エージェントAI時代のWindowsはどうなる? Microsoftの苦悩:Windowsフロントライン(1/2 ページ)
AI時代に向けてWindowsはどうなるのだろうか。Microsoftの動向を追った。
WindowsがAI時代に最適化された「Agentic OS」になるという話が出ている。現在、米MicrosoftでWindows+Devices部門プレジデントとしてWindows開発を率いているパヴァン・ダヴルリ(Pavan Davuluri)氏が下記の投稿を行ったところ、非常に大きな反響があった。主にネガティブな方向で……。
もともと、この投稿はWindowsの方向性を決める転換点にあたるタイミングで、その将来像がどのようなものになるのか、11月中旬に米カリフォルニア州サンフランシスコで開催された「Microsoft Ignite 2025」の当該セッションを紹介するためのものだったが、予想以上の反響を得てしまったというのは、実際のXへの投稿を見ても分かる通りだ。
この動きに呼応したのかは分からないが、MicrosoftのAI部門CEOであるムスタファ・スレイマン(Mustafa Suleyman)氏が、次のような形で「皮肉屋ばかりじゃないか。AIが期待外れというが、どんな画像や動画でも生成できる超賢いAIと流ちょうに会話できるなんてすごいじゃないか」と投稿すると、「お前は何も分かっていない」と大量のリプライがやってくる。
結局のところ、Microsoftが目指す方向性と既存のユーザーがWindowsに望むことに大きなギャップがあり、そこがMicrosoftにとってのジレンマとなっているのが現状だ。
Windows 11でAIエージェントをバックグラウンド動作させる機能
WindowsにAI機能を追加する試みは以前から続いているが、ここ最近はその傾向がより顕著になっている。直近でいえば、11月17日(米国時間)にWindows Insider ProgramでDev ChannelとBeta Channel向けに公開された「Windows 11 Insider Preview Build 26220.7262」では、設定メニューの「AI Components」というカテゴリーに「Experimental Agentic Features」という“トグルスイッチ”が追加された。
これにより、いわゆる「“実験的な”エージェント」(Agentic AI)の機能をWindows 11から呼び出すことが可能になる。
この「Experimental Agentic Features」とは何なのかという話だが、詳細をまとめたサポートページによれば、「Copilot Agents」のようなAIエージェントが動作するための「Agent Workspace」という独立した専用の作業スペースが提供されるようになる。いわゆるAIエージェント用のサンドボックスだ。
例えば、AIエージェントがユーザーの代わりに(アプリやサービス上で)特定の操作を行う場合、バックグラウンドでクリックやキー入力、スクロールといった動作を行ったとしても、ユーザーのメインの操作を邪魔することなくバックグラウンドでのタスクを続けることが可能になる。
これはユーザーのメイン操作とは別のアカウント(Agent ID)かつ専用のセッションで動作するので、煩雑な操作をせずにユーザーの許可した範囲でしかファイルアクセスができないなど、権限に一定の制限が加えられる点に特徴がある。
バックグラウンドでの動作自体もログとして全て記録されるため、監査で挙動の監視が可能な点もセキュリティ上の考慮点となる。
既知の課題としては、AIエージェントそのものはバックグラウンドのプロセスとして動作しているものの、作業内容によっては「ユーザーが操作中」と認識されてスリープに入らなかったり、シャットダウン時に警告が表示されたりする場合がある。
また、あくまで現時点では実験的な機能のため、EPM(Endpoint Privilege Management)を利用するユーザーがCopilot Actions終了時にIntuneの作成した管理プロファイルを削除できないなど、いくつかの問題があるようだ。
ただ、将来的にAIエージェントによるWindows操作の自動化といった試みの中で、その一歩ともいえる機能であり、2026年後半に「Windows 11 バージョン 26H2」が出るまでの間に順次改良が加えられ、場合によっては機能アップデートの過程で取り込まれていくことになるだろう。
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