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コロナ禍の影響と子供連れが減ったアキバ自作街の1年アキバの2022年まとめ【後編】(4/4 ページ)

2022年の自作街を振り返ると、ここ3年で最もコロナ禍の影響が薄まったといえる。自作PCのプラットホームは1年を通してIntelが主流を担ったが、AMDも随所で存在感を放って市場を盛り上げた。

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街の空気感――コロナの影が薄まった頃に自作PCのハードルが上がる

 最後に、2022年の自作街の空気を振り返りたい。

 2021年末~2022年年始セールの感触では「2019年の年末以来の勢いでした」(TSUKUMO eX.)といったコメントが聞かれたが、新型コロナウイルス感染症への警戒心が消えることはなかった。1月21日に東京都下でのまん延防止等重点措置の適用が始まると、PCパーツショップを訪れる人はじわじわと減っていったという。

 当時、パソコンSHOPアークでは「先週の土日も減ってはいるものの、そこまで顕著ではない印象でした。それが平日に入ってガクンと落ちましたね」と語っていた。

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まん防適用初日の秋葉原中央通り(1月21日)

 2月に入ると複数のショップで、Webカメラやヘッドセットなどを集めたコーナーを復活させる動きが見られ、テレワーク向けに人気のある小型PC「Intel NUC」の品薄傾向も目立つようになった。NUCに変わる選択肢として、モバイル向けRyzenを搭載したASUS JAPANの「Mini PC PN51-S1」(5万3000円弱~)や、MINISFORUMの「UM350」(4万5000円前後)などが注目を集めたのもこの頃だ。


パソコン工房 秋葉原BUYMORE店で復活したリモートワーク向けグッズコーナー(2月4日)

 この不要不急感は、春が近づくにつれて徐々に薄まっていき、5月の大型連休は3年ぶりに緊急事態宣言のない状況で迎えることができた。お盆シーズンも2019年以前と同程度の水準の往来があったという。あるショップは「警戒心がなくなっているわけではないと思いますが、2021年のような緊張感はありません」と話していた。


緊急事態宣言化では掲げられなかったゴールデンウィークセールのチラシ。TSUKUMO eX.で撮影(4月28日)

8月12日、日中の秋葉原駅電気街口前

 秋から冬にかけても、天候以外で客足が遠のく動きは見られなかった。むしろこの時期はRyzen 7000シリーズや第13世代Core、GeForce RTX 40シリーズ、Radeon RX 7900シリーズなどの大物パーツが次々に登場したこともあり、久しぶりに自作PCを組むためにアキバを訪れたという人も増えたというコメントを耳にしている。

 パソコン工房 秋葉原BUYMORE店が「10年ぶり自作PC復帰の古強者達へ」という、現在の自作事情の変化をまとめたPOPを掲げるようになったのもそうした変化が背景にある。同店は「今も『Sandy Bridge(第2世代Core)から乗り換えようと思って』と来店される方は普通にいらっしゃいますからね。あの頃と今ではPCケースの選び方もOSのインストール方法も違うので、さっと要点をつかんでもらおうと思って作りました」と意図を伝える。


パソコン工房 秋葉原BUYMORE店に貼られた「10年ぶり自作PC復帰の古強者達へ」の案内(11月18日)

 その一方で、全体的なPCパーツの価格高騰が自作PCを始めるハードルを高くしていると心配する声も聞かれるようになった。あるショップは「個人用でも20万円を超えるグラフィックスカードを選ぶことが珍しくなくなった一方で、トータル10万円でゲーミングPCを組むというのは現実的ではなくなってしまいました」と嘆く。

 1~2万円台のマザーボードや、2~3万円のグラフィックスカードのラインアップが薄くなっていることを懸念するショップも多い。年初にはPCパーツショップを訪れる親子が増えたと方々で聞いたが、年末が近づく頃には逆に「家族連れの方はめっきり減った」(パソコン工房 秋葉原BUYMORE店)という。

 ショップや街だけではどうすることもできない問題だが、自作PC市場がこの問題にどう応じるのか。その答え合わせはこの街でできるだろう。2023年の動向も引き続きウォッチしたい。


12月23日夕方に撮影した秋葉原中央通り
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