Microsoftの大規模な組織改編は何を意味するのか:鈴木淳也の「Windowsフロントライン」(2/2 ページ)
2013年以来となる5年ぶりの大規模な組織改編を発表した米Microsoft。それが何を意味するのかを考察する。
テリー・マイヤーソン氏とWindows Phone
もう1つのトピックは、WDGのトップとしてWindows事業を率いてきたテリー・マイヤーソン氏の離職だ。今後数カ月は引き継ぎのためにMicrosoftに残るとしているが、今回の発表直前に公開されたBuild 2018の概要ページでも基調講演のメインスピーカーの1人として紹介されており、かなりギリギリまで人事ともめていたのではないかと予想する。
とはいえ、同氏のポジションを除けば各部門の担当者はほぼそのまま新組織として引き継がれているため、開発体制その他に直接的な影響は少ないだろう。
同氏に関して1つ話題となっているのが、「Windows Phone失敗の背景」だ。マイヤーソン氏が2013年にWDGトップに就任するまで、ジョー・ベルフィオーレ氏とのコンビで2008年以降の「Windows Mobile改めWindows Phone戦略」を率いていたのは周知の話だ。
この件について同氏が2013年以前のストーリーとしてLinkedInでも解説しているが、「小型の組み込み向けを想定したWindows CEではAndroidやiPhoneのような最新技術に次々と対応したデバイスには対抗できなかった」とその敗因を述懐している。
Windows Phone 7以降のUI(ユーザーインタフェース)やユーザー体験には自信があったものの、周囲のさまざまな事情が絡み合って当初の目標が達成できなかったというのだ。
米MSPoweruserによれば、2010年から2012年までWindows Phone部門のシニアディレクターだったブランドン・ワトソン氏のTwitterでの発言を引用して、「携帯キャリアや端末メーカーの協力を得られなかった」ことが強調されている。
だが筆者が過去の周辺情報を聞く限り、OEMに対する方針が二転三転してMicrosoft自身の戦略が迷走した他、最新技術に対するキャッチアップが遅かったなど、期待に十分に応えられなかったことが原因ではないかと分析している。
いずれにせよ、さまざまな歯車の掛け違いが重なってムーブメントを起こせなかったというのが真相であり、「Windows 10 Mobileからの早期撤退」という決断力の早さで傷が広がることを防いだ点は称賛していいのではないかと考えている。
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