ハイエンド機でタイマン勝負!「Artist Pro 16TP」はワコムの牙城を崩せるか:XP-Penの野望 エピソード2(5/5 ページ)
XP-Penがワコムの「Cintiq Pro 16」と丸かぶりのハイエンドモデル「Artist Pro 16TP」を投入してきました。実際の使い勝手はどうなのか、refeia先生が入念にチェックしたよ。
まとめ
よっしゃ! 長かったですが最後まで来たのでまとめていきましょう。
気に入った点
- すっきりまとまるUSB Type-C接続
- ソリッドでシンプルな、上質感のあるボディー
- 非常にクリアーな表示
- sRGBモード付きの広色域ディスプレイ
- ファンレスで静か
- 使用のさまたげになる発熱がほぼない
難点になり得る点
- ペン先が非常に滑りやすい
- オン荷重が高め
- 検知可能最大荷重が小さい
- ペンの握り心地が硬い
- ペンのサイドボタンが1つしかない
- タッチの除外処理に問題があり、ペンとマルチタッチを併用しづらい
- 内蔵スタンドがない
Artist Pro 16TPは、リーズナブルな機種をメインに展開してきたXP-Penとしては挑戦になる、ハイエンド志向かつ、4Kディスプレイやマルチタッチを訴求したモデルです。
従来、このカテゴリーの唯一の選択肢だったCintiq Pro 16と比べると、同機の不満点だったファンノイズと発熱ついては明らかに優れていて、このサイズの4Kがまだ初物だった2017年の機種に対して、完成度が増した最新のディスプレイや制御回路のメリットを享受できます。また、描き味とのトレードオフこそあれ、表示も非常にクリアーで満足できるものです。
一方で、ペンの仕様や性能、書き味については、遅れているどころか従来よりも退行した感すらあり、高価な機種として容易には納得しづらい内容になっていると思います。ユーザーごとの要求に応える、細いペンやフェルト芯などのオプションも用意されていません。Cintiq Proとそのエコシステムには、一周では追いつけないほどの完成度の差を感じます。
だからといって描けないわけではなく、メリットは少なからずあります。自分は置き換えになるとは判断しませんでしたが、フェザータッチや重い筆圧は多用せず、滑りやすい画面でもスルスルと描ける人ならば、ベストチョイスになり得るでしょう。
とはいえ、先にレビューしたArtist Pro 24ほどの満足度はないですし、実際に合う人の層も狭そうです。購入を検討しているならば試しに触る機会を探すと良いでしょう。
といったところで……。
正直なところ、Cintiq Pro 16のファンノイズはなかなかに厳しいので、多少のデメリットぐらいならば折り合って「よっしゃ~乗り換えだ~」みたいな気持ちになりたかったのです。
今回は何か煮え切らない締め方になってしまいましたが、XP-Penがこのカテゴリーや上級機に意欲を見せてくれていることには感謝しているし、今後も注目していきます。期待していますよ!
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