Windows 10はいつまで使えるのか:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
Windows 10の大型アップデート「Windows 10 バージョン21H2」(November 2021 Update)が配信された。今後、同OSのサポート周期などを整理した。
既報の通り、2021年11月16日(米国時間)にWindows 10の大型アップデート(機能アップデート)「November 2021 Update(バージョン21H2)」の配信が開始された。アップデートの手順などは該当の記事を参照いただくとして、今回は同記事でも触れられている「アップデートの提供周期」についてもう少しだけ深掘りしたい。
Windows 10の最長サポート期間はどうなる
以前の連載記事で「2022年以降のWindows 10がどのように扱われるのか」の話題に触れたが、間違えた部分を含めてまずは修正する。同記事では「21H2が実質的なラストで、以後はメインテナンスモードに移行する」としていたが、実際には今後も1年単位で機能アップデートの提供は続いていく。
公式Blogでも触れられているように、21H2以後のリリース周期(Release Cadence)は年1回の年の後半(第2半期)がターゲットとなり、従来年2回の「Semi-Annual Channel(SAC)」と呼ばれていた提供チャネルが、以後は「General Availability Channel(GAC)」と呼ばれるようになる。これはWindows 11でも同様で、以後はWindowsのリリース周期の名称は「GAC」で統一されることになる。
ただ不明なのは、Windows 10のサポートライフサイクルが終了する「2025年10月14日」まで「GACによる年1回の機能アップデートが継続提供されるか」だ。
Blogの説明では「We will continue to support at least one version of Windows 10 through Oct. 14, 2025.」となっており、少なくとも「21H2の次」はあることが確定しているが、2025年までGACが続けられるとは明記されていない。
少なくとも「あと1回ある」ということは、機能アップデートの適用猶予期間である「Servicing Timeline」の設定期間からも判明しており、Windows 10 Pro/Homeの「Servicing Timeline」は18カ月となっている。
つまり、サポートライフサイクルのページにもあるように「2023年6月13日」までにアップデートが適用されなければライフサイクル終了前にサポートが止まってしまうわけで、少なくとも2022年後半に機能アップデートがやってくることは確定している。
Windows 10の「Servicing Timeline」。21H2以降のGACでは「H1」に相当するアップデートはないため、Pro/Homeであれば18カ月、Enterprise/Educationであれば30カ月固定となる
また、以前の記事では「今回のWindows 11リリースでSACが廃止されることにともない、この猶予期間は24カ月(2年間)に統一される」と書いたが、「Servicing Timeline」の説明ページを確認する限りでは「Pro/Homeは24カ月、Enterprise/Educationは36カ月」となっており、別に統一されていない。
いずれにせよ、Pro/Homeは最高2回、Enterprise/Educationは最高3回まで機能アップデートをスキップできるので、システムの展開状況や利用状況をみつつ最適なアップデートのタイミングを選択するといいだろう。
もう1点の訂正は「LTSC(Long Term Servicing Channel)」だ。前回は「LTSC 2019の次はWindows 11ベースになる」としていたが、実際には「LTSC 2021」が21H2と同じタイミングでリリースされる。
問題はサポート期間で、LTSC 2021のライフサイクルページを確認するとメインストリームサポートの終了日が「2027年1月12日」と記されているだけだ。一方で、「LTSC 2019」ではメインストリームサポートと延長サポートの終了日が両方とも記載されている。
もともと、以前までのMicrosoftの説明では「最長のサポート期間をもつWindows 10は『LTSC 2019』」となっており、前回の記事で「『LTSC 2021』は存在しない」としていたのも、それが理由となる。
通常であればMicrosoftのソフトウェア製品は10年サポートが提供されるため、順当に考えれば「LTSC 2021」の延長サポート終了は「2032年1月」ということになるが、それが記載されていないのは奇妙だ。
ここは筆者の推測になるが、「LTSC 2021はバージョンこそ新しくなるが、実は延長サポート終了はLTSC 2019と同じ2029年1月ではないか」と考えている。もっとも、Microsoft自身は「LTSC 2021は5年サポート、Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021は10年サポート」といっているので、本当にLTSC 2021のサポートは5年で終了し、IoTのエディションのみ10年サポート……という可能性がある。
追記
2021のサポート期間について、5年サポートか10年サポートかで筆者の解釈に混乱があったが、クライアント向けかIoT向けかでサポート期間が変わる旨がMicrosoftから告知されている。10年サポートが提供されるのは「Windows 10 IoT Enterprise LTSC 2021」のみであり、クライアント版の「Windows 10 Enterprise LTSC 2021」については2027年1月でサポートが終了する。
つまり、クライアント向けLTSCについては現状で「LTSC 2019」が最長のサポート期間を持つという認識で問題ない。
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