2015年も「LAVIE」がトップシェアだった理由とは?:今後はパートナーとの「共創」も鍵
2013年から3年間、NECパーソナルコンピュータは個人向けPCの販売シェアにおいて1位の座をキープしている。2016年春モデルの発表会で、同社の留目社長はその秘訣(ひけつ)の一端を説明した。
NECパーソナルコンピュータ(NEC PC)は1月13日、2016年春モデルとして5シリーズ44モデルの新型PCを発表した。L字ボディのフリースタイルPC「LAVIE Hybrid Frista」がフルモデルチェンジしたことと、「LAVIE Hybrid ZERO」に11.6型のデタッチャブルモデルが追加されたことが大きなトピックだ。
- →第6世代Coreを採用し、新デザインに進化──「LAVIE Hybrid Frista」
- →11.6型タブレット・デタッチャブルタイプ登場 13.3型はCPUを刷新――「LAVIE Hybrid ZERO」
- →CPUを強化した主力の15.6型ノートPC──「LAVIE Note Standard」
- →23.8型で狭額縁、YAMAHAサウンドシステムなどAV機能も充実──「LAVIE Desk All-in-one」
- →2年ぶりの新デザインを採用したハイエンドデスクトップPC──「LAVIE Desk Tower」
同日に都内で開かれた発表会では、同社の留目真伸社長と商品企画本部 D3総合プロデューサーの森部浩至氏によるプレゼンテーションと、留目社長とゲストによるトークセッションが行われた。本稿では、留目社長によるプレゼンテーションの模様をお伝えする。
NEC PCの4つの「強み」
店頭実売データによると、NEC PCは2013年から2015年にかけて、国内のPC実売シェアを伸ばし続けている。留目社長は、4つの「強み」がその原動力になっていると説明した。
1つ目は「世界シェアナンバー1のスケール」だ。NEC PCは、2011年7月にNECとLenovoグループとの提携によって誕生した(参考記事)。この提携によって、「世界シェアにおいてもナンバー1、国内でもNEC(PC)単独でナンバー1」となり、パートナーとの協業や資材調達などの面でスケールメリットを追求できる。
2つ目は「製販一体の組織力」だ。製品の企画・開発から製造、流通、販売に至るまでのビジネスマネジメントを一貫して行える体制を時間をかけて構築したことで、「日本市場に合った製品をしっかり開発し、タイムリーに、スピーディーに市場へ投入」できる。
3つ目は「業界屈指の技術力」だ。2015年2月に「LaVie Z」の後継モデルとして登場したHybrid ZEROは、「Best of CES Awards 2015」においてベストPC賞を受賞した。また、同機の開発チームが第6回「ものづくり日本大賞」の優秀賞を受賞した。「日本のものづくり、日本の技術力を生かした商品開発」をできることが強みとなっている。「新製品でも、当社の業界屈指の技術力を十分に感じられるはず」と、留目社長は太鼓判を押す。
4つ目は「先を見据えた提案力」だ。「Digital Dramatic Days」(以下、D3)というブランドスローガン(参考記事)のもと、LAVIEは「PCそのもの」から「PCを使ったデジタルライフの提案」に重きを置くようになった。PC業界を牽引する企業として、その将来を見据えてかじを切れることが、NEC PCの強みであるというわけだ。
3つの「取り組み」は効果てきめん 足りていない部分は「共創」で
新生LAVIEブランドのブランドスローガンでもある「D3」を実現するために、NEC PCは2015年に大きく3つの取り組みを行った。
1つ目は「ブランド一新」だ。まず、2015年1月にコンシューマー向けPCのブランドを「LaVie」に統一。その後、同年6月に「LaVie」を「LAVIE」と改めた。その結果、もともとPCとしては高いブランド認知度が2014年から2015年にかけて1.2倍となり、さらに向上している。
2つ目は「商品革新」だ。先述の通り、LAVIEは「PCを使ったデジタルライフの提案」にかじを切るようになった。その典型で、新たな製品ジャンルとして投入したのが、今回の発表でも重点を置いているHybrid ZEROとHybrid Fristaだ。両商品の購入者206人に満足度調査(100点満点)を行ったところ、平均83点と高い評価を得られたという。ライフスタイルについても一定の変化も見られたという。
3つ目は、「販売スタイルの変革」だ。NEC PCでは、2015年11月下旬から家電量販店に「LAVIE Shop」という専任コンシェルジュによる提案型の専用売り場を展開している。その結果、展開店舗(全4店)の平均売上が約15%向上したという。
いずれの施策も、LAVIE(あるいはNEC PC)にとってプラスの効果を生んでいる。しかし、留目社長は「(D3の)普及が足りていない」と現状に満足していないことを明かす。
今後は、「(NEC PC)1社だけでは提供できなかった、本当の意味での『デジタルライフ』を実現する」(留目社長)べく、「ホーム(家の中)」と「外出先」の2つのフィールドで、さまざまなパートナーとの「共創」(提携や協業など)に注力する。既に動き始めている取り組みもあるようだが、全体像は後日発表するとしている。
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