レビュー

「Surface Book」徹底検証――触れば分かる上質感は37万円の価値アリ?スペック外の魅力を求めて(1/7 ページ)

日本マイクロソフトが放つハイエンドな2in1ノートPC「Surface Book」。37万2384円(税込)のハイエンドモデルを検証し、スペック表では分からない価値を探る。

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ココが「○」
・マグネシウム合金の上質なボディー
・高品位なディスプレイとキーボード
・強固なマッスルワイヤー着脱機構
ココが「×」
・USB Type-C/Thunderbolt 3はなし
・最小構成でも22万円以上の高価格

Surface Bookが高性能なのは分かったが、使い勝手はどうだ?

 日本マイクロソフトが国内販売する「Surface Book」は、Surfaceシリーズ初となるフルスペックのクラムシェルノートPCだ。外部GPU(dGPU)を搭載したハイスペックな構成に加えて、13.5型のディスプレイを取り外してタブレット形状で扱ったり、画面をキャンバスのように使ってペンで描き込んだりできる2in1デバイスとしても注目されている。

 前回のレビュー前編では、その製品ラインアップと基本スペックを紹介し、実際のパフォーマンス、バッテリー駆動時間、放熱設計を検証した。今回のレビュー後編では、ボディーの設計や着脱機構の仕上がり、液晶ディスプレイの品質、キーボードやタッチパッドの使い勝手など、カタログを見ただけでは分からない部分をじっくりチェックしていく。

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 前回に引き続き、試用したのはMicrosoft Storeで購入できる4種類の一般向けモデルのうちハイエンドモデル(SW6-00006)だ。37万2384円(税込、以下同)と高価だが、Core i7-6600U(2.6GHz/最大3.4GHz)、16GBメモリ、512GB SSD、dGPU(NVIDIA GeForce)搭載のプレミアムなスペックを備えている。


日本マイクロソフトの「Surface Book」。写真はハイエンドモデルで価格は37万2384円だ。Core i5、8GBメモリ、128GB SSD、dGPU非搭載の最小構成でも22万1184円の高級機種となっている

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MacBook Proに対抗できる上質なマグネシウム合金ボディー

 Surface Bookのボディーは、硬質でサラッとした独特の質感に仕上げたマグネシウム合金を全面的に採用している。かつてSurfaceシリーズでは同様の素材が「VaporMg」と呼ばれていたが、最近のモデルではその言葉が使われなくなった。とはいえ、同じようにマグネシウム合金に微粒子を蒸着させて作ってるようだ。

 このようにボディーの素材はSurface Proシリーズと同じなのだが、タブレットではなくクラムシェルノートPCとなったことで、目にする部分、触れる部分が大きく増えたことから、さらに上質感や華やかさが強調されている印象を受ける。外観と質感においては、ライバルとされるAppleの「MacBook Pro」シリーズが採用するアルミユニボディーにも引けを取らない。

 ちなみに、日本マイクロソフトは合体したクラムシェルノートPC形状のことを「パワフルラップトップモード」と呼んでいる。


クラムシェルノートPC形状の「パワフルラップトップモード」。見た目はノートPCそのもので、画面の着脱機構を感じさせない一体感だ

シンプルな天面のデザイン。中央に窓(Windows)を連想させる正方形のミラーを4つ配置している。右上に800万画素のアウトカメラを搭載しているのが、通常のノートPCと違うところだ

 そんなSurface Bookの外観においてアイデンティティーとなっているのが、「ダイナミックフルクロムヒンジ(Dynamic Fulcrum Hinge)」と呼ばれる多関節ヒンジだ。独特な形状ながら開閉の動きは実に滑らかで、閉じた状態から片手だけで開いても、ボディーがトップカバーと一緒に浮き上がってしまうことはなく、硬すぎず軟らかすぎずの絶妙な調整具合だ。画面のチルト角度(水平に対する画面の角度)は最大で約125度まで開く。

 トップカバーを閉じると、この多関節ヒンジの内側にすき間ができるのだが、この曲線的なラインもまたエレガントなイメージを強調している。このすき間がある部分をつかんだり押したりしても、ヒンジがたわむような弱さはなく、普通のクラムシェルノートPCと変わらない感覚で扱える。また、このすき間によりトップカバーには傾斜ができるので、画面を逆さまに取り付けた際、ペンによる描き込みがしやすくなる特徴も持つ。


画面のチルト角度(水平に対する画面の角度)は最大で約125度まで開く。膝の上での作業など場合によっては、もう少し開いてほしいかもしれない。画面側にCPUやメモリ、SSDなど主要パーツを搭載したSurface Bookでは、あまりチルトの可動域が広いと自重で後ろに倒れてしまうため、画面が開きすぎない設計になっているのだろう

トップカバーを閉じると、このように多関節ヒンジの内側にすき間ができ、Surface Book独特のフォルムになる。すき間のせいで堅牢性に欠けるように思うかもしれないが、ヒンジ部は頑丈そのものだ

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