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「Apple Watch」を林信行が読み解く――watchOS 2とHERMESでリードを広げるApple新製品のすべて(2/2 ページ)

「Apple Watch」「iPad Pro」「Apple TV」「iPhone 6s/6s Plus」。アップルのスペシャルイベントで発表された新製品は、そのどれもが“主役級”。業界きってのアップルウォッチャーである林信行氏の目から、新製品の持つ意味をつぶさに見ていこう。

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Apple Watchの見どころ――「watchOS 2」と新バンドで製品全体をリフレッシュ

 すでに高い認知度と満足度を築いたApple Watchだが、その真価が発揮されるのはネイティブアプリが動くwatchOS 2登場後だ。そのリリース時期が見えてきたことで、Apple Watchが今後、どのような形で活躍してくるかが見えてきた。

 その好例が医療用アプリのAir Stripだろう。もともと患者に繋がれたバイタルサインを医師が外出中でも確認できるアプリとしてiPhoneでは評判を築いていたが、Apple Watch対応版で医師が医療情報を常により身近に置くことができるツールへと進化を果たした。

医療用アプリのAirStripでは、入院中の患者につながれた心電図の情報を手元で確認できる。容体の急変を察知するとApple Watchに知らせが飛んできて、リュウズ(デジタルクラウン)を回して、変化があった時の心拍数まで時間を巻き戻してバイタルサインの確認を行える

 患者に容体に変化があれば、それがApple Watchに通知され、リュウズを回して容体変化があった時間まで巻き戻してバイタルサインの変化を読み取ったり、担当の医療スタッフにグループメッセージで指示を出せる。まさに21世紀にふさわしい医師像ではないだろうか

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AirStripには変化があった患者の担当チーム全員に一斉呼び出しをかける機能も用意されている

 エルメスモデルも詳しく見ていこう。「妥協しないクラフトマンシップ。イノベーションの開拓精神」といった共通項を持つアップルとエルメスのコラボモデルは3モデルで展開される。基本的にジェンダーフリーの設計だが、Double Tourはやはり女性向けの印象がある。

 レザーはエルメスのシグネチャー色のフォーブバレニアが基調だが、深く落ち着いた灰色のエタンや、鮮やかな朱色のカプシーヌ、そしてこちらも鮮やかな藍色のブルージンレザーはどれも色合いが美しく飾っておくだけでも楽しめる。また手に巻いたときの内革の感触のやわらかさも、エルメスの刻印に恥じない仕上がりだ。

Apple Watch Hermèsのバンド形状は3種類。左からSingle Tour、二重巻きのDouble TourそしてCuffだ

 盤面もエルメスモデルだけで利用可能な専用の盤面が用意されており、本体背面にもHERMESの刻印がされている(これはEDITIONシリーズも同じ)。

 また製品パッケージは、形こそこれまでのApple Watchと同じだが、ニンジン色を黒茶で縁取った伝統のエルメスのボックス色になっている。

Apple Watch Hermèsの箱は形状こそ、Apple Watchシリーズと同じだが、エルメスカラーに仕上がっている

 世界で最も売れているスマートウォッチとしては、人と被らないための製品バリエーションは重要な要素になる。アップルは最初の製品の売れ行き動向を研究したのだろう。人気色をうまく反映したカラーバリエーションも充実させている。すでに概要で紹介した人気色ローズゴールドやゴールドをアルミボディーとして用意し、バンドとしてはラベンダー、アンティークホワイト、ストーン、ミッドナイトブルーのスポーツバンドを合わせた。

 それに加えて、シルバーアルミニウムのApple Watch Sportシリーズにも新たにオレンジやブルーのバンドを追加。Apple Watchコレクションには、ブラックまたはサドルブラウンのツートーンのクラシックバックルを含む複数の新しいバンドを加えている。

 人気のミラネーズループなど基本のバンドは残したまま、8種類ほどのバンドを加えただけで、製品を紹介するホームページなどでもかなり製品をリフレッシュした印象を与えているあたりはアップルのうまいところだろう。

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