ジャイアントキリングが起きた2019年――アキバの1年を振り返る【前編】:2019年のアキバまとめ前編(1/4 ページ)
2019年は、自作PCのプラットフォームにおいて長らく絶対的な王者として君臨していたIntelをAMDが追い越した1年だった。主流の交代劇は、第3世代Ryzenが登場する少し前から起きている。振り返っていこう。
絶対王者たるIntelのCPUに、暗雲が立ちこめてきたのは2018年9月頃までさかのぼる。主力CPUのCore i5の在庫不足から端を発し、年末年始には新たに登場したハイエンドの「Core i9-990K」も枯渇するようになり、苦肉の策でBTO向けCPUをバルク品としてセット売りをする光景も見られるようになった。バルク品の販売は、メーカーからにらまれるリスクがある。それでも複数のショップが踏み切るくらいに、春頃までのCore iシリーズは市場を担う存在だったといえる。
在庫不足で苦しんだIntel、5月の大型連休でAMDがシェア逆転
Intelも2月の「Core i5-9400F」を皮切りに、3月に「Core i9-9900KF」「Core i7-9700KF」「Core i5-9600KF」と、GPUなしモデルを投入して全般的な枯渇という急場をしのごうとしたが効果は限定的だった。当時、あるショップは「価格が“Fなし”のGPU搭載モデルとほとんど変わらないんですよね。値段の納得感が薄いとなかなか売れません」と話していた。
その後も、1カ月に数個の追加ラインアップがIntelからそっとリリースされるパターンは続き、少しずつ供給状況を改善していったが、根本的な解決にはいたらず、5月の大型連休には「直近の売れ行きではAMDが6:4で上回っています」(パソコン工房 秋葉原BUYMORE店)というコメントも聞こえるようになった。AMD陣営は2019年前半も「Ryzen 7 2700X」を筆頭に順調に売れ行きを伸ばしており、潤沢に在庫していることもあってついに主流に躍り出たといえる。
そして、5月末に第3世代Ryzenが発表されたことで大勢は決定的になった。対応するAMD X570チップセット搭載マザーボードとともに7月7日午後7時に売り出され、雨天にもかかわらず700人を超えるユーザーが街に集合した。最上位の「Ryzen 9 3900X」を中心に人気を集め、その後も勢いが衰える気配はなかった。
そして、新型CPUが11月に相次いで登場した。
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