レビュー

PCの快適さは増す? スリムデスクトップPCをグラボでパワーアップしてみた(実戦編)大型連休の自由研究(5/5 ページ)

約5年半前に発売されたスリムデスクトップPCをグラフィックスカードでパワーアップする――その計画を実行に移す時が来た。今回はAMD製GPUを搭載するグラフィックスカードを2枚用意し、実際に組み込んでテストしてみる。

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レイトレーシング機能は「オマケ」とみた方が良さそう

 今回試用しているRadeon RX 6400とRadeon PRO W6400は、リアルタイムレイトレーシング(RT)機能にも対応している。税込みの想定価格はRadeon RX 6400を搭載するグラフィックスカードは2万5000円程度から、Radeon PRO W6400は4万円程度からと、RT対応品としてはかなり手頃である。RTの性能も気になる所だ。

 そこで参考として、Radeon RX 6400とRadeon PRO W6400において3DMarkのRTテスト「Port Royal」を実行した結果を記す。なお、両GPUでこのテストを実行しようとすると、グラフィックスメモリ不足によって、途中で強制終了される恐れがあるとの警告表示が出てくるが、今回は無事“完走”できた。

  • Radeon RX 6400:258ポイント
  • Radeon PRO W6400:194ポイント

 グラフィックスメモリの少なさ、CPUのパフォーマンス、メモリの少なさなどが相まってか、3桁というスコアを記録した。このPCにおいてRT機能は「おまけ」と見なすのが良さそうである。

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3DMark(Port Royal)の結果

消費電力はかなり低い

 Radeon RX 6400とRadeon PRO W6400を搭載するグラフィックスカードの標準消費電力は、それぞれ53W、50Wとなっている。グラフィックスカードとしてはかなり低消費電力であることが魅力で、GPU補助電源なしで動くメリットの原動力ともなっている。

 Mate タイプMBの電源は最大210Wである。ここに両GPUを搭載するグラフィックスカードを追加するとどうなるのだろうか。システム起動後の待機中を「アイドル時」、3DMarkのTime Spyテストを実行中の最高消費電力を「ピーク時」とした消費電力は以下の通りとなった。

  • 外部GPUなし:アイドル時10.5W/ピーク時45W
  • Radeon RX 6400:アイドル時25W/ピーク時85W
  • Radeon PRO W6400:アイドル時23.5W/ピーク時90W

 カードの追加でプラス15W程度、ピーク時の稼働でプラス40~45Wとなるようで、おおむねスペック通りの消費電力増となった。本体から電力を取る周辺機器がこれ以上増えないことが前提ではあるが、これなら標準の電源をそのまま使ってカードを増設しても構わないだろう。

 なお、GPUの負荷が高まるとグラフィックスカードのファンだけでなく本体のファンも回転数がきちんと上がる。音の面からも「パワフル」になったことが分かる瞬間だ。


消費電力

「日常をより快適にする」なら選択肢としてアリ

 今の時勢を踏まえて、PC本体の買い換えをためらっている人も少なくないはずである。すぐには買い換えられないけれど、本体にはロープロファイルのPCI Expressスロットがある――そんな状況であれば、手頃な「延命策」としてグラフィックスカードの搭載は十分に“アリ”だ。

 結果からも分かる通り、ゲームは軽量品質ならそこそこ快適に楽しめるようになる上、日常の作業も想定以上にスムーズになる。特に表計算アプリの快適性は思った以上に増す。信頼性が求められる業務用アプリを使うならRadeon PRO W6400を、そうでなければRadeon RX 6400を用意すれば、体の良いパワーアップが図れる。可能ならメインメモリも一緒に増設すると“なお良し”だ。少しイレギュラーな使い方だが「ゲームはプレイしないけれど、4K(3840×2160ピクセル)ディスプレイを2枚使いたい」というニーズにも必要十分なスペックを備えている。

 ただし、今回レビューに利用したRadeon RX 6400とRadeon PRO W6400はH.264/H.265のハードウェアエンコーダーを備えていないため、動画の編集(エンコード)をする場合はパフォーマンスの向上を期待できない。動画の編集パフォーマンスを優先するなら、ハードウェアエンコーダーを備えるグラフィックスカードも選択肢として検討した方が良いだろう。

 ともあれ、GPU補助電源なしでもここまで“回る”グラフィックスカードが出てきたことは良いことである。問題は在庫と価格だろうか……。

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