Windows 11の新しい機能アップデート方式と刷新されたWindows Insider Program:Windowsフロントライン(2/2 ページ)
公式のWindows Blogで、Windows Insider Programの今後についての投稿があった。そこから見えてきたこと、考えられることをまとめた。
Windows 11のアップデート体験
そしておそらく、多くのユーザーにとってはここからが本題だ。ランゴウスキー氏のBlogでは一文でさらっと触れている程度だが、今後のWindows 11の“機能”アップデートがどのように提供されるのかのヒントが次のように述べられている。
いわゆる従来の「大型アップデート(機能アップデート)」は年1回、それぞれの年の後半に提供されるスタイルだったが、今後は「“細かい”機能アップデート」がこまめに、“非同期”と呼べる周期でやってくることになる。
We will deliver updates to features and experiences in builds from the Dev and Beta Channels by releasing Feature, Web, and Online Service Experience Packs on top of these builds too.
当該のBlogでは、Dev ChannelならびにBeta Channelに対して新機能を提供するにあたり、「Feature Experience Pack」「Online Service Experience Pack」「Web Experience Pack」の3形態で機能アップデートが提供されることになるとしているが、これは一般リリースにも該当する話で、中身としては「(メジャー)ビルド番号の変化しない機能アップデート」といえる。
Microsoftは現在、年1回の「大型アップデート(機能アップデート)」に加え、毎月第2火曜日の「セキュリティアップデート」を実施しているが、これらとは基本的には独立したアップデートであり、複数あるいは“特定”の機能をアップデートするための仕組みとなる。
「なぜ3種類も機能アップデートの仕組みがあるのか」と思わなくもないが、これらの違いをZDNetのメアリー・ジョー・フォリー氏がうまくまとめていたので、参考に紹介したい。
Feature Experience Pack Microsoftの大型アップデート(機能アップデート)とは別に新機能や変更を提供するための仕組みで、Windows 10時代から存在し、過去にはSnipping Toolやテキスト入力パネルなどのアップデートの提供に利用されていた。
Online Service Experience Pack Feature Experience Packと同様の大型アップデート(機能アップデート)とは別の機能アップデートの仕組み。2021年10月のMicrosoftの公式Blogの解説によれば、両者の違いは、Feature Experience PackがWindowsの複数の領域におけるより幅広い機能強化を行うのに対し、Online Service Experience Packは特定の機能、例えば「Microsoftアカウントの設定ページ」といった部分にのみ影響を与える。
Web Experience Pack 今のところMicrosoftからの公式な解説はないが、ジョー・フォリー氏が同社広報に回答を求めたところ、「Feature Experience PackとOnline Service Experience PackはWindows Updateを介して提供が行われるが、Web Experience PackはMicrosoft Storeを通じて提供が行われる」ことを違いとして挙げている。また、この機能アップデートで提供される機能の例として「Windows 11におけるウィジェット」が挙げられている。
これら3種類の機能アップデートのうち、Windows 10時代から存在する「Feature Experience Pack」は存在が謎のアップデートとして下記の記事中でも何度か触れてきた。
正直なところ、仰々しい仕組みが用意されているにしては“小粒”なアップデート内容であり、「Microsoftが何か怪しいことをやっている」程度の認識でしかなかった。だがフタを開けてみれば、Windows 11での利用を想定した新たなアップデート手法ということであり、1年越しで答え合わせができたといったところだ。
本稿執筆時点でまだ「Androidアプリ実行機能」を含むアップデートの提供方法は判明していないため、追ってフォローアップするが、もうしばらくは複数のさまざまなアップデートに向き合う日々が続きそうだ。
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