レビュー

人類史上、一番いい状態でVR体験を得られるFacebookの「Oculus Quest 2」をプレイ!(3/5 ページ)

10月14日に発売予定のスタンドアローン型VRデバイス「Oculus Quest 2」。実際のプレイ感はどうなのか、実機でチェックした。

8K360映像でもアプリが落ちないパワフルさ

 続けて、使用感にも触れておこう。初代からOculus Quest 2に進化した1つのポイントが、軽量化にある。Facebookも「10%以上軽量化して小型化」という風にファクトシートで記載しているが、手元にある機材の実測値でいえば、初代が約585g、2が約505gと80gほど軽くなっていた。

 率直にいえば、手で持ったときは軽い印象だったが、筆者が鈍感なのか、長年のVR装着歴で首が鍛えられているのか、装着時は違いがあまり分からなかった。

 同じOculusの一体型で終売となっている「Oculus Go」は約468gで、こちらは圧倒的に軽いと感じたのだが、Quest 2ではヘッドバンドの材質が変わったのも貢献しているのか、そこまで違いが感じられなかった。この辺、映画を見るなど数時間の使用時に変わってくるのかもしれない。ちなみに、ヘッドバンドはきつめにしめた方がズレにくくなり、首への負担が減る。

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初代Oculus Questの重量

こちらはOculus Quest 2の重量

 Oculus Quest 2では、SoCがSnapdragon 835からSnapdragon XR2(最新の865世代)にアップグレードして、メモリも4GBから6GBに増えているのもポイントだ。クアルコムの発表会では、両SoCを比較して「CPUとGPUのパフォーマンスは2倍」とうたっており、処理性能の向上が期待できる。

 いろいろと検証してみた結果、一番違いが分かりやすかったのが8K360度映像の再生だった。

 例えば、プロ用の360度カメラ「Insta360 Pro2」のページで配布している8K 3D/30fpsの「空中都市景観」映像をダウンロードして本体に転送し、「SKYBOX VR Video Player」で再生したところ、初代はそもそもアプリが固まって落ちてしまったが、2では数fpsぐらいでカクカクながらもきちんと再生できた。

 そもそもの話、SKYBOXは5K解像度までの再生しかうたっていない。先の8K映像は7680×7680ピクセル/30fpsで、わずか28秒しかないのに約1.7GBという超重量級ファイルだ。それが一体型VRゴーグルで動いただけでもちょっと感動してしまった。


手持ちのeGPUボックスにRadeon RX 580を挿したMac mini(2018)でも再生がカクカクだったのに、一体型VRでも動くとは……(Quest 2、恐ろしい子)。カクカクなので実用的なレベルではないが、設定を追い込んでいけばより高画質な360度映像を手軽にイベントなどで体験してもらえそうだ

VRChatも重いという話をよく聞くので試してみた。2人なら72fpsぐらい出ている

しかし、15人前後がいるワールドに突入したところ、40fps前後に落ちてしまった

同様に初代で15人前後のワールドに突入したところ、20fpsぐらいに落ちていた。厳密に人数が同じでなく、ネットの接続状況も異なるので断言はできないが、初代から2に変えることである程度は体感が向上しそうだ

なお、GeForce RTX 2060(グラフィックスメモリ 6GB)搭載のPCでPC VRの「VALVE INDEX」を利用し、VRCahtで似たような15人前後の部屋に入ったところ120fpsを保っていた。フルボディートラッキングもあり、VRChatのヘビーユーザーはやっぱりPC VRがいいのだろう

 逆に使っていて気になったのはIPD(瞳孔間距離)だ。初代はヘッドマウントディスプレイ底面のスライダーを動かすことで1mm単位の調整ができていたのだが、2では58、63、68mmの3種類に変更された。

 筆者は64mmなので63mmを選んで利用していたが、特に細かな文字を読むときに何となく違和感を覚えた。ゲームに没頭するとそこまで気にならないものの、これはどうしようもない部分として割り切るしかない。また、ACアダプター用のUSB Type-Cケーブルが1mと短く、充電しながら使いたい場合は別途長いタイプを購入するか、オプションの「Quest 2 Eliteストラップ バッテリーおよび携帯用ケース付き」を追加する必要があるだろう。


オプション製品として、収納用の「Quest 2携帯用ケース」(6700円)や「Quest 2 Eliteストラップ」(6800円)の他、写真の「Quest 2 Eliteストラップ バッテリーおよび携帯用ケース付き」(1万7600円)も用意される

 長時間利用というと、本体の発熱も気になるところだ。QuestのVRChat勢の中には、ヒートシンクを本体に装着して排熱効率を上げている猛者もいる。今回、半日ほど充電しながらアプリを変えながら遊んでいる範囲では特に気にならなかった。

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