「第5世代Core」正式発表――“Iris”統合で3D性能2割増:14ナノ“Broadwell”世代にTDP 28/15ワット登場
2in1/タブレット向けモデル「Core M」で先行していたIntelの14ナノメートルプロセスルールCPUに、メインストリームノートPC向けモデルが「第5世代Core」として登場。GPU性能をはじめ、処理能力がさらに向上した。
主力の「U」プロセッサを14製品まとめて投入
米Intelは、1月5日(米国時間)に「第5世代Coreプロセッサー・ファミリー」のCPUを発表した。
14ナノメートルプロセスルールを導入した開発コード名“Broadwell”と呼ばれていたアーキテクチャを採用するCPUだ。その中でも今回発表されたのは“Broadwell-U”と呼ばれるメインストリーム向けのモデルで、薄型ノートPCや大画面ノートPC、13.3型以上の2in1、液晶一体型デスクトップPCなど幅広くカバーする。
ラインアップはTDP(熱設計電力)が28ワットの4モデル、15ワットの10モデルを用意。TDP 28ワットのモデルはグラフィックスコアにIntel Iris Graphicsを統合、15ワットのモデルはIntel HD Graphicsを統合する。
構成トランジスタ数は13億個でダイサイズは82平方ミリ。22ナノメートルプロセスルールの第4世代Core(Haswell)と比較した場合、14ナノメートルプロセスルールの採用で構成トランジスタ数が37%増えたにもかかわらず、ダイサイズは37%削減した。
また、第4世代Coreプロセッサー・ファミリーのCore i7-4600Uと第5世代Coreプロセッサー・ファミリーのCore i7-5600Uを比較した場合、インテルが行ったベンチマークテストでは、3Dグラフィックスの性能は22%、動画ファイル変換処理は50%、オフィスアプリ処理能力は5%、それぞれ向上し、バッテリー駆動時間も同じ条件で測定して1.5時間延びている。
Intel Iris Guraphices 6100、Iris HD Guraphices 5500/6000は、DirectX 11.2、DirectX 12(将来的に対応)、OpenGL 4.3、OpenCL 2.0の各種APIに対応し、HEVCやVP8/9のデコードも新たに可能となった。
機能面では3Dカメラ「RealSense」や音声アシスト機能、DirectX 9/11のフルスクリーンゲーム表示や4K表示が可能なワイヤレスディスプレイ「WiDi 5.1」、高速無線技術「Wireless Gigabit Docking」などをサポートする。
CPUパッケージ上に実装されるPCH(Platform Controller Hub)は、電力管理技術として、I/Oのインテリジェントスロットリング、Dynamic Power and Thermal Frameworkを搭載するほか、Waves/DTSのポストプロセス処理やWake on Voice(音声操作での起動)に対応したDSP「Smart Sound Technology」を備えている。
そのほか、第5世代CoreベースでHyper-Threadingに対応しないPentiumとCeleronも3モデルが用意される。今回登場するCPUと主な仕様は以下の通りだ。
今回発表されたCPUのラインアップ | |||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
プロセッサー・ナンバー | コア数 | スレッド数 | 動作クロック | 最大動作クロック (シングルコア) | 最大動作クロック (デュアルコア) | 統合グラフィックスコア | グラフィックスコア クロック | グラフィックスコア 最大クロック | 3次キャッシュ | TDP | 1000ユニットにおける単価 |
Core i7-5557U | 2 | 4 | 3.1GHz | 3.4GHz | 3.4GHz | Intel Iris Graphics 6100 | 300MHz | 1100MHz | 4Mバイト | 28ワット | 426ドル |
Core i5-5287U | 2 | 4 | 2.9GHz | 3.3GHz | 3.3GHz | Intel Iris Graphics 6100 | 300MHz | 1100MHz | 3Mバイト | 28ワット | 315ドル |
Core i5-5257U | 2 | 4 | 2.7GHz | 3.1GHz | 3.1GHz | Intel Iris Graphics 6100 | 300MHz | 1050MHz | 3Mバイト | 28ワット | 315ドル |
Core i3-5157U | 2 | 4 | 2.5GHz | - | - | Intel Iris Graphics 6100 | 300MHz | 1000MHz | 3Mバイト | 28ワット | 315ドル |
Core i7-5650U | 2 | 4 | 2.2GHz | 3.2GHz | 3.1GHz | Intel HD Graphics 6000 | 300MHz | 1000MHz | 4Mバイト | 15ワット | 426ドル |
Core i7-5600U | 2 | 4 | 2.6GHz | 3.2GHz | 3.1GHz | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 950MHz | 4Mバイト | 15ワット | 393ドル |
Core i7-5550U | 2 | 4 | 2.0GHz | 3.0GHz | 2.90GHz | Intel HD Graphics 6000 | 300MHz | 1000MHz | 4Mバイト | 15ワット | 426ドル |
Core i7-5500U | 2 | 4 | 2.4GHz | 3.0GHz | 2.9GHz | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 950MHz | 4Mバイト | 15ワット | 393ドル |
Core i5-5350U | 2 | 4 | 1.8GHz | 2.9GHz | 2.7GHz | Intel HD Graphics 6000 | 300MHz | 1000MHz | 3Mバイト | 15ワット | 315ドル |
Core i5-5300U | 2 | 4 | 2.3GHz | 2.9GHz | 2.7GHz | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 900MHz | 3Mバイト | 15ワット | 281ドル |
Core i5-5250U | 2 | 4 | 1.6GHz | 2.7GHz | 2.5GHz | Intel HD Graphics 6000 | 300MHz | 950MHz | 3Mバイト | 15ワット | 315ドル |
Core i5-5200U | 2 | 4 | 2.2GHz | 2.7GHz | 2.5GHz | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 900MHz | 3Mバイト | 15ワット | 281ドル |
Core i3-5010U | 2 | 4 | 2.1GHz | - | - | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 900MHz | 3Mバイト | 15ワット | 281ドル |
Core i3-5005U | 2 | 4 | 2.0GHz | - | - | Intel HD Graphics 5500 | 300MHz | 850MHz | 3Mバイト | 15ワット | 275ドル |
Pentium 3805U | 2 | 2 | 1.9GHz | - | - | Intel HD Graphics | 100MHz | 800MHz | 2Mバイト | 15ワット | 161ドル |
Celeron 3755U | 2 | 2 | 1.7GHz | - | - | Intel HD Graphics | 100MHz | 800MHz | 2Mバイト | 15ワット | 107ドル |
Celeron 3205U | 2 | 2 | 1.5GHz | - | - | Intel HD Graphics | 100MHz | 800MHz | 2Mバイト | 15ワット | 107ドル |
なお、第5世代CoreのvPro版は2015年1月下旬、デスクトップやハイパフォーマンスノートに向けたTDP 45ワットモデルは、2015年半ばにリリースされる見込みだ。
第5世代Coreとともに、IEEE802.11ac準拠の無線LANモジュールは新たに「Intel Wireless-AC 7265」が追加された。従来比で無線のスループットが15%向上し、消費電力は動作時で30%、アイドル時で50%に抑えている。WindowsのInstantGoもサポートした。
関連キーワード
Intel | Core iシリーズ | Intel HD Graphics | Intel Iris Graphics | CPU | 14nmプロセス | Broadwell
関連記事
これはもうTickじゃない:大解説! “Broadwell-Y”な「Core M」はここがすごい(後編)
インテルが“軽量薄型”なデバイス向けに開発する次世代CPU概要が明らかになった。今回は、より“アグレッシブ”になったというCore Mの特徴を解説する。大解説! “Broadwell-Y”な「Core M」はここがすごい(前編)
インテルが“軽量薄型”なデバイス向けに開発する次世代CPU概要が明らかになった。今回は、14ナノメートルプロセスルールの特徴を解説する。14ナノプロセスルールで性能改善:Intel、Broadwell世代の「Core M」概要を公開
最初の搭載モデルは2014年のクリスマス商戦に登場する予定だ。COMPUTEX TAIPEI 2014:Intelが新ブランド「Core M」を発表――Surface Pro 3より薄型軽量のリファレンスデザインも公開
Intelは6月3日、開催中の「COMPUTEX TAIPEI 2014」にて、開発コード名「Broadwell」で知られる次世代Coreプロセッサーのうち、低消費電力モバイル向け製品のブランド名を「Core M」に決定したと発表。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.