“激戦区”に投入された7型タブレット「iriver ITQ701」を選ぶ理由は?:1万9800円(2/2 ページ)
7型Androidタブレットの新鋭機「iriver ITQ701」が登場し、「Nexus 7」に真っ向勝負を挑む。ただし、ハードウェアスペックも2万円切りの価格ももほぼ横並び。後発の利はどこにある?
Tegra 3搭載でパフォーマンスは十分
それではベンチマークテストの結果を見ていこう。ITQ701の基本スペックをおさらいすると、クアッドコアのTegra 3(T30L Cortex-A9 1.2GHz※スペック表では1.2GHzとなっているが、ベンチマークテストでは1.3GHzと表示されていた)に1GバイトのDDR3Lメモリと、16Gバイトの内蔵フラッシュメモリを内蔵し、5点マルチタッチ対応の静電容量式7型ワイドIPS液晶ディスプレイ(1280×800ドット)を搭載。ネットワーク機能として、IEEE802.11b/g/n対応無線LANとBluetooth 4.0を備えるほか、加速度センサーやGPS、デジタルコンパスといった各種センサーも一通りそろえている。OSのバージョンはAndroid 4.1.1(Jelly Bean)で、Googleアプリをプリインストールしたシンプルな構成だ。もちろんGoogle Playにも対応する。
ベンチマークテストでは、比較対象として、競合するNexus 7 (16Gバイトモデル)と、10型サイズのNexus 10 (16Gバイトモデル)を並べている(なお、Android OSのバージョンが異なる点に留意してほしい)。比較機種のスペックは以下の表にまとめた。
製品名 | ITQ701 | Nexus 7(16GBモデル) | Nexus 10 (16GBモデル) |
---|---|---|---|
メーカー | iriver | Google (ASUSTeK Computer製) | Google (Samsung Electronics製) |
液晶ディスプレイ | 7型IPS | 7型IPS | 10.055型IPS |
画面解像度(画素密度) | 1280×800ドット(約216ppi) | 1280×800ドット(約216ppi) | 2560×1600ドット(約300ppi) |
SoC | NVIDIA Tegra 3 | NVIDIA Tegra 3 | Samsung Electronics Exynos 5 |
メモリ | 1GB | 1GB | 1GB |
ストレージ | 16GB | 16GB | 16GB |
通信機能 | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 4.0 | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC | IEEE802.11b/g/n無線LAN、Bluetooth 3.0、NFC |
搭載センサー | GPS、デジタルコンパス、加速度 | GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ | GPS、デジタルコンパス、照度、加速度、ジャイロ、気圧計 |
カメラ | 約200万画素(イン) | 約120万画素(イン) | 約190万画素(イン)、約500万画素(アウト) |
インタフェース | microSDカード(SDHC対応) | - | - |
バッテリー駆動時間 | ビデオ再生時:最大7時間 | ビデオ再生時:最大9.5時間 | ビデオ再生時:最大9時間 |
まずは「Quadrant Professional Edition 2.1.1」(Aurora Softworks)と「AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3」(AnTuTu)を見ていこう。
Quadrant Professional Edition 2.1.1の結果は、総合スコアでITQ701がライバルのNexus 7を上回った。個別に見ると、CPUで劣る半面、IOや2Dの結果で大きく差をつけている。Memoryと3Dの結果はほぼ横並びだ。ちなみにNexus 10はデュアルコアのためCPUでは低い数字が出ているが、総合スコアではトップに立っている。
AnTuTu 安兎兎ベンチマーク 3.3も同様に、総合スコアではITQ701がNexus 7を制した。個別スコアを見るとそれほど差はないが、ほぼすべての項目でITQ701がわずかに良好な成績を出しており、全体的に勝っている。あくまでベンチマークテストの結果であり、実際の使用感を反映したものではないが、少なくとも処理性能でNexus 7に劣るということはなさそうだ。
続いて、3Dグラフィックス性能を見るために「3DMark Android Edition」を、Webブラウズの性能を見るために「Octane v1」をそれぞれ試した。3DMark Android Editionは、プリセットとして用意された2種類(レンダリング解像度が1280×720ドットのIce Stormと、より負荷の高い1920×1080ドットのIce Storm Extreme)を実行している。
結果を見るとNexus 10が大差をつけてトップに立っている。デュアルコア(Cortex-A15/1.7GHz)のExynos 5を搭載するため、QuadrantなどのCPUスコアでは振るわなかったが、グラフィックスでは高い性能を見せつけた形だ。ITQ701とNexus 7では、Ice StormでITQ701が大きく上回る一方、負荷の高いIce Storm Extremeではそれほど差はついていない。個別に見ると、Nexus 7はIce StormのGraphicsで大きくスコアを落としており、全体的にCPU演算性能を測るPhysicsでもやや低い傾向が見てとれる。同じハードウェアスペックとはいえ、排熱処理や測定環境によってもスコアが左右されるが、いずれにせよここではITQ701のほうがより高いスコアを示した。
一方、OctaneでもNexus 10が圧倒的な強さを見せつけているが、ITQ701とNexus 7の比較ではこれまでの傾向とは異なり、Nexus 7が逆転している。これはAndroid OSのバージョンが違う影響もあるだろう(Nexus 7はAndroid 4.2.1、ITQ701がAndroid 4.1.1)。
なお、負荷の高いベンチマークテスト中は、横位置で正面から向かって右半分の背面側(端子があるほう)がやや熱を帯び、本体を持つ右手に暖かさを感じたが、不快なほどではない。バッテリー容量は3.7ボルト/4000ミリアンペアアワーで、公称最大7時間動作(ビデオ再生時)をうたう。Nexus 7の約9.5時間に比べてやや短いが、画面輝度を最大に設定して、1分間に1回WebブラウザでPC USERのトップページをリロードし続けたところ、3時間経過後のバッテリー残量は59%とかなり長持ちする印象だ。通勤・通学の行き帰りや出先でプレゼンするといった程度の用途なら、毎日就寝時に充電しておくだけで十分だろう。
以上、7型タブレットの新鋭機「iriver ITQ701」を見てきた。このクラスのタブレットもいずれ“Retina化”していくと思われるが、現時点でのスペックや機能、コストパフォーマンスは、後発だけあってさすがに隙がない。また、直接のライバルであるNexus 7と比較しても、microSDHCカードスロットというアドバンテージがある。常時接続できる手段を持っていないのなら、大量のデータをローカルに保持できる安心感は大きい。
「Nexus 7にmicroSDがあればなー」と思っていた人はもちろん、通勤・通学や出張などのスキマを埋めるために大量の動画や書籍を常に持ち歩きたいという人は、真っ先に検討したい1台だ。
関連キーワード
iriver | Androidタブレット | アユート | IPS方式 | Tegra 3 | Google Play | GPS | microSDカード
関連記事
IPSパネル搭載、microSDHCカード対応:iriver、Tegra 3搭載で2万円を切る7型Androidタブレット「ITQ701」
アユートは、iriverブランド製となる7型Androidタブレット「ITQ701」の取り扱いを開始する。iriver、キャンディーバーをモチーフにしたミュージックプレーヤー
マウスコンピューターは、キャンディーバーをモチーフにしたカラフルなミュージックプレーヤー「T8 Candy Bar(キャンディーバー)」を7月30日より発売する。iriver、ネックレス型イヤフォンとタッチキー採用のメモリプレーヤー「N15 JEWEL」
マウスコンピューターは、ネックレス型イヤフォンと光るタッチキーを採用したメモリプレーヤー「N15 JEWEL(ジュエル)」を発表した。iriver、録音対応の高機能マルチメディアプレーヤー「E150」
マウスコンピューターは、iriverブランドのマルチメディアプレーヤー「E150」を発表した。4Gバイト/8Gバイトモデルを用意。iriver、動画対応ポータブルプレーヤー「E50 METAL」に8Gバイトモデル
マウスコンピューターは、同社製メディアプレーヤー「E50 METAL」の上位製品となる8Gバイト搭載モデルを発表した。iriver、ネオンのように操作面が光る「T6 NEON」
iriverjapanからフラッシュメモリプレーヤー「T6 NEON」が発売。液晶画面上のアイコンがネオンのように光る。iriver、スリムボディで52時間再生可能なメモリプレーヤー「E50 METAL」
iriverjapanが約8ミリのスリムボディながら、で52時間再生可能なメモリプレーヤー「E50 METAL」を発売する。iriver、着せ替えフレーム付きの7型液晶デジタルフォトフレーム「framee-L」
iriverは、デジタルフォトフレーム新シリーズ「framee」の第1段製品「framee-L」を発表した。iriver、3.3型タッチパネル/Bluetooth対応のメディアプレーヤー「SPINN」
iriver japanは、タッチパネル機能装備の3.3型ワイド有機ELパネルを搭載する携帯オーディオプレーヤー「SPINN」を発売する。2013年春版 7型タブレット横並びチェック:サイズ感、重さはどう?――7型タブレットの携帯性を検証
ノートPCや10.1型タブレットより優れる“携帯性”と、スマートフォンより優れる“見やすさ・使いやすさ”──。注目の「7型タブレット」現行モデルを一挙15機種集め、その特長や機能を横並び比較する。まずは「サイズ感と重量」から。注目タブレットデバイス情報はここから:タブレット USER
iPad2、GALAXY Tab、XOOM、Optimus Pad、Eee Pad、ICONIA TAB……iOS/Android/Windowsなど、OS/サイズ別に話題のタブレットデバイス情報を集約!!
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.