「VAIO Duo 13」を“徹底解剖”したらPCの未来が見えてきた:VAIO完全分解&開発秘話(後編)(7/7 ページ)
ソニーが国内で製造する「VAIO Duo 13」は、先進性が際立つ13.3型コンバーチブルPC。実機を徹底分解すると、PCがこれから進むべき未来が見えてくるようだ。
モバイルPCを次のステージへ導くVAIO Duo 13
最後に毎度恒例だが、開発陣にVAIO Duo 13の完成度を自己採点してもらったところ、皆が「満点」とのことだった。VAIOの開発陣に対して、新型のモバイルノートPCが登場する度、同様のインタビューを行っているが、特に安曇野モデルでは開発者の方々の満足げな表情が印象的だ。これに連なるVAIO Duo 13の開発陣からもやはり同様の「やりきった感」が伝わってくる。
開発を取りまとめた笠井氏は「VAIO Duo 11で作り上げた“Surf Slider”の課題を克服し、高次元でブラッシュアップできたのが最大の成果。特に超長時間バッテリーや0.3秒の瞬間復帰、Connected Standbyのサポートなど、他社の第4世代Core搭載機に先駆けて最先端のPCを作り上げることができたのは大きい。これにより、ペンの使い勝手や紙のノートの置き換えといった個性がより鮮明になった。安曇野で製造と設計が一体になって作り込むからこそ、その時点で最高峰のPCができるし、今後もそれは変わらない」と、製品への愛情と誇りをのぞかせた。
このようにVAIO Duo 13は非常に先進的なPCなのだが、変形機構やボディデザインが独特なので、写真を見たり、店頭で少し触れるくらいでは、その価値を判断しにくいだろう。人によっては「斬新すぎて取っつきにくい」と評するかもしれない。また、同時発表のVAIO Pro 11/13が「従来型のクラムシェルノートで薄型軽量を徹底追求する」という非常に分かりやすいモデルだったため、そちらが目立ってしまった感もある。
つまり、多くのユーザーはまだVAIO Duo 13の先進性とそれが提供する新たなPC体験の素晴らしさに気付いていないだろうが、これは実に惜しい。第4世代CoreのUシリーズをベースとして、最先端のモバイルPC向け技術とソニー独自技術を高次元で融合させ、PCのよさ、(大型ではあるが)タブレットのよさ、ペンと紙のよさをうまくバランスさせた、他に類を見ないモバイルPCに仕上がっているのだ。
特にパワフルなモバイルPCでありながら、バッテリーを気にせず持ち歩き、スマートフォンやタブレットと同様、実質スリープ中でもメールやアプリの通知が可能で、使いたいときにサッと使える、しかもペンですぐに書き始められるという体験は、これまでのハイパフォーマンスなモバイルノートPCでは実現できていなかった。その先進性がPCに新たな利便性をもたらしているのだ。今後のPCが進むべき未来を先取りした画期的な1台といっても過言ではない。
発売から約3カ月がたち、年末商戦に向けて各社からPC秋冬モデルが登場しようとしているが、その中にあってもVAIO Duo 13の強みは色あせることがないだろう。それほど先行している。PCの未来をいち早く体感したい方、ペンも含めたコンバーチブル型PCが気になる方は、今からでもVAIO Duo 13をじっくり試してみることをおすすめしたい。
筆者としては、今後のVAIO Duoあるいはそれに連なる安曇野モデルがどのように進化していくのか、そしてどのような新しいPCの価値を提案するのか、ますます期待が膨らんだロングインタビューとなった。
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