというユニークなコンテンツだ。

 「どのヤマハの音を選んでも間違いはありません。でも、映画やサラウンドの音を存分に楽しむのなら、やっぱり私を選ぶのが正解かな……と。」など、一見しおらしいセリフだが、実際のサイトを見ると一部が大きな字になっており、まったくしおらしくない。自信満々である。

 でも、「我が家のリビングがスポーツバーになったのは、奥様の手料理と私の音のおかげだと思います。」というセリフは、「私の音」ではなく、「奥様の手料理」が太字になっていたりする。さすがYSP、誰がサイフを握っているのかをよく分かっているようだ。

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