高性能は当たり前! M2搭載の新型iPad Proで実現したApple Pencilのホバリング操作に感じた進化(2/3 ページ)
標準iPad(第10世代)と共に、プロ向けの「iPad Pro」もプロセッサを改めた最新モデルが登場した。その12.9インチモデルを林信行氏が試した。
ペン操作を大きく変えるホバリングモードに対応
というわけで、冒頭でも紹介した通り最新iPad Proと前モデルの違いは、ほぼ搭載プロセッサとApple Pencilのホバーモードに集約されるが、それではホバーモード(以下、ホバリングと書く)とはどのようなものだろう。
詳しくは下の動画を見てもらいたいが、Apple Pencilを画面の近く12mmほどの距離まで近づけると、iPad Proがそれを感知してPencilで画面をタッチしないでも反応を返す。
標準アプリで、唯一これに対応しているのは「メモ」アプリのブラシパレットで、ペンを鉛筆やケシゴミなどの筆に近づけると、画面に触れないでも、Pencilの真下にあるツールがハイライトされる。
実は同じような操作はMacの上では当たり前に行われている。「マウスオーバー」と呼ばれる操作で、何かのツールのアイコンの上にカーソルを移動すると、そのツールが一時的にハイライトされ、マウスやトラックパッドのボタンをクリックすると、そのツールが選択される。
ユーザーがこれからどのような操作をしようとしているかを事前確認させることで、心理的安心感を与えるインタラクションであり、誤操作で他のツールを選んでしまうことを防ぐためのインタラクションでもある。
これに対してタッチパネル式液晶を採用したiPad(やiPhone)では、画面上のアイコンやボタンに指で触れた瞬間、その操作が事前確認もなくいきなり確定してしまう。
ホバリングは、Apple Pencilユーザー限定の機能ではあるが、ある意味、これからのiPadの操作の新しい方向性を指し示す操作になっている。
最近、PCでは例えば写真に特殊効果のフィルターをかけられるアプリなどで、フィルターのアイコンの上にマウスオーバーをすると、確定前にその操作を選ぶと写真がどのように変わるかなどをプレビューしてくれるといったことが行われる。Apple Pencilのホバリングでも、このようにPencilをフィルターアイコン上の中空に近づけることで、効果をプレビューして、迷い箸をするようにさまざまなフィルターを試した後、最終的にPenでアイコンをタッチして確定するといったことが可能になる。
実はこうしたホバリング操作は、既にいくつかのiPadアプリで導入に向け開発が進んでいる。というのも、最近のiPad ProはMagic Keyboardについているトラックパッドを使ってPCのようにも操作ができるように進化し始めていたからだ。
「マウスオーバー」操作と「ホバリング」操作はトラックパッドを使うか、Apple Pencilを使うかの違いがあるだけで基本的にiPadOSの側から見たら違いはない。
ただ、Apple Pencilを使うユーザーにとっては、これは大きな操作体験の進化だ。もちろん、これまでも一度、フィルターを選んだ後、それを取り消して他のフィルターを選び直すという操作が当たり前に行われていた。しかし、確定してから取り消すのと、すぐに処理できる簡易プレビューで操作後の状態の雰囲気をつかんでから確定するのとでは、試行錯誤の手間に大きな違いがある。
今後、このホバリングは、他のiPadにもどんどん広がっていくことになるだろうが、今回のiPad Proが、それサポートするiPadの記念すべき第1号となった。
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