幻のAI OS「Project Aion」と、全てを即興生成する「VibeOS」から読み解くWindowsの未来:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
Microsoftが、水面下で開発していたとされるAI OSプロジェクト「Project Aion」のリーク映像が話題を呼んでいる。Win32アプリを排し、AIエージェントを軸としたこの軽量OSからは、同社が模索していた次世代UIの片鱗がうかがえる。それらに関する話題を追った。
最近、リーク情報として公開されたMicrosoftの試みの中に「Project Aion(アイオン)」というものがある。シンプルにいえば、「AIエージェント」が“フロントのインタフェース”になった「AI OS」あるいは「AI“シェル”」と呼べるデスクトップ風の作業環境だ。
特徴としては、いわゆる“Win32”アプリケーションは動作せず、全ては窓口となる「Copilot」からPWA(Progressive Web Apps)の形でWebアプリケーションを呼び出し(Webページ上のアプリケーションがあたかも通常のデスクトップアプリやモバイルアプリのように動作する仕組みのこと)、OSシェル自体は非常に軽量動作することが挙げられる。
Windows 11のみならず、Android(AOSP)や「Win3」と呼ばれる“軽量OS”での動作もサポートするマルチデバイス対応をうたっている点も挙げられる。
現状はProject Aionを紹介する動画が流出しているだけなので、そもそも実際に開発中のプロジェクトで将来的にリリースする計画があるのかさえ不明だが、リーク情報の存在を報じているWindows Centralのザック・ボーデン氏は、関係者の話として流出動画のスクリーンショットは2024年ごろの内容を反映していると指摘する。
つまり、ユーザーからネガティブフィードバックが大量にやってくる前の「AIエージェントに深化させたWindows」の開発にMicrosoftがまい進していた時期であり、その反省から「Windows K2」なるプロジェクトを開始する前の段階でもある。
現状が現状だけに、プロジェクトの将来性には疑問符が付くものの、Microsoftがかつて目指していたOS開発プロジェクトの1つであるProject Aionの概要を見ていこう。
「Project Aion(アイオン)」とは?
実際のProject Aionの動作はボーデン氏がYouTubeに上げた紹介動画で確認してほしいが、前述の通りOSそのものを新たに構築したというより、「AIエージェントがユーザーインタフェースになる“シェル”を“被せた”もの」という表現が正しく、どちらかといえば実験プロジェクトに近い位置付けだと思われる。
もしもの話だが、仮にプロジェクトが進展していたとしたら、2025年の猛烈なネガティブフィードバックがない限りはWindows Insider Programの一部として提供されていたのかもしれない。
タスクバーとスタートメニューがある点はWindows 11に酷似しているが、基本となるのはスタートメニューに該当するCopilotの応答画面だ。ここから各種問い合わせを行ったり、Webアプリケーションなどの作業を呼び出す。実行中の処理はタスクバー上にグループ表示され一覧できるほか(「Spaces」と呼ばれている)、いったん終了したものでも前回の問い合わせ内容を元に“スタートメニュー”に出現する項目をクリックすることですぐに呼び出せる。
このあたりは、過去の履歴を参照しつつ作業を切り替えられるWebブラウザのタブ的なものだと考えていいのだろう。
そして最も注目したいのが、このProject Aionの“UIシェル”ではWin32のような一般的なWindowsアプリケーションを実行する機能がない点だ。そうしたアプリケーションを実行したいときは、スタートメニューから呼び出すことでWindows 365上で実行される。
つまり、Project Aionで動作するあらゆるアプリケーションは基本的にクラウド上で動作するものであり、Windowsアプリケーション1つとっても例外ではない点にある。これが意味するのは「Project AionはWindows環境でなくても動作する“シンクライアント”仕様」ということであり、結果としてWin32を持たない“軽量版Windows”のようなソリューションが成り立つ。
以前に中止された“軽量版Windows”プロジェクトこと「Windows 10X」の話題があったが、今回のリーク動画で出てくる「Win3」というのはこの軽量版Windowsの開発コード名であり、おそらくデモンストレーション自体もこのWin3上での動作を想定したものではないのか、というのがボーデン氏の考えだ。
また同氏が公開した2本目の解説記事でも触れられているが、「AIエージェントをUIのフロントにする」というアイデアは、先日発表された「Project Solara」に通ずるものがある。
マルチデバイス対応で動作の基本はクラウド側にあるという点で共通だが、筆者の考えとしてもProject Solaraの方がより未来志向に近いと感じる。一方でProject Aionはあくまで“デスクトップOSシェル”であり、PCの延長線上にあるプロジェクトだ。
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