E3現地で“Fiji”世代「Radeon R9 Fury X」「Radeon R9 Nano」の実物をチェックする:デュアル“Fiji”で最速GPUの座を奪う(2/2 ページ)
米AMDが発表した次世代GPU「Radeon R9 Fury」ファミリーの姿とHBMをはじめとする新技術の概要を会場から報告する。
Stream Processorは4096基。HBMでメモリバス幅も4096ビットに
Fijiコアは、現行のAMD製GPUと同じ28ナノメートルプロセスルールを採用し、GPU上に4つのHBMメモリを搭載する。4Gバイトのグラフィックスメモリをバス幅4096ビットで接続することで512GB/秒のメモリ帯域を実現する。GPU処理の中核を担うRadeonコア(Stream Processor)も、Radeon R9 290Xの2816基から、4096基となり、その単精度浮動小数点演算性能は8.6TFLOPSと大幅に向上した。
その一方で、“Fiji”を構成するトランジスタ数は、現行“Hawaii”世代コアの63億トランジスタから、89億トランジスタと増えたものの、Radeonコア数が大幅に増加した割には増加分が少ない。その要因について、AMDでメモリアーキテクチャの開発などを担当するジョー・マクリ副社長は、「HBMメモリコントローラはシンプルで、GDDR5コントローラよりもチップに占める面積を小さくできるため」と説明する。
マクリ氏は、HBMがGDDR5に比べて3倍以上の電力効率(ワットあたりのパフォーマンス)を実現するとともに、メモリが基板に占める割合は、GDD5に比べて94%も削減できるとし、これでRadeon R9 Nanoの基板サイズを6インチにすることが可能になったとアピールする。Radeon R9 Nanoに関しては、Radeon R9 290Xよりも優れた性能を実現しながら、消費電力を約半分に抑えており、その電力効率は2倍に達すると述べている。
デュアル“Fiji”の小型ゲーミングPC「Project Quantum」
合わせてAMDは、“Fiji”世代のGPUを2基搭載した小型のゲーミングPC“Project Quantum”を公開した。Project Quantumは、VRゲームをストレスなくプレイできながら、省スペース性を実現すべく開発したコンセプトモデルで、AMDは市場投入も検討中だと説明する。
また、新しいRadeonシリーズとして、「Radeon R7 360」「Radeon R7 370」「Radeon R9 380」「Radeon R9 390」「Radeon R9 390X」を発表した。こちらも、AMDの製造パートナーから6月18日に出荷開始になる。なお、米国における市場価格は、Radeon R7 360が109ドル、Radeon R7 370が149ドル、Radeon R9 380が199ドル、Radeon R9 390が329ドル、Radeon R9 390Xが429ドルとなる見通しだ。
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