モバイル向け「第12世代Coreプロセッサ」の本格展開は3月から 性能はどう?(1/3 ページ)
ハイエンド向けから先行展開が始まったモバイル向け第12世代Coreプロセッサ。いよいよメインストリームを担う「Pプロセッサ(28W)」と「Uプロセッサ(9W/15W)」を搭載するノートPCの展開が始まる。それに先立ってIntelが実施した説明会をもとに、製品概要を改めて解説する。
Intelは2月23日(米国太平洋時間)、モバイル向け第12世代Coreプロセッサ(開発コード名:Alder Lake)のうち、基本消費電力(PBP、※1)が24Wの「Pプロセッサ」と15Wまたは9Wの「Uプロセッサ」を搭載するPCが3月から順次発売される見通しであることを発表した。Acer、ASUSTek、Dell Technologies、富士通クライアントコンピューティング、HP、Lenovo、LG、MSI、NECパーソナルコンピュータ、Samsung Electronicsなどから200超の新モデルが投入されるという。
この記事では、Intelが報道関係者向けに開催した説明会の内容をもとに、Pプロセッサ/Uプロセッサと第3世代の「Intel Evoプラットフォーム」の詳細を解説する。一部発表済みの内容も含まれるが参考になれば幸いだ。
(※1)Processor Base Power:従来の「TDP(熱設計電力)」「PL1(Power Limit 1)」に相当する消費電力
CPU仕様の概要
第12世代Coreプロセッサは、処理性能を重視する「パフォーマンスコア(Pコア)」と処理効率(省電力性)を重視する「効率コア(Eコア)」を混載していることが特徴だ。モバイル向け製品はCPUやGPUに加えてチップセット(サウスブリッジ)も統合した「SoC(System-On-a-Chip)」として提供される。
パッケージ(チップの実装サイズ)は、PプロセッサとPBP 15WのUプロセッサが「BGA Type3(50×25×1.3mm)」、PBP 9WのUプロセッサが「BGA Type4 HDI(28.5×19×1.1mm)」となる。プロセッサの機能には、パッケージごとに差異がある。
Pプロセッサ/Uプロセッサ(15W)
BGA Type3パッケージを採用するPプロセッサとUプロセッサの15Wモデルの主要な仕様は、先行して登場したハイエンド向けの「Hプロセッサ」(PBPは45W)と近い。ただし、外部(独立)GPU用のPCI Express 4.0バスが削減されている。
- CPUコア(Pコアはハイパースレッディング対応)
- Pプロセッサは最大12コア24スレッド(Pコア6基+Eコア8基)
- Uプロセッサは最大10コア12スレッド(Pコア2基+Eコア8基)
- GPUコア(Xe-LPアーキテクチャ、最大稼働クロックはモデルにより異なる)
- Core i7プロセッサのEU(実行ユニット)は96基
- Core i5プロセッサのEUは80基
- Core i3プロセッサのEUは64基
- Pentium/CeleronプロセッサのEUは48基
- メインメモリ(最大2チャンネル)
- DDR5-4800、DDR4-3200、LPDDR5-5200、LPDDR4x-4267の各規格をサポート
- PCI Express/Serial ATA
- PCI Express 4.0バス:合計8レーン(ストレージデバイス用)
- PCI Express 3.0バス:合計12レーン
- Serial ATA 3.0ポート:2ポート
- Thunderbolt/USB
- Thunderbolt 4(USB4)ポート×4
- USB 3.1ポート×4
- USB 2.0ポート×10
- 映像出力
- eDP(Embedded DisplayPort) 1.4b(HBR3対応)
- MIPI Display Serial Interface(DSI)2.0
- HDMI 2.0b
- その他のポート/機能
- Wi-Fi 6E(IEEE 802.11ax)規格の無線LAN(※2)
- 1000BASE-T規格の有線LAN
- ISH(Integrated Sensor Hub)
- SPI(Serial Peripheral Interface)/eSPI(Enhanced SPI)
(※2)Wi-Fi 6Eは一部の国/地域でのみ利用可能。利用できない国/地域では6GHz帯を使わずに「Wi-Fi 6」として利用可能
Uプロセッサ(9W)
Uプロセッサの9Wモデルは、実装面積と消費電力を削減するためにPプロセッサやUプロセッサの15Wモデルから一部の機能が削減されている。メインメモリもローパワー規格のみのサポートとされた。
- CPUコア(Pコアはハイパースレッディング対応)
- 最大10コア12スレッド(Pコア2基+Eコア8基)
- GPUコア(Xe-LPアーキテクチャ、最大稼働クロックはモデルにより異なる)
- Core i7プロセッサのEUは96基
- Core i5プロセッサのEUは80基
- Core i3プロセッサのEUは64基
- Pentium/CeleronプロセッサのEUは48基
- メインメモリ(最大2チャンネル)
- LPDDR5-5200、LPDDR4x-4267の各規格をサポート
- PCI Express
- PCI Express 4.0バス:合計4レーン(ストレージデバイス用)
- PCI Express 3.0バス:合計10レーン
- Thunderbolt/USB
- Thunderbolt 4(USB4)ポート×2
- USB 3.1ポート×4
- USB 2.0ポート×6
- 映像出力
- eDP 1.4b(HBR3対応)
- MIPI Display Serial Interface 2.0
- HDMI 2.0b
- その他のポート/機能
- Wi-Fi 6E規格の無線LAN
- 1000BASE-T規格の有線LAN
- ISH
- SPI/eSPI
Uプロセッサの構造図。15WモデルはPプロセッサと同様の構造となっているが、9Wモデルは一部のバス/ポートの数が削減されており、特にSerial ATA 3.0ポートは一切備えていない。加えて、メインメモリのサポートもLPDDRのみとされている
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