間もなく登場の“新”OutlookにみるWindows戦略:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
2021年のWindowsに関する重要トピックとなるはずだった「Sun Valley」と「One Outlook(Project Monarch)」だが、当初の予測から異なる事態になった。それらの現状とWindows 11の位置付けを考える。
Windows 11は“未完成”OSなのか
これらの話を総合すると、Windows 11に関するある一面が見えてくる。正直なところ、Windows 11が発表から半年もせずに正式リリースされるとは考えていなかったが、これは従来の「リリースまでの準備期間を長く取ってユーザーや開発者に周知させる」というサイクルから考えれば、かなりスケジュール的に前倒しの印象が強い。
いくらWindows 10の延長線上にあるOSとはいえ、新OSのリリースにここまで急ピッチで対応したのは筆者の記憶ではない。一方で、「Windows 11は未完成状態でリリースされた」という声は少なからず聞くことがある。話題になっている「AndroidアプリのWindows 11での動作」といった当初からうたわれていた目玉機能だが、2021年10月のリリース時点では搭載されなかった。
2022年2月に急きょリリースが予告されているが、あくまで「パブリックプレビュー版」の扱いだ。本来であれば、2022年後半の22H2アップデートのタイミングで導入されてもおかしくなかった機能だが、Microsoftではユーザーに半年以上の期間を空けることなく、スピードを優先したらしい。
先日発表されたアップデート予告では、「メモ帳(Notepad)」「Media Player」の2つのアプリがリニューアルされるという。
Windows 11登場のタイミングで、これらが一新されなかったのは単純にスケジュール上の都合だろう。同様に、今回の“新”Outlookもまた時間をかけてゆっくりとロールアウトされていく。一大プロジェクトとして話題になっていたSun Valleyだが、Windows 11リリースのタイミングで間に合ったのは「OSを含む基本的な“ガワ”」の部分の改修だけであり、今後大型アップデートないしは定期的な(セキュリティ)アップデートを通じて徐々に当初の“計画”が反映されてくるのだと予想する。
年単位の改修作業を経て全体像が見えてくる訳で、ある意味で「大規模なβテスト」状態ともいえる。Microsoftは特に企業でのWindows 11への移行を強く推奨しているわけではなく、当面の間のWindows 10との混在環境を想定しているが、それはこうしたWindows 11の位置付けも反映しているのかもしれない。
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