802.11ac国内解禁──NEC、「802.11ac」対応のギガビット無線LANルータ「AtermWG1800HP」を発表:ついに正式発表、最大1.3Gbps
無線LANの新規格IEEE802.11ac(Draft)対応の高速無線LANルータがついに登場。新規格とともにNEC独自の先端技術を採用し「802.11acの中でも、より小型・高速・安定」を訴求する。最上位モデルは最大1.3Gbpsで通信可能、さらに無線LAN電波を中継する「Wi-Fi高速中継機能」も搭載した。
最大1.3Gbps、無線LANの新規格「IEEE802.11ac(Draft)」対応無線LANルータ
NECアクセステクニカは3月27日、最大1.3Gbpsでの通信に対応するIEEE802.11ac(Draft)準拠の無線LANルータ新モデル「AtermWG1800HP」など、全6モデルを発表、2013年4月初旬に発売する。電波法改正により国内での802.11acが解禁となった。
ラインアップは最大1.3Gbpsでの3×3 MIMO通信に対応する個人向けハイエンドモデル「AtermWG1800HP(PA-WG1800HP)」、WG1800HPを2台セットにした「AtermWG1800HPイーサネットコンバータセット(PA-WG1800HP/E)」、最大867Mbps通信(2×2 MIMO)に対応する11acスタンダードモデル「AtermWG1400HP(PA-WG1400HP)」、同機種の2台セット「AtermWG1400HPイーサネットコンバータセット(PA-WG1400HP/E)」、WG1400HPと11ac対応スティック型USB無線LAN子機をセットにした「AtermWG1400HP USBスティックセット(PA-WG1400HP/U)」、11ac対応スティック型USB無線LAN子機「AtermWL900U(PA-WL900U)」の前6モデル。
価格はオープン、発売時実売価格はAtermWG1800HPが1万9000円前後、WG1800HPイーサネットコンバータセットが3万5000円前後、AtermWG1400HPが1万6000円前後、WG1400HPイーサネットコンバータセットが2万9000円前後、WG1400HP USBスティックセットが2万3000円前後、AtermWL900Uが9000円前後と予想される。
最大ポイントは次世代無線LAN規格「IEEE802.11ac(Draft)」への対応だ。802.11acは5GHz帯のみを用い、規格理論値最大約7Gbps。第一世代では実効スループットで1Gbpsクラスの到達を想定し、これまでの802.11nより「高速」「広エリア」で、4Kクラスの高解像度映像の伝送なども実用範囲で利用できるパフォーマンスを特長とする。チャンネルボンディングによる周波数帯域の拡大(最大160MHz幅)、通信の多重化(最大8×8 MIMO)、変調方式の多値化(256QAM)、フレームアグリゲーション(隣り合うチャンネル/送信データを束ね、フレーム単位で一度に送れるデータ数を増やす手法。データフレームサイズは11n比で16倍となる1048757バイト)などにより高速化を実現する。
これに加え、AtermシリーズはNEC中央研究所で開発した独自の先進技術を積極採用することで他社との差別化を図る。1つめは世界初採用の「μ(マイクロ)EBG」。メタマテリアルと呼ぶ人工媒質の1種で、特定の周波数ノイズのみカットできる特性を持つ「Electoromagnetic Band Gap(EBG)」をプリント基板に構造として搭載した。これにより、アンテナの受信感度が最大で約10倍向上し、かつ、これまで実施していたノイズ対策のための部品が不要になることでボディの大幅な小型化も可能にしている。
もう1つは「μ(マイクロ)SRアンテナ」。金属リングの一部を切断したC字型構の共振器/磁性体としての性質を示す構造体「SSR(Sprit Ring Resonator/スプリットリング共振器)をプリント基板に複数積層する構造を採用し、十分な性能を維持したまま世界最小クラスのアンテナ素子に設計、さらに全方向への電波放射特性を持つことにより、アンテナ占有面積を従来モデル比で88%も削減させた。なお、今回の新モデルもAtermシリーズならではの「アンテナ内蔵の省スペースボディ」「横置き、壁掛けも可能」といった設置性・利便性のよさを継承している。
既存規格となるIEEE802.11a/b/g/nについても、最大450Mbpsの2.4GHz帯/5GHz帯を全方位サポートする。1台で複数のSSID(無線LANアクセスポイント)を個別に管理できるマルチSSID機能によりセキュリティ設定や対応周波数帯を分けた運用も可能なため、2.4GHz帯のみに対応するスマートフォンや携帯ゲーム機、古めのノートPCなどももちろん併用できる。簡単Wi-Fi設定は、従来通りQRコード読み取りでOKとする「AtermらくらくQRスタート」のほか、らくらく無線スタート、らくらく無線スタートEX for Android、らくらく無線スタート for Mac、WPSなど、多彩な方法を選択可能。このほか、タイマー設定で一時的にWi-Fiを使えるよう設定できる「ゲストSSID」機能も新設した。
AtermWG1800HPの本体サイズは33(幅)×111(奥行き)×170(高さ)ミリ、重量や約400グラム(ACアダプタ除く)。消費電力は最大17ワット。搭載インタフェースは1000BASE-T有線LAN×5(うち1つはWAN側)、USB 2.0×1。AtermWL900Uの本体サイズは28(幅)×86(奥行き)×14(高さ)ミリ、重量約20グラム。対応OSはWindows 8/7/Vista(32ビット版のみ)/XP SP3(32ビット版)。接続はUSB 3.0を推奨する。
ハイクラス志向の層向け機能として、AtermWG1800HPは「Wi-Fi高速中継機能」も搭載する。Wi-Fi電波が届きにくかった階上の部屋/離れた部屋でも本機のイーサネットコンバータセットモデルで“高速なまま”容易に対応できるようにした。
無線LAN中継機能について、他機種の2.4GHz帯対応Wi-Fi中継機は“時分割形式”で通信を中継するため、最大300Mbpsモデルは中継区間で分割され、速度はその半分の150Mbpsになる。対してWG1800HPの中継は5GHz帯と2.4GHz帯の異なるバンドを用いて中継する仕組みにより、WG1800HPどうしは5GHz帯を用いて最大1300Mbps、中継器からクライアントまで2.4GHz帯を用いて最大450Mbpsの通信が可能。中継しても「高速・快適」なまま通信できるメリットを挙げる。(初出時、一部記述に誤入力がありましたので修正しました。正しくは上記の通りです)
このほか、市販モデルとして初となる「IPv6ルータ機能」も実装し、NTT東西「フレッツ光ネクスト」のIPv6 PPPoE方式に対応。従来単独で必要だったのIPv6トンネル対応アダプタ不要で利用できるようになる。
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