「Surface Book」徹底検証――37万円の最上位機はどれだけ速い?:Surface Pro 4やライバルと比較(7/7 ページ)
ボディーもスペックも、そして価格も最上級の2in1ノートPC「Surface Book」。37万2384円(税込)のハイエンドモデルが持つ性能をSurface Pro 4やライバルと比較する。
NVIDIA GPUのアドバンテージは劇的ではないが確実にある
今回はSurface Bookのパフォーマンス、バッテリー駆動時間、放熱設計をレビューした。Surface BookはNVIDIA GeForceを搭載するのが大きな特徴だが、その描画性能はdGPUの中ではエントリークラスにとどまる。
最近のIntelはCPU内蔵GPUの性能・機能を底上げしており、Surface Pro 4が採用するCore i7-6650Uなど内蔵GPU強化型(Iris Graphicsシリーズ)のCPUも投入している状況だ。従って、dGPU搭載機でも性能面で劇的に変わることはないが、それでも描画負荷の高い処理中心にメリットを確認できた。
また、クリエイティブアプリケーションの利用においても、その分野で実績があるNVIDIA GPUを搭載している点は心強い。CPUとNVIDIA GPUが分散して搭載されているため、静音性、放熱性能も優秀と言える。バッテリー駆動時間もパワフルラップトップモードでは実測で約11時間と長く、ボディーは1.5キロ台と重いものの、モバイルシーンでのスタミナは十分だ。
一方で、クリップボードモードでのバッテリー駆動時間は3時間も満たない。これはSurface Bookの設計思想から重視しなかった部分だが、これまでに前例がなかった設計だけに利用シーンをイメージしづらく、物足りなく感じる方も少なくないだろう。Surface Proシリーズのように、タブレット単体で本格運用できると期待するのは誤りなので注意したい。
Surface BookはあくまでもノートPCスタイルでの運用を主軸においており、そこに「一時的に画面部分だけでも使える」という価値を付加した製品であることは、はっきり理解しておく必要がある。
このように価格対性能という視点では高価に思えるSurface Bookだが、その魅力は単にPCのスペック部分にとどまらないことを覚えておきたい。レビュー後編では、ボディーの設計や着脱機構、ディスプレイの品質、キーボードやタッチパッド、筆圧ペンの使い勝手といったスペック表に現れない部分をレビューしていこう。
今回テストした「Surface Book」の仕様 | |
---|---|
製品名 | Surface Book |
メーカー | 日本マイクロソフト |
OS | 64bit版Windows 10 Pro |
本体サイズ(幅×高さ×厚さ) | 約312.3×232.1×13~22.8ミリ、タブレットのみ:約312.3×220.2×7.7ミリ |
重量(実測値) | 約1516(1576グラム)、タブレットのみ:約726グラム(725グラム) |
画面サイズ(液晶方式) | 13.5型ワイド |
アスペクト比 | 3:2 |
タッチパネル | 静電誘導式(10点マルチタッチ対応) |
デジタイザ | N-Trig(筆圧1024段階) |
ディスプレイ解像度 | 3000×2000ドット(約267ppi) |
CPU(コア数/スレッド数) | Core i7-6600U(2/4) |
動作周波数(最大) | 2.6GHz(3.4GHz) |
チップセット | CPU内蔵 |
vPro | - |
GPU | NVIDIA GeForce GPU(1GB)、Intel HD Graphics 520 |
メモリ | 16GB |
メモリチャンネル数 | デュアルチャンネル |
メモリスロット(空きスロット数) | オンボード(0) |
ストレージ(評価機実装) | 512GB(NVMe SAMSUNG MZFLV512) |
ストレージフォームファクタ | M.2 |
ストレージ接続インタフェース | PCI Express 3.0 x2(NVM Express対応) |
光学ドライブ | - |
無線LAN | IEEE802.11a/b/g/n/ac(Marvell AVASTAR Wireless-AC) |
Bluetooth | Bluetooth 4.0 |
NFC | - |
センサー | 光センサー、加速度センサー、ジャイロスコープ、磁気センサー |
有線LAN | - |
ワイヤレスWAN | - |
キーボード | 日本語83キー |
キートップ仕様・形状 | アイソレーション |
キーピッチ | 約19×約18.5ミリ |
キーストローク | 不明(実測約1.5ミリ) |
ポインティングデバイス | クリックパッド |
主なインタフェース(タブレット側) | ヘッドフォン/マイク兼用端子(3.5ミリ) |
主なインタフェース | USB 3.0×2、Mini DisplayPort、Surface Connect(DC入力兼ドッキングステーション)、Webカメラ(イン500万画素/アウト800万画素) |
メモリカードスロット | microSDメモリーカード(SDXC対応、UHS-II対応) |
SIMカードスロット | - |
その他カードスロット | - |
スピーカー(音質補正ソフトウェア) | ステレオ(Dolby Audio) |
マイク | ステレオ |
指紋センサー | - |
セキュリティチップ | TPM 2.0 |
セキュリティロックポート | - |
バッテリー動作時間 | 最大約12時間(動画再生) |
バッテリー仕様 | 68.9ワット時(キーボード装着時) |
ACアダプター実測サイズ(幅×奥行き×高さ) | 50×90×25ミリ突起部除く |
ACアダプター実測重量(本体のみ/ケーブル込み) | 228グラム/301グラム |
ACアダプタ出力仕様 | 15ボルト/4.0アンペア、5ボルト/1.0アンペア(USB) |
ACアダプタ対応電圧 | 100~240ボルト(50/60Hz) |
DC端子形状 | 独自細型(Surface Connect) |
プラグケーブル端子形状(ACアダプタ側) | 2ピンメガネ型 |
防水/防滴 | - |
カラーバリエーション | シルバー |
オフィススイート | Microsoft Office Home and Business Premium プラスOffice 365サービス(個人向けモデル) |
価格(税込) | 37万2384円(個人向けモデル) |
発売日 | 2016年2月4日 |
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