多方面でAMDが存在感を示した1年――アキバの1年を振り返る【後編】:2020年のアキバまとめ後編(1/4 ページ)
PCパーツ市場の動向を中心に振り返ると、トレンドを作ったいくつものジャンルでAMDが顔を出すことに気づく。コロナ禍の中で自作PCの新たな需要もわき起こった特殊な1年を、キーになったパーツごとにたどってみよう。
前編では、時系列でアキバに2020年を見てきたが、後編では注目パーツを軸に振り返る。
まずCPUは、2月初頭に64コア128スレッドの「Ryzen Threadripper 3990X」が登場して大きなインパクトを残したが、メインストリームでの大きな動きは5月に入ってからだ。
CPU:緊急事態宣言下で第10世代Core、秋にRyzen 5000がデビュー
Intel陣営が第10世代Core iシリーズと、新ソケットとなるLGA1200に対応するIntel Z490/H470/B460チップセット搭載マザーボードを投入した。「Core i9-10900K」を含むCPU第1弾の発売解禁日は、都の緊急事態宣言が発令中の5月20日だったため、深夜販売イベントは行われず、翌21日の通常営業時間から各ショップで取り扱われた。
追って登場した下位のCPUも含めて順調に浸透したが、自作市場のCPUシェアはAMD優勢が揺るがないまま、6月にはAMD陣営がB550チップセットを搭載したマザーボードを投入している。上位のX570搭載マザーボードより価格が抑えられるため、特別定額給付金による10万円支給の特需とマッチして好調に売れた。
その後、AMDからは8月にGPU内蔵の「Ryzen PRO 4000」シリーズのバルク品が登場し、これもヒットを記録。対するIntelは夏から秋にかけて割安な「Core i9-10850K」や1万円を切る「Celeron G5925/G5905」、10万円PCに最適な「Core i3-10100F」などを投入してそれなりの評価を得たものの、全体のシェアは複数のショップで「AMDが7〜8割」と言われる状況に変化はなかった。
そして11月に登場したメインストリームの新世代「Ryzen 5000」シリーズも、事前の評判通りの人気を得た。ただし、初回入荷から年末にいたるまで、最下位のRyzen 5 5600Xを除いて枯渇に近い状態となっており、ユーザーにとっては自作PC市場で最も人気のあるプラットフォームの要(CPU)が手に入らないという事態が続いている。これに対して、ショップからは「AMDさん、本当頼むよ」という嘆きが聞こえてくる状況だ。
続いては、グラフィックスカードを見ていこう。
関連記事
- 空気感で追う新型コロナと秋葉原自作街――アキバの1年を振り返る【前編】
2020年の自作PCパーツ街を振り返るとき、新型コロナウイルスの存在を無視することはできない。流通と往来、モノの流行、売り場の雰囲気に至るまで、新型コロナの波に揺り動かされた1年だった。 - ジャイアントキリングが起きた2019年――アキバの1年を振り返る【前編】
2019年は、自作PCのプラットフォームにおいて長らく絶対的な王者として君臨していたIntelをAMDが追い越した1年だった。主流の交代劇は、第3世代Ryzenが登場する少し前から起きている。振り返っていこう。 - まさかの鑑賞法が定着した2019――アキバの1年を振り返る【後編】
Windows 7の延長サポート終了がカウントダウンされる中、パーツそのものを鑑賞するアイテムのヒットや○○ペイの台頭など、さまざまな変化が起きた1年だった。2019年を振り返り、2020年のアキバを占いたい。 - コロナ禍はデジタル終活にどう作用するのか――「第4回 デジタル遺品を考えるシンポジウム」レポート
もし自分が突然この世から去った場合、スマートフォンやタブレット、PCの中身はどうなるのか。残された人たちはどうすればいいのか。今何ができるのか、何をしなければならないのかを考えるシンポジウムがオンラインで開かれた。その模様を振り返る。 - マシンスペックよりも4画面が大事――ライター古田雄介氏の場合
自宅で本格的に仕事をできるように、テレワーク環境を構築するにはどうしたらいいのか。PC USERには、以前から自宅で仕事しているライター諸氏が多数いる。彼ら彼女らからその極意を伺っていく。トップバッターは、連載「アキバPickUP!」の担当ライターである古田雄介氏だ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.