強引なWindows 10アップグレードは回避すべきか、受け入れるべきか:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
「突然インストールが始まって困った」と批判の声も多いWindows 10の強引な無料アップグレード推進策。Windows 7/8.1搭載PCは、無料のうちにWindows 10を導入すべきなのだろうか。
残り2カ月弱、どのタイミングで無料アップグレードするか
一方、数々の新機能やセキュリティ対策の向上、サポート期限の延長といったメリットを認め、Windows 10を導入するつもりだが、アップグレードで新たに環境や設定を変更するのが面倒なので、ギリギリまで待ちたいという人も少なくないと予想される。その場合、どのタイミングでアップグレードすべきだろうか。
おすすめしたいのは「Anniversary Update」が配信された直後のタイミングだ。開発コード名「Redstone(RS1)」とも呼ばれるWindows 10の次期大型アップデートであるAnniversary Updateの配信は「今夏」と予告されている。
Microsoftは具体的な日付には言及していないが、Windows関連の動向に詳しいブラッド・サムス氏がThurrott.comへ4月27日に投稿した記事によれば、現在のAnniversary Updateの配信ターゲットは「7月中旬」となっている。
Windows 10への移行を加速させたいMicrosoftは、最後の一押しとして、数多くの新機能アップデートが含まれたAnniversary UpdateをWindows 10の無料アップグレード期間が終了する7月29日より前のタイミングで配信したいはずだ。というわけで、ギリギリまで待つという人は、Anniversary Updateの配信直後が狙い目と言える。
Windows 10における大型アップデートの適用には最低でも1~2時間ほどの作業時間を要し、場合によっては失敗することもある。もし面倒な作業を一度で終わらせたいならば、Anniversary Updateが適用された最新ビルドを使ってWindows 10へのアップグレードを行うべきだろう。ぜひ7月中旬以降の最新ニュースに注目してほしい。
あえて旧OSと旧システムで余生を平穏に過ごす選択肢
「別に新機能はいらない、その代わりアップグレードに悩まされることもない、長年使い続けたPCにはそのまま平穏な余生を送らせたい」と考えている人も、もちろんいるだろう。実際、何の問題もなくPCが動いているのだから、あと数年は現状のシステムのままPCを使い続けたいと考えるのは自然なことだ。
現状で、既にサポートが終了したWindows XPがまだ世界中で稼働していることが確認されているが、Windows Vistaユーザーも、Windows 7ユーザーも、延長サポートが終了するまであえて使い続けるのもアリだろう。
世代が新しいOSほどセキュリティ的に強固で、安全性が高くなるのは確かだが、少なくともサポート期間内であれば旧OSであっても対処は可能だ。最も怖いのは「マルウェアによる攻撃で、個人情報が漏えいしたり、ウイルスに感染して新たな攻撃の踏み台になったりすること」で、これを避けるためにもWindows OSのサポート期間には細心の注意を払ってほしい。
近年の例では、Windows XPの延長サポート終了から1カ月程度で「ゼロデイ攻撃」が発見され、Microsoftが急きょ臨時のアップデート対応を行ったことがあった。これは特例であり、今後同じようにWindows VistaやWindows 7の延長サポート終了後に発生した攻撃に対して、Microsoftが対策するとは限らない(サポート切れ製品なのだから当然だ)。
今後はサポート切れのOSを狙った攻撃が増えることも考えられるため、旧Windows OSを使い続ける場合でも、サポート期間内での使用にとどめるようにする。あるいは、古いアプリケーションや周辺機器をどうしても使い続けなければならないケースでは、ネットワークなどを遮断してスタンドアロンに近い状態を保つことなど、利用にあたって工夫すべきだ。
関連キーワード
Windows | Windows 10 | Microsoft | サポート終了 | 鈴木淳也の「Windowsフロントライン」
関連記事
鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:日本からの声でWindows 10はどう改善された? Meetupイベントで明らかに
Windows 10はもっとこうすればいいのに……そんな要望があるユーザーはWindows Insider Programに参加し、Microsoftの開発陣にフィードバックしてみてはいかがだろうか。もちろん、日本語でのコメントも受け付けてくれる。7月29日まで:日本人はギリギリまでアップグレードしない? 期限が近づくWindows 10の無償アップグレード、日本マイクロソフトの施策は?
Windows 10の無償アップグレード期間が7月29日に終了する。日本マイクロソフトはアップグレード促進のため、数々の施策を打ち出す。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:次世代プロセッサはWindows 10のみ対応、SkylakeのWindows 7/8.1サポート終了は2017年7月という衝撃
Windows 10への移行を強く推し進めようとするMicrosoft。今度は新型プロセッサのサポート対象OSをWindows 10に絞り込むことで、その普及を半ば強制的に促す構えだ。鈴木淳也の「Windowsフロントライン」:Windows 10のアップグレード自動化で混乱再び?
Windows 7/8.1をあえて使い続けているユーザーは、今後Windows 10へのアップグレード手順が変わることを覚えておきたい。そうしないと「知らないうちに、Windows 10へのアップグレードが始まった(キャンセル可能)」という事態に見舞われるかもしれない。
関連リンク
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.