Windows 11の機能アップデートを考える:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
発表当初からの機能を実装できないまま提供されたWindows 11だが、これまでとは違うパターンで続々と新機能が提供されつつある。大型アップデートとの関係やWindows 11の開発方針を考察してみよう。
本連載で既報の通り、Microsoftは2022年2月にWindows 11向けの新機能を提供する。
「A new era of the PC」と題された公式Blogによれば、新機能として提供されるのは「AndroidアプリをMicrosoft Storeを通じて動作させる仕組み」「タスクバー上でのコール音のミュート設定の改善」「ウィンドウ共有の簡易化」「天気ウィジェットのタスクバー上への表示」「Notepad(メモ帳)とメディアプレイヤーの新アプリ」となる。
このうち、「AndroidアプリをMicrosoft Storeを通じて動作させる仕組み」については2021年6月のWindows 11の発表時にアピールされていた機能であり、同年10月にはWindows Insider ProgramのBeta Channelでの検証がスタートしていた。
最新機能がひたすら導入されていくDev Channelに対し、Beta Channelは「リリース前の正式ビルド」に近い形で開発が進むため、「次期大型アップデート(機能アップデート)」の提供形態に近いものになる。
これがリリース直前になるとRelease Preview(Channel)にテスト範囲が拡大し、より広域での正式リリース前検証が行われる形になるが、前述のBlogが公開された1月26日(米国時間)のタイミングでAndroid実行機能を含んだビルドがRelease Previewで利用できるようになった。
つまり、提供開始直前段階まで到達したことを意味している。
Windows 11と大型アップデート
以前にも報じたように、Windows 11における大型アップデート(機能アップデート)は年1回、具体的には従来まで“H2”の名称が付いたタイミングでの提供が行われる。
過去の遍歴から判断して、H2の提供時期は10~11月ごろとなるが、Windows 11の「22H2」に関して「2022年半ば」という意見もあり、これは実際に初の大型アップデートがやってくるまでは分からない。ただ、基本方針として年1回という部分には変わりないようだ。
今回公式Blogで発表されたアップデートの数々はこの大型アップデートには含まれず、別途2月のタイミングで提供が行われるという。「AndroidアプリのWindows上での実行」のような比較的大きな変更があるにも関わらずにである。位置付けとして、Microsoftにとって、これら機能強化は「大型アップデート」とは異なるものと捉えているようだ。
例えば、本稿執筆時点で最新の公開ビルドであるWindows 11 Insider Previewの「Build 22543」がDev Channel向けに配信されているが、Beta ChannelとRelease Previewに配信されているのは「Build 22000.466」だ。
これはWindows 11の初期リリースと同一のビルドで、マイナーバージョンのみが上がっている。2月に配信が行われるアップデートは、Beta ChannelとRelease Previewの内容に準じるので、基本的に「Build 22000.xxx」のマイナーバージョンが上がったものとなる。
大型アップデートでは、5桁のメジャーバージョン自体がより最新のものとなるため、Microsoft的にはあくまで毎月第2火曜日の「セキュリティアップデート」と同等の扱いというわけだ。
ZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏は「アップデートの提供方法は不明」としているが、このルールにのっとれば2月の第2火曜日、具体的には2月8日(米国時間、日本時間で9日)が配信ターゲットになると考えられる。
Windows 10の時代には「1年に2回は多過ぎる」ということで企業ユーザーを中心にあまりいい評価を得られなかった大型アップデートの配信周期だが、こうした反省も生かしてWindows 11では当初から「年1回」をうたっている。だが実際には“比較的”大きなアップデートがこの周期とは別に行われるわけで、「大型アップデート(機能アップデート)」こそうたっていないものの、今後も不定期にこういった機能強化を目的としたアップデートはやってくるのだと予想する。
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