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PCの新たな可能性を切り開く「Optane Persistent Memory」――「Intel Memory & Storage Day」レポート その2(3/5 ページ)

Intelが、SSDを含むストレージ関連の半導体技術を一挙に紹介する「Intel Memory & Storage Day」を韓国で開催した。この記事では、同社のメモリ事業の命運を握る「Optane Persistent Memory」に関する動向を紹介する。

Persistent Memoryの“Persistency(永続性)が新たな可能性を開く

 Optane Persistent Memoryの革新性は、NANDメモリよりもはるかに低レイテンシなデバイスであることに加えて、文字通り「Persistency(永続性)」を持つことにある。通電しなくともデータを保持できる不揮発性メモリでありながら、「メモリ(主記憶装置)」と同じような使い方ができるのだ。

 メモリが永続性をもつことで、これまでにない運用が可能になる。分かりやすいメリットの1つが「SAP HANA」などに代表される「インメモリデータベース(IMDB)」だ。メモリ上にデータベースを構築し、低速なストレージアクセスを省くことで高速応答を可能にしたスタイルである。

 IMDBでは文字通りメモリ上にデータベースを構築するため、DRAMシステムでは、電源を落としたらその内容は消え、再起動時にはストレージからデータベースファイルを読み出し、再構築することが必要になる。規模が大きくなればなるほどに、その時間はかかることになる。

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 一方、Optane Persistent Memoryシステムでは電源を落としてもメモリ内データベースの内容が消えないので、再構築不要ですぐにサービスを再開できる。Optane Persistent Memoryは、DRAMよりも低コストなため、大容量データベースを低コストで構築できるというメリットもある。

 この他、超メニーコアCPUを生かした高密度仮想マシンサーバ用途や映像配信サーバのキャッシュ用途としてのアドバンテージなども紹介された。


Optane Persistent Memoryと他のメモリ/ストレージとの特性の違い

不揮発性でありながらメモリとして動作するため、インメモリデータベースで大きなメリットがある

REDISの実装例。キーをDRAM、バリューをOptane Persistent Memoryに。不揮発性なため、全バリューをSSDに書き出す必要はなく、ポインタのみを書き出す

現行DRAMの記録密度やコストでは難しい大容量も、Optane Persistent Memoryならば可能だ。超メニーコアCPUを生かして仮想マシンの密度を上げることができる

例えば、28コアCPUを2基搭載したシステムで28基の仮想マシンを立てるにはメモリが1.5TB必要だが、CPU使用率は25%以下で、CPUリソースを持て余している

Optane Persistent Memoryを6TB搭載すれば、SLA(サービス保証レベル)の範囲内で112基の仮想マシンを立てることができる

単純に容量が大きいほど有利な映像配信サーバのキャッシュには、DRAMに近いレイテンシで低コスト大容量が可能なOptane Persistent Memoryのコストパフォーマンスがダイレクトに生きるというデモ。デモエリアの説明員によれば、DRAMのみのシステムと同じコストで2倍のキャッシング容量を持つサーバが構築できるという

これはインメモリデータベースの再起動時間の比較デモ。左のOptane Persistent Memoryシステムは19秒で終わっているのに対し、右のDRAMシステムは終わる気配がない。説明員によれば、10分程度で終わるだろうということであった

データセンターにおけるOptane Persistent Memoryのパフォーマンス、あるいはコスト面のアドバンテージ

デモエリアに展示されていたOptane Persistent Memory

 Optane Persistent Memoryの今後はどうなるのだろうか。詳細を見ていこう。

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