実機で見る「MEMS-IGZO」と「これまでのIGZO」:CEATEC JAPAN 2014
シャープが開発中の「MEMS-IGZO技術」ディスプレイ搭載タブレットの実機がCEATEC 2014に登場した。新技術の画質と省電力性能をチェックする。
従来のIGZOとはまったく別物
シャープは、10月7日に開発を表明したMEMS-IGZO採用7型ディスプレイ搭載Androidタブレット「メディアタブレット」(仮称)を10月7日から11日まで開催しているCEATEC JAPAN 2014の同社ブースで展示している。
取り外し不可のアクリルケースに入った状態の展示で、依然として本体サイズは明らかにしていないが、本体に搭載したインタフェースの配置や四隅に設けたカバー状デザインの意味、そして、MEMS-IGZO技術を採用したディスプレイにおける色再現性や外光下における視認性、そして、従来タイプの液晶ディスプレイと比較した消費電力の違いを確認できる。
出荷開始予定は2015年上半期からと、まだまだ開発途上にあるメディアタブレットだが、展示品の説明をしていたスタッフによると、本体のデザインや仕様はほぼ最終状態に近いという。メディアタブレットの開発表明資料によると、本体に防水性能を持たせるとしているが、ボディの四隅にはプロテクタらしきカバーを設けていて耐衝撃性も有しているようにもみえる。しかし、説明スタッフによると、現時点で耐衝撃性をもたせる予定はなく、四隅のカバーもデザイン的な意味で設けていると語っていた。
MEMS-IGZO技術では、「R」「G」「B」と切り替わって光るバックライトにあわせてシャッターを開閉することで表示する色を制御する。ディスプレイを構成するフィルタやパネルが従来の液晶ディスプレイと比較して少なくなるため、バックライトの透過率が2~3倍に向上し、少ない消費電力で従来の液晶ディスプレイと同等の輝度を確保する。
また、シャッターを開閉するクロックを上げることで表示できる色数を増やすことができるが、逆に表示する色数を少なくすれば開閉クロックを下げて消費電力を抑えることもできる。メディアタブレットでは、NTSC比120%の高色再現性を実現する一方で、表示する色数を下げることで省電力のカラー表示からグレースケール表示にして消費電力を抑えることも可能だ。
従来のIGZO技術採用ディスプレイでは、表示するコンテンツにあわせてディスプレイの垂直同期クロックを変えることで消費電力を下げていたが、MEMS-IGZO技術ではシャッターの開閉クロックを制御して表示できる色数を抑えることで消費電力を抑えている。その意味で、MEMS-IGZO技術と従来のIGZO技術はほとんど別なものになる。基本的な原理や制御方法、ディスプレイの構造はPixtronixの技術を利用しており、シャープはPixtronixの技術を量産する段階における生産技術で協力したと説明している。
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