使い勝手が向上した「Windows 10 Technical Preview」のコマンドプロンプトを試す:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
「デスクトップの復権」と評されるWindows 10。地味ながら象徴的なのが、Technical Previewに見られるコマンドプロンプトの使い勝手向上だ。拡張されたキーボードショートカットを中心に、新しいコマンドプロンプトを見ていこう。
コピー&ペースト
今まで「できそうで、できなかった」キーボードショートカットによるコピー&ペースト機能。Windows 10 TPのコマンドプロンプトで、ようやく正式サポートされることになった。
- 「Ctrl」+「C」:指定範囲の文字をクリップボードにコピー
- 「Ctrl」+「Ins」:指定範囲の文字をクリップボードにコピー
- 「Ctrl」+「V」:クリップボード内の文字を貼り付け
- 「Shift」+「Ins」:クリップボード内の文字を貼り付け
これを見て「おやっ?」っと思った人は勘がいい。従来までのコマンドプロンプトであれば、「Ctrl」+「C」は「停止処理」のためのショートカットであり、UNIX等のシェルにおいても共通のコマンドとなっている。多くのユーザーが利用している「Ctrl」+「C」のショートカットが、コマンドプロンプトでだけはサポートされてこなかったのも、この“バッティング”に一因がある。
だが、Windows 10 TPのコマンドプロンプトはいくぶんかインテリジェントに作られており、範囲選択時の「Ctrl」+「C」は「コピー」、それ以外のタイミングでの「Ctrl」+「C」は「停止処理」と、操作状況によって挙動を変えて動作する仕組みだ。また、コピー&ペーストの操作には別のキーボードショートカットも用意されている。
「Mark Mode」時の操作
単純な「Shift」+矢印キーによる範囲選択がすべての場面では使いにくい理由として、画面上(もしくはバッファ上)の特定文字列のみを選択する操作が難しいことが挙げられる。例えば「ipconfig」コマンドでIPv4アドレスやIPv6アドレスを表示させても、単純な範囲選択では複数ラインごとにコピー対象としてしまい、この場合に対象としたい「IPアドレスのみ選択」といった操作が難しい。
そこでコマンドプロンプト上でカーソルを自在に動かして範囲選択できる「Mark Mode」の登場となる。「Ctrl」+「M」キーでMark Modeへ移行すれば、好きな範囲を自由に選択可能だ。
もう1つのメリットとして、Mark Modeでは「マウスによる範囲選択」も簡単に行える。そこで応用として、「ipconfig」コマンドでIPアドレスを画面に表示させてキーボードでMark Modeへ移行し、マウスで範囲選択を終えたら「Ctrl」+「C」で素早くコピーする、といった一連の操作が可能だ。キーボードのみ、あるいはマウスのみの操作よりも素早く行えることだろう。
- 「Ctrl」+「M」:Mark Modeへ移行/Mark Mode終了
- 「矢印」キー:カーソル移動
- 「Shift」+「Alt」:範囲選択時にブロック(方形)選択モードに移行
- 「Page Up」「Page Down」:カーソルをページ単位で移動
- 「Ctrl」+「Home」:カーソルをバッファ先頭へ移動
- 「Ctrl」+「End」:カーソルをバッファ最後尾へ移動
履歴バッファの閲覧
範囲選択の部分でも紹介したが、キーボードショートカットで履歴をさかのぼることも可能だ。過去の表示結果を参照できるほか、Mark Modeとの併用で使い勝手が向上する。
- 「Ctrl」+「↑」または「↓」:履歴を1行分さかのぼる(もしくは戻す)
- 「Ctrl」+「Page Up」または「Page Down」:履歴を1ページ分さかのぼる(もしくは戻す)
検索ウィンドウの表示、その他
Windows 10 TPのコマンドプロンプトには特定の文字列をバッファ内から検索する機能がある。素早く履歴から目的の情報をたどりたい場合に使えるだろう。
- 「Ctrl」+「F」:「検索」ダイアログの表示
- 「Alt」+「F4」:コマンドプロンプトの終了
以上がコマンドプロンプトにおけるショートカット一覧だ。従来であれば「何でこんな操作体系なの?」と思っていたようなものが、コマンドラインの入力経験がほどんどない現在の多くのユーザーにとっても、ごく自然な操作に変更されたと言える。
もちろん、これらショートカットを利用するための設定項目に「experimental(実験的な)」とあるように、現在はまだ試験的に導入された機能である点に注意したい。
とはいえ、この設定を有効することで「コマンドプロンプトのウィンドウがリサイズできる」ようになったり、あるいは「全画面表示できる」ようになったりと、いろいろ使い勝手が変化する可能性を秘めている点は興味深い。
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