「学校内ネットワーク」の問題をどう解決する? 「GIGAスクール構想」発展に向けたNECの取り組み(前編)(1/4 ページ)
文部科学省の「GIGAスクール構想」が本格的に始まって1年半が経過した。2021年4月までに端末とネットワークはおおむね整備された……が、ネットワーク回りに関する課題は現在も解消しきれていない。NECはこの課題にどう取り組んできたのだろうか。担当者から話を聞いた。
NECは以前から、教育市場向けのICT機器を開発してきた。とりわけ、文部科学省が「GIGAスクール構想」を発表した後は、その狙いに合致する製品の開発や導入を加速している。
筆者は、最近のNECの教育市場に対する取り組みについて、取材する機会に恵まれた。この記事では、学校におけるネットワーク(通信)に関する話をお伝えする。
学習用端末を“活用”するフェーズになって見えた「課題」
学校におけるネットワーク機器に関する話は、デジタルネットワーク事業部 ネットワーク販売推進グループの小川将慶主任から伺った。
2020年度(2020年4月)から本格的にスタートしたGIGAスクール構想だが、同年度の終わり(2021年3月)までに、公立の義務教育課程の学校(※1)のうち96.1%において学習用端末(PCまたはタブレット)の配備が完了し、86.2%が学校内のネットワーク整備を完了している。ネットワーク整備については、「2021年4月まで」まで範囲を広げると見込みを含めて97.9%の学校で完了したという。
この数値を踏まえて、NECでは2021年度は「1人1台端末」の本格活用のフェーズに入ったと見ているという。
(※1)小学校、中学校、義務教育学校(小学校と中学校を統合した学校)、中等教育学校(中学校と高等学校を統合した学校)の前期課程、特別支援学校の小学部と中学部
GIGAスクール構想では、学校内に高速な通信ネットワークを構築することを求めている。そこでNECは、各地の教育委員会や学校と共同で、端末や校内ネットワークの事前評価を行った。その結果、多くの学校が通信の極端な遅延と通信エラーの多発という2つの課題に直面した。どちらの問題も、端末よりもネットワーク環境に原因があったという。
これらの問題は、NECが関与した事例以外でも見受けられ、文部科学省も把握している。同省は2021年3月、都道府県や政令指定都市の教育長などに対して「GIGAスクール構想の実現に向けた通信ネットワークの円滑な運用確保に係る対応について」(PDF形式)という通知文を発出した。この通知文では、学校の設置者に対してネットワーク構築時にアセスメント(事前評価)を実施するように促している。
この通知に合わせて、インターネット接続を担うプロバイダーの業界団体であるJAIPA(日本インターネットプロバイダー協会)も、アセスメントにおいてチェックすべきポイントの解説資料(PDF形式)を公開した。
ところが、NECによると、実際にネットワークを構築する舞台となる学校に文部科学省の通知やJAIPAの解説資料を紹介しても、自分の学校のネットワークの“どこ”に問題があるのか分からないということが多いのだという。
そこで同社は、ネットワークの課題を把握するためのポイントを「学習用端末が同時にどれくらいの通信を行うのか?」と「経路となるネットワークがどれくらいの通信に耐えられるのか?」という2点に絞って話をするようにしているという。
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