インタビュー

人気の秘密は「何でも快適にできる魔法のガラス板」 Appleが語る新型iPadとiPad miniの変わらない魅力iPad担当者独占インタビュー(2/2 ページ)

発売が始まった新型iPadとiPad miniについて、Apple幹部がインタビューに答えた。

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iPadのもう1つの「耐久性」である旧機種のサポート

 iPadの幅広い活用を促しているのは、その多彩なハードウェアだけではない。9月21日から提供が始まったiPadOS 15には、iPadの使い方を根本から変えてしまいそうな機能もいくつか追加されている。


最新のiPadOS 15で提供される機能

 これについてはトンナ氏が答えてくれた。最新のiPadOS 15は新機能も重要だが、同時に「今では懐かしい第2世代のiPad Air(2014年発表)や第4世代のiPad mini(2015年)にまでさかのぼって対応させることができたことを喜んでいます」と語る。

 トンナ氏はこうも付け加えている。

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 「我々はiPadOSができる限り多くの古い機種をサポートできるように取り組んでいます。いつまでも最新のOSが使えるということも、製品の耐久年数の一要素だと思っています」と述べる。

 「iPadOSで最も大事なのは、iPadならではの特徴的な使い方を提供し、トム(ボーガー氏)が言っていたような幅広い使い方をする上で重要な能力を提供することです」とトンナ氏。

 その中でも重要なのが、複数アプリの同時利用を実現するマルチタスクだ。複数アプリを同時利用する状態に切り替えられたり、解除したりといった操作がiPadOS 15を使えば、7年前の第2世代iPad Airから最新のiPad miniやiPad Proまで、全ての機種で利用できるようになる。

 iPadOSが、古い機器をサポートしてくれることは、新しいiPadの購入を促してくれる側面もあるとボーガー氏は加える。

 「どこの家でも、新しいiPadを買ったら、古いiPadは子供にお下がりとして与えたり、家でスマート家電のコントローラーとして二次活用していたりすることが多いと思います」とボーガー氏。OSが古い製品まで対応してくれれば、お下がりのiPadでも常に最新機能の恩恵を受けられることになる。

 iPadOS 15には、他にもウィジェットを使ってホーム画面を簡単にカスタマイズして、必要な情報にアプリを起動せずに確認できたり、Appライブラリ機能を使って目当てのアプリを簡単に見つけて起動できたりするのも大きな特徴だ。

 「もう1つクールな機能がクイックメモです」とトンナ氏が加える。「Apple Pencilや指でスワイプするだけで、すぐに使えるメモが画面の端から飛び出てくる。これはいつでもどこでもメモ帳を持ち歩いているようなもので、何かを頭の中に思いついたら、その瞬間に書きとめることができる良さがあります」と付け加える。

iPadOS 15に追加された「クイックメモ機能」。iPad miniとの相性が抜群だ

 他に「翻訳」アプリなども追加しているが、年末に向けてのアップデートでは、さらに「Swift Playgroundsのアップデートも行う」という。「Swift Playground」と言えば、Apple独自のプログラミング言語、Swiftを学ぶための「プログラミング学習」アプリという印象があるかもしれない。しかし、それだけに止まらず、本格的なアプリの開発までも行える。

 年末に登場する最新版では、なんと開発したアプリをそのままApp Storeに登録して提供することも可能だという。もはや、アプリの開発にMacは不要で、iPadで直接アプリを作って配布できる時代がやってくるのだ。

コロナ禍で伸びるiPadシリーズの人気

 「iPadの唯一無二の魅力は、まるで3本足のスツールのように3つの要素で支えられています。1つ目は、冒頭で話したワールドクラスのハードウェアです。(スマートフォンに比べて)大きなスクリーンを持ち、Apple Pencilを使って手書きをすることもできれば、トラックパッドやマウスを使った操作にも対応しています。

 2つ目がiPadOSです。他にもタブレット製品はありますが、iPadのようにそれ専用のOSが用意された製品はありません。ここにさらに魅力を加味する3つ目の足が、Apple PencilなどiPadならではの特徴に合わせて作られた100万本以上もあるiPad用アプリです。

 これら3つの要素が1つになることで、他の製品では得難い体験、ライバルのいない製品、iPadを作り上げているのです」とボーガー氏は強調する。

 今回、発表された新製品は2つだが、これによってiPadシリーズ全体としての魅力も増した、とボーガー氏はアピールする。

 一番上のiPad Proは「M1プロセッサを搭載し圧倒的なパワーを手にしました」。プロセッサだけでなく120Hzのリフレッシュレートで滑らかな表示を実現するProMotionディスプレイや高速なThunderbolt端子も備えている。

 一方、iPad AirはいくつかのPro機能を、より手頃な価格で提供している。

 「iPadで特筆すべきは、シリーズの全製品が正真正銘のiPadで、Webやメール、ソーシャルメディアを見るといった日常的な使い方はもちろん、iPadのために特別に作られた豊富なアプリを利用することができるのです」とボーガー氏は誇る。

 2010年の衝撃的なデビューから11年、この価値が十分浸透したこともあるのだろう「iPadのビジネスはかつてないほど成功している」ようで、「今季の出荷台数は40%も伸びました」とボーガー氏は語る。今回の新製品や新OSの狙いは「この勢いを維持すること」だという。


iPadシリーズの成長をアピールするティム・クックCEO
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