2021年のアキバ自作街は「警戒」に終始した:アキバ2021年まとめ【前編】(1/4 ページ)
コロナ禍による対面営業の難しさと、半導体不足による慢性的な供給の不安定さ。そして、熱狂的なマイニングブームによる特定パーツの払底。1年を通して警戒すべきことが多かった2021年のアキバ自作街を振り返りたい。
新型コロナウイルスの猛威は、2020年当初から秋葉原の人波に影響を与えていた。初売りセールを自粛するムードが広がっており、「1月4日以降はじわじわと人が減って、現在に至る感じです」(パソコンSHOPアーク、1月)という声も聞かれた。
2020年のアキバまとめ
「やはり人の流れが変わりました」――コロナ禍と秋葉原
1月7日には緊急事態宣言が発出され、営業時間を短縮するショップが相次ぐ。ただ、緊急事態宣言下は2020年で慣れたこともあり、嘆きや憤慨などは感じられなかったのを記憶している。売る側も買う側も、緊急事態なりの振る舞いを3月下旬に解除されるまで淡々とこなしていた感がある。
それは、4月下旬に再び緊急事態宣言下となった際も変わらない。日中はそれなりの人通りがあっても、19時頃から往来がぱったりと途絶えるのが当たり前となっていた。ただ、後述するグラフィックスカードの枯渇や、2020年に盛り上がったテレワーク需要の落ち着きが重なり、営業的には芳しくない要素が積み重なっている。
この時期、PCパーツショップからは「1年前と比べると往来は多いですが、営業的には苦しいです」といったコメントをよく聞いた。
東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の効果もほとんどなく、粛々と夏を迎えると、7月31日に東京都内の感染者数は4000人を突破した。このときは緊急事態宣言よりも早く、明らかに人波が引くのが分かった。
当時、あるショップは「7月下旬から自粛モードが高まっていましたが、(都内の1日の感染者数が)過去最多を超えた日を境にグンと緊張感が高まりました」と話していた。「2020年3月の空気に近い空気感」とのコメントも聞いている。
その空気も秋にさしかかると落ち着くようになったが、蓄積したダメージは大きく、街の光景にも影響を残した。一例を挙げれば、PCパーツショップ密集エリアで営業していた東映ランドが10月末に実店舗を閉店し、オンライン販売のみに切り替えている。
閉店セール中の同店を訪ねると、営業形態を変える理由を教えてくれた。「ちょっと立ち寄って面白そうなアイテムやお得な特価品を見つける、といった行動が取りにくくなったのは感じています。特に2021年に入ってからですね」(東映ランド)
秋から冬にかけて、自粛の空気は落ち着いているように思える。とはいえマスクなしに回遊する人の姿はほとんど見かけず、ショップの入り口でアルコール消毒する光景も当たり前に続いている。誰も本当の意味で警戒は解いていない。その中でPCパーツを売り買いしている日常だ。
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