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Windowsで振り返る2019年、そして2020年の姿Windowsフロントライン(4/4 ページ)

2019年が終わろうとしている。延長サポートの終了直前となるWindows 7を筆頭にWindows 10もさまざまな話題を振りまいた1年だった。Windowsを中心に振り返りつつ、その先を見ていく。

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Windows Insider Programが大きく変化した2019年

 ここまで、2019年と2020年を境に列挙してきた「行くモノ来るモノ」のシリーズだが、最後を締めるのは他ならぬ「Windows Insider Program」だ。

 数々のアップデートが行われてきた2019年のWindowsだが、OSの大型アップデート(機能アップデート)のリリースサイクルの変化とともに、同プログラムにおける“Ring”の役割が大きく変化している。

 具体的には、過去1~2年ほどほとんど機能していなかった「Slow Ring」と「Release Preview」について、今春のリリースのタイミングで前者が「最新リリースの(比較的)安定動作版」、後者が「正式リリース前のビルドの動作検証」という形で明確な役割が与えられたことだ。

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 今回、「19H2」こと「Windows 10(バージョン1909)」が実質的な修正アップデートに留まった経緯上、ユーザーが最新環境を試せるアップデートはFast Ringを通じて提供される「20H1」の開発ビルドであり、Slow Ringとの差別化が図られた。

 一方で、従来までFast Ringと区別して提供されていた「Skip Ahead」は2019年11月5日の「Build 19018」のFast Ringへの提供開始とともに廃止された。そして12月16日のタイミングで、今度は最新ビルド「Build 19536」をFast Ringに提供することを発表している。

 興味深いのは、ビルド番号がこのタイミングで一気に500番ほど飛んだことだ。

 これは、「20H1」で扱われるバージョンを離れたということを意味している。通常のサイクルであれば、これまでFast Ringに提供されていた「20H1」の開発ビルドの提供が落ち着いたタイミングで“次”に移行していたものが、「バージョン2004」とされるWindows 10の次期バージョンの開発が、最終段階に突入するとみられる2020年3月までは、まだ3カ月近くある。

 Microsoftでは「RS_PRERELEASE」の表記についての意味合いを説明しているが、2019年の開発状況を考えれば、Fast Ringに提供された最新ビルドはいわゆる2020年後半にリリースされる「20H2」ではなく、「21H1」となる可能性が高いのではないかと筆者は考えている。

 「20H1」と「20H1」は「Manganese」と内部で呼ばれるバージョンであり、位置付け的には「大規模な機能アップデート版」と「その修正版」であった「19H1」と「19H2」の関係に近い。ゆえに同社が「RS_PRERELEASE」で最新機能を次々とFast Ringでリリースしていくとすれば、やはり「21H1」に近い位置付けになるのではないだろうか。2021年はArm版Windowsに大規模な機能アップデートが加わるといううわさもあり、その点での期待も高い。

 まとめると、Neowinがいうように、Windowsの位置付けや開発スタイルが変化したのと同時に、Windows Insider Program自身が大きく変化したのが2019年ということなのかもしれない。次回はこのFast Ringに提供された最新リリースも含め、「2020年のMicrosoftとWindows」をもう少しだけ整理していく。

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